高山市宮小学校5年生『森林土壌の役割』について学ぶ
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高山市宮小学校5年生の21名と、教諭2名による『森林土壌の役割』について学ぶ出前授業。
ここ宮小学校がある一之宮町は、位山山麓から湧き出た宮川の源流部であり、毎年5年生が、河口部にある富山県の岩瀬小学校のみなさんと交流をされています。
そこで源流部ならではの森林の役割の1つ、森林土壌による水の濾過機能や一時的な貯留機能による「緑のダム」としての役割について学んでもらいました。
最初は「アイスブレイキング」として、地元にもたくさん生えている広葉樹の枝を使った「スティックゲーム」で、気持ちを和らげます。

広葉樹の枝でスティックゲーム
ひとり1本ずつ枝を右手で持って円陣を組みます。そしてスティックを地面に真っ直ぐ立てた状態で手を放し、人だけが左側にスライドする。そして左側にあったスティックを素早く掴む。なんとこれは3回で成功。

2種類のスティックゲームを完ぺきにこなしチーム力アップ
続いては、持ったスティックを右側の人に投げて、自分は左から飛んできたスティックを掴む。これは難しく6回目で成功しました。
全員が成功したので、スティックを上に掲げて、大成功を祝しました。
次は森の木陰に移動です。まずは、宮川に関する質問タイム、①「宮川は、岐阜県と富山県の境で高原川と合流して神通川という名になって富山湾(岩瀬港)に到達しますが、その全長は何kmでしょうか」
・・・・・なかなか正解が出ませんでしたが、「約120km」です。なお流域内人口は37万7千人です。これだけ多くの方が、河川の恩恵を受けている可能性があるのです。

宮川の総延長や森林土壌の役割について学ぶ
続いて、秋田県と青森県にまたがる白神山地を紹介した、小学館『マザーツリー』の一篇を読み上げました。「川で生まれて海で育ったサクラマスが川にかえってくるのは、ブナの森が育む水、森は川の生きものたちを守り、育てている」という一節をみんなで振り返りました。
次は樹木の根元の土を掘って土層の観察です。厚さ3cmほど堆積した落葉層の下には黒っぽい土壌が、そしてその3~5cm下には茶色っぽい土壌が、そしてその下には円い石(円礫)や、明るい色の土壌がありました。

土壌の層位について観察
土壌は見ているだけでなく、実際に触ってみないと判りません。自分の手で土を触るとザラザラした砂のような砂質土壌なのか、ネバネバした粘土のような粘質土壌なのかも理解できます。
まずは一つの場所で土壌を目や手の感覚で学んだ後、次は各班で土壌断面を観察し、層位区分ごとにサンプリングです。

土壌に触ったり、土の色の違いを確認
土壌断面には、多くの木の根や石が見られました。石は円いものだけでなく、砕けて角張ったものもありました。このように土壌採取が難しい場所でしたが、移植ゴテを使って層位ごとの土壌をサンプリングしました。

河川の氾濫源にある森林の土壌断面
予想以上に土壌が硬かったため、移植ゴテでは少しずつしかサンプリングできませんでしたが、なんとか頑張ってサンプリングをして、4つの土壌層位ごとに集めました。

土壌断面から層位ごとにサンプリング
班によってサンプリングする断面が異なるため、思うように土壌を採取できず、苦戦していた班もありました。
しかし、これが後の結果にどんな影響を与えるのかも楽しみです。石が多過ぎて土壌サンプリングできない班は石を採ってもらいました。

班ごとにサンプリング
さて、次はサンプリングした落葉層や土壌を、2,000mlペットボトルに層位ごとに土壌の再現です。これがペットボトル濾過装置です。
ペットボトルのいちばん下に明るい色の土壌、次に茶色っぽい土壌、というように土壌層位を再現し、いちばん上に落葉層を再現しました。

600mlの降雨を再現
完成した土壌層は班によって相当な差があり、良い見本ができました。
600mlのペットボトルからシャワー状の雨を疑似的に降らせ、どのような水が下から滲出してくるのかを確認しました。最近、ニュースなどで耳にする都市域の排水想定は、一般的に時間雨量50~60mmの雨です。1㎡当たり1時間に1,000ml(1L)の雨が降ると、時間雨量1mmとなります。
今回の実験で降らせた600mlの雨を時間雨量に換算すると約63mmとなり、都市域の排水想定とほぼ同じ条件になります。

濾過されたはずの水が滲出してこない班
5つの班が各々の濾過装置を持ち寄ると、あれれ、滲出してきた水量も色合いも違います。
そこで、みんなで「なぜ違うのか」について考えました。

5班の滲出水の量や色の違いを観察
下の写真の一番右側のものは、上から注いだ水が出切らずに、なんと上の濾過装置に溜まったままでした。それに対して一番左のものは注いだ水の多くを濾過装置が吸収し、滲出水量が少なくなっていますが濁りがあります。そして真ん中のものは、注いだ水の多くを濾過装置内に保持していたため、滲出した水量が少なく、水の色も最も薄くなっていました。

各班の土壌層の違いと滲出水の違いを見比べる
「この違いは何か」そして「この5つのサンプルのうち、山の尾根筋の乾燥地に相当するのはどれで、山裾の土壌に近いのはどれなのか」についても考えてもらいました。

どうして滲出して来た水が違うのか全員で考える
山の土壌は単に樹木を育てる培地ではありません。降雨がそのまま河川に出ないように一時貯留したり、降雨に含まれるいろんな成分を濾過したり、河川を通じて植物プランクトンや海の海藻を育てるフルボ酸鉄を供給したり、様々な役割を果たしながら、多くの生き物を養っているのです。
宮小学校のみなさん、一之宮町の素晴らしい森林の役割を、岩瀬小学校のみなさんにも伝えて下さいね。
以上、報告はJIRIこと川尻秀樹でした。
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