加茂郡七宗町 七宗小学校5年生の「森林と水」に関する出前授業

開催した日:

 今日は加茂郡七宗町の七宗小学校での出前授業、この学校は今年から神渕小学校と上麻生小学校が合併してできた新しい学校です。

 5年生は社会科の『私たちの生活と森林』のなかで、森林について学びます。そこで5年生担任の先生から、「森林の防災的な視点から、土砂崩れや川の増水、洪水緩和、保水機能などを学べる出前授業をして欲しい」と依頼がありました。

森の土壌がなぜフカフカなのか考える生徒さん

森の土壌がなぜフカフカなのか考える

 今日はあいにくの雨でしたが、逆に雨だからこそ森林の役割を目で確認することができる好条件です。

 吸水スポンジを入れたペットボトルに水を注ぎ、そのスポンジがどこまで水を吸えるのか、そして吸いきれなくなるとどうなるのかを見てもらいました。
 そしてまず、「なぜ森の土壌はフカフカなのか」を考えてもらいました。
 子どもたちから、「落ち葉があるから」、「ミミズがいるから」、「木が生えているから」、「動物の糞があるから」、「昆虫がいるから」など、いろんな意見が出ました。

雨のグラウンドを見て、水のはけ具合を確認する生徒さん

雨のグランドを見て水のはけ具合を確認

 次に、今、雨が降っているグランドを見に行きました。子どもたちは事前に5グループに分けてあったので、グループ行動しながら意見集約もグループごとにしました。

 グランドの表層には水が溜まっています。ここの右側にはアスファルトの駐車場があり、そこも水溜りができています。「どうしてグランドは水溜りができているのか」をグループごとに考えてもらい、発表してもらいました。

学校裏山でフカフカな林地を実感する生徒さん

学校裏山でフカフカな林地を実感

 グランドに続いて学校裏山に行きました。この森に入るやいなや、子どもたちは、「フカフカやぁ~!」と言い始め、森の土壌の特徴を実感していました。
 そこで、「さっきのグランドは水が溜まっていたけど、この森の土壌はどうですか」と問いかけると、「水がしみ込んでいる」、「グランドとは全然違う」などの意見が出ました。

森の土壌層の再現について説明を聞く生徒さん

森の土壌層の再現について説明

 今見てきた水を吸い込んでいた森の土壌を、2リットルのペットボトル内に再現してもらいました。
 森林土壌の表層には何があり、下の方には何があるのか、グループで考えてもらいました。

ペットボトルに詰める5種類の素材について聞く生徒さん

ペットボトルに詰める5種類の素材

 今回は5種類の素材をペットボトルに詰めて、5層の濾過層を作ってもらいました。それぞれの土壌の特徴を説明してから、「どれが地面の下の方の素材なのか」を質問しましたが、どうもよく分からないようでした。

素材を触って感触を確かめる生徒さん

素材を触って感触を確かめる

 直接素材に触ってみてから、グループでどの順番に入れるべきかを話し合ってもらいました。
 「赤い土が上の方」とか「黒い土が3番目」とか、グループによって少し意見が違っていましたが、すべて子ども任せにして、素材の順番を決定してもらいました。

移植ゴテで素材をペットボトルに入れる生徒さん

移植ゴテで素材をペットボトルに入れる

 グループごとにペットボトルに素材を入れていきます。この時注意することは、入れ過ぎないこと。
 一旦入れ過ぎると修正が難しいので、少量ずつ入れて土壌層を再現していきました。出来上がった土壌層はグループによって順番が違い、また入れてある素材の量も相当な違いが見られました。

 そこで5つの素材について、本当の順番を説明しました。ただし、順番が違うからダメなのではありません。実際に山でも地滑り地や崩壊地によっては土壌層が逆転していることもあります。重要なのは子どもたち自身が考えて、実際にやってみることなのです。

雨量63mmほどになる散水をする生徒さん

雨量63mmほどになる散水をする

 2リットルのペットボトルに、600mlのボトルから雨を降らせました。本来であれば、1時間かけて雨を降らせたいのですが、今回は急いで降らせました。
 赤い粘土層が厚いグループは降らせた水がなかなか濾過してきませんでした。

5グループの水の濾過状況

5グループの水の濾過状況

 5グループのペットボトルを並べて、濾過された水の量や色合いの違いを比較しました。
 土壌素材を入れてすぐに雨を降らせたので、濾過された水は少し濁っていますが、決定的に違うのは下に滲出してくる水の量で、少ないグループと多いグループでは2倍ほど差がありました。

濾過状況を確認する生徒さん

濾過状況を確認

 濾過される水がそれほど差があるのか。どうも納得のいかない子もいるようで、前に出て来て確認していました。

 最後に今回の実験は、「正解か」「間違いか」が問題ではなく、森林の土壌が多くの土壌層からできていること、そうした土壌層にはそれぞれの役割があること、そしてその土壌層は多くの生き物のおかげでできることなどを理解してもらうことでした。
 そして現場で、森の土壌の働きを目で見て、体で感じてもらうことが重要だったのです。

 以上報告は、jIRIこと川尻秀樹でした。

 

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