“林業に縛られず、林業にこだわる”社会起業家、青木亮輔さんに学ぶ
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株式会社東京チェンソーズ代表取締役の青木亮輔さんを講師にお招きし、「“林業に縛られず、林業にこだわる”社会起業家、青木亮輔さんに学ぶ」と題した講座を実施しました。
青木さんは、東京・檜原村を拠点に、日本の林業に新しい価値を生み出し続けながら、「林業をアップデートする」社会起業家でもあります。

青木さんと参加者同士の自己紹介タイム
1976年大阪生まれ。1999年東京農業大学農学部林学科卒。学生時代は探検部に所属し、モンゴル国での洞窟探査やチベットでのメコン川源流航下などの活動に熱中され、2001年に林業の世界に飛び込まれました。
その後、山側エリアの問題として、①木材価格の低迷による素材生産量の減少、②山側エリアの人口減少(檜原村は2001年に3,500人いた人口が2025年には1,850人、そして2050年には800人と予測されている)、③手入れ不足による水源涵養力の減少を感じたそうです。
そして現場スタッフの待遇改善・福利厚生の充実を目指し、安心して働ける職場づくりのため、2006年に東京チェンソーズを創業されました。活動内容は、森林整備を中心に木材販売や木育、森林空間活用など、森と街をつなぐ様々な事業を展開してこられました。
現在は、株式会社東京チェンソーズ代表取締役、檜原村林業研究グループ「やまびこ会」役員、(一社)TOKYOWOOD普及協会専務理事。2023年5月からは檜原村議会議員も務め、忙しい毎日を過ごされています。

東京チェンソーズ立ち上げの経緯を語る青木さん
座右の銘は「林業に縛られず、林業にこだわる」で、これを理念に掲げ、従来の木材生産だけにとどまらない多角的な森づくりを展開。森林整備を軸に、木育活動や地域資源を活かした商品開発、企業研修、体験型プログラムなどを通じて、都市と山をつなぐ役割を果たしています。
東京チェンソーズとしては『林業を基軸に森林の価値を最大化させる』ために何をするのかを考えており、青木さんの大きな魅力は、林業を“古い産業”としてではなく、“未来を創る仕事”として発信している点です。
森林の価値を最大化するために、①森づくり(林業)、②ものづくり(1本まるごと販売)、③ことづくり(体験サービス)、④広報事業の4つに重点を置いて活動されています。
若い世代や異業種の人々を積極的に巻き込み、森に関わることの楽しさや社会的意義を伝えながら、持続可能な地域づくりを実践。東京という大都市の中に残る森林の価値を再発見し、人と自然の新しい関係を提案しています。

自社有林の森林管理について解説
東京チェンソーズの方々が地域で認められるためには、丁寧な森づくりを通して信頼を得ることが重要です。
認定維持に年間100万円ほどかかるFSC認証(Forest Stewardship Council)も、認証取得に必要な持続可能な森林管理を行うことで、木材価格は高くならないものの、企業価値を高めることができるそうです。
「自分たちの林業の取り組みを見える化する」ためにもFSCは価値が高い。しかし、自社有林だけで持続可能な森林経営をするには、木材の販売について新たな策を講じなければ、収入減となってしまう。
そこで出てきたのが、「1本丸ごと使い切る挑戦」です。

FSC認証について説明する青木さん
東京チェンソーズだけで「1本の木を使い切る」には無理がある。ここで重要なのは異業種との協働です。木造建築などに利用されるFSC認証材は多いものの、FSC認証の家具はあまり見かけないため、家具業者とコラボする。
伐採したスギやヒノキの梢でも、切株でも、根っこでも、少しの加工を加えてお金に替える。そうした考えも必要なのです。

丸ごと1本を使い切る方法を説明
ことづくり(体験サービス)では、森デリバリーやガチャ、机づくり、ツリークライミングⓇ、東京美林倶楽部、MOKKI NO MORIなどについて説明されました。
森デリバリーでは加工品販売や木製のおもちゃづくり指導もできますが、最も有効なのは企業からの依頼を受けながら、同時に自社製品を販売できれば、収入も会社のPRも効率良くこなせることです。

森デリバリーの取り組みを紹介
コロナ禍によって対面販売が規制されると、ガチャを導入して販売促進を試みたそうです。
現在では60基ほどあり、年間300万円ほどの収入が上がることもある。こうした販売方法も時代ならではです。
他にも毎月実施されている「6歳になったら机をつくろう」という家具づくりや、年間5回ほど実施する人気体験「ツリークライミングⓇ」、入会金5万円で実施してきた「東京美林倶楽部」には300組ほどの家族が登録されているそうです。
こうした活動により、かつては100立方メートルの木材で100万円ほどにしかならなかった収入が、約8,000万円ほどにまでアップしてきたそうです。

コロナ禍から生まれた木工品ガチャ
現在、力を入れているのが「企業研修」で、企業は平日に大人数で参加してくれるので対応もしやすいし、地元の弁当屋さんも儲かる。地域全体が潤うことも重要なんです。
また、「森と街との共生(流域という視点で街とつながり、森の課題を解決していくこと)」が重要だと考え、新たな展開も始めているそうです。

流域という視点から森と街の共生を語る青木さん
午後からは、岐阜県立森林文化アカデミーの演習に移動です。
参加されたみなさんと演習林の広葉樹林や66年生ヒノキ林、112年生のスギ・ヒノキ林を歩いて、木材の価値について意見交換しました。

演習林で木材の価値について意見交換
歩いている途中で、幹に大きな穴の開いた太いアカメガシワを前に、青木さんは「これですよ、これ!」と話され、私たちには欠点にしか思えない幹に穴の開いた立木も、異業種の方によっては大きな価値のある木材になることを語られました。
今回参加された方々は、少し歩いては自分の現場に例え、どのように考えれば良いのか青木さんに質問をし続けていました。

山の見方について語る青木さん
さて、最後に参加者からの最終質問タイムです。
東京チェンソーズは補助金に頼り過ぎない林業を目指していますが、補助金を毛嫌いしている訳ではありません。
事柄によっては、補助金申請のための書類を作成することで目標設定を明確化できるという価値もある。すべては考え方次第だと気付かせるお話をされました。

参加者からの質問に答える青木さん
現場主義を大切にしながらも柔軟な発想力を持ち、林業・教育・観光・デザインなど多分野を横断する活動を推進しています。青木亮輔さんは、森林と人との未来を切り拓く次世代林業のリーダーと言える存在だと感じる講座でした。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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