morinosプログラム2026『Basic Arborist Training-1 BAT-1』開催しました。
開催した日:
morinos連携講座『Basic Arborist Training-1(BAT-1)』、安全な樹上作業のためのアーボリスト・トレーニング講座を開催しました。
参加者は岐阜県内の方々。メイン講師はATI(Arborist Training Institute:アーボリスト®トレーニング研究所)のトレーナーである近藤紳二さん、そしてアシスタントとして下西あづささんがサポートして下さいました。
最初にアーボリストがどのように樹上がるのか、下西さんのデモンストレーションを見ながら近藤さんが解説し、その後、各自が使用するギアの説明がありました。

スローラインを掛ける近藤さん
最初に、ロープ設定のためのスローラインの掛け方を練習しました。まずは近藤さんが「スロー」と発声して、「OK」リターンコールを受けて、スローラインをクスノキの枝に掛けました。

スローラインの練習をする参加者
近藤さんの手本を見た後に、参加者はスローライン先端に重りとなるスローバッグをツイスト・スリップノットで結び、「スロー」のコールをしてから、ラインを掛ける練習をしました。
基本の投げ方は「ダブル・ハンド・クレイドル・スロー」です。
「アーボリスト」は樹木の生育を促したり、樹勢回復させたり、枯枝剪定や整枝剪定をしたり、伐採したりできる技術者のことです。ATIは世界組織であるISA(International Society of Arboriculture)に日本で唯一認められた団体で、中部大学教授の John Gathright博士が所長を務める団体です。ちなみにISA とはアメリカに世界本部を置くアーボリストの世界組織です。

ランヤードの仕立て方を説明する近藤さん
ツリークライミングⓇで用いるランヤードの仕立て方です。一般に、購入するランヤードはパーツがバラバラなので、それを組み立てる必要があります。その時に最も重要になるフリクション部分については、6コイル・プルージック、シュワビッシュ、ディステルの順にロープワークを学びました。
ロープにプーリーを通して少し斜めから力を加えると、プルージックでは前後両方向に動かすたびにブレーキがかかる、シュワビッシュでは前に動かすときにスムーズで後ろにはブレーキがかかる、ディステルでは何度も前後するうちに緩む可能性がある、またプーリーを付ける向きを間違えるとフリクションが効かなくなる可能性があることなども学びました。

ランヤードの使用方法を説明する近藤さん
その後、完成したランヤードをクライミングサドルに装着して、地上でランヤード操作を練習しました。シュワビッシュで完成させてシステムを利用してランヤード操作を何度も繰り返し練習しました。
その後に、ロープをセッティングするためのスローライン操作です。「ダブル・ハンド・クレイドル・スロー」で、投げる前の「スロー」、コールバックの「OK」、危険時の「ヘッド・エイク」を心掛けながらライン設定しました。
さらに、装着するギアの説明を受けたのち、実際のロープセッティングです。どのように基本のMRS(Moving Rope System)をつくるのかについて近藤さんが説明されました。

ロープ設定を説明する近藤さん
続いて参加者自身でスローライン設定から、MRSのセッティング、疑似的なクライミング体験です。
参加者は慣れない横文字、Throw、Head Ache、 Bark Check、 Bounds Check、 Climbing up、 Climbing down、 Open Rope、 Blakes などをコールしながらセッティングに励みました。

クライミング練習する参加者
なんと、参加者全員がクライミングし始めたのが16:30からです。初めて樹上の世界を体験した参加者は、少しの不安を抱えながらも、楽しいクライミングを満喫したのです。

テキストに基づいて説明する近藤さん
夕方、薄暗くなってから20:00までは室内での講義です。
配布されたテキストを基に、まずは、様々なギアについて説明されました。カラビナに記された数値の意味の解説、ロープを構成するストランドや、そのストランドの1本が切れたら廃棄すること、ロープが汚れたらどうするのか、セィフティグラスのANSIはZ87(保護メガネのアメリカ規格)など、説明は多岐にわたりました。
クライミング環境周辺のインスペクションについては、ブランチ・バークリッジや入皮、きのこについての見極め方法を説明されました。
そして実際の作業計画の①ドロップゾーン、②ワークゾーン、③セイフティゾーンなどのゾーニングについて説明をされ、他にもコールとコールバック、フリクションセーバーなどについても説明されました。
さて2日目です。
アーボリストの安全のための意識として、Good⇒Better⇒Bestの考え方の必要性、クライミングの基本である「Low&Slow」の意味も思い出しながらの2日目です。
1日目の夜に話のあった多くのノットやベント、ヒッチといった各種のロープワークを確認しながら、クライミングシステムの復習としてロープセッティングしました。

ボディ・スラスト手法を示す近藤さん
そして、フットループを使わないクライミング方法としてボディ・スラストを学びました。
このボディ・スラストは大きな枝の上を移動するリム・ウォークの時にも利用する移動方法です。

リム・ウォークを見せる近藤さん
次に近藤さんは、樹上の大枝上を移動する技術であるリム・ウォークを説明されました。
地上に置かれた大枝の上を枝先に移動するのですが、その時に自分のロープに荷重をしっかりかけて、大枝にかかる荷重を少なくする必要があります。
近藤さんは大枝上をスイスイと枝先に移動して見せてくれましたが、その後に参加者がチャレンジするとこれが難しい。
ペアでクライミングとリムウォークの練習をしながら、どのようにポジショニングすべきかを学びました。

スローラインのトラブル対応を学ぶ参加者
その後は、スローラインが樹上で引っかかってしまった時のトラブル対応を学びました。
まずはスローラインをつま弾くストラミング(Strumming)、次に別のスローラインで吊り上げるフック&リフトです。どちらも実践しないと分からない技術です。

モンキー・フィストをスローする参加者
スローラインを投げるほどでない高さにロープを直接設置する時に有効な、モンキー・フィストによるスローを学びました。参加者はこのロープ・スローに成功した後に、ロープを左右に移動させるロープウォーキングにもチャレンジしていました。
他にも樹上でのロープアドバンスについて、どんな手順でロープを掛けて次に移って行くのか、どのような位置にアンカーを取るのかを学びました。

クローズド・ヒッチ・システムとオープン・ヒッチ・システム
MRS (Moving Rope System)はOpen Hitch Systemです。そこで近藤さんが海外のアーボリストの多くが使っているディステルとフットアセンダーによるクローズド・ヒッチ・システム(Closed Hitch System)を紹介され、一人ずつチャレンジしました。
使用するギアの強度22KNは80kgの人が5m落下した時の衝撃荷重に相当すること、カラビナは一度樹上から道路などに落として傷が付いたりすると金属疲労が入るため、その後の使用は推奨されないことを学びました。

ブロック取り付け時のカウ・ヒッチを学ぶ参加者
リギングプーリーの取り付けは、ティンバー・ヒッチかカウ・ヒッチで付けます。そのロープワークも学びました。
ロープとプーリー、ロープとカラビナの関係ではベンド・レイシオ(Bend Ratio:ロープの曲げ比)について触れられ、リダイレクトの際に使用するカラビナは2つで良いこと、リギングなどでのベンド・レイシオは4倍であることも学びました。
樹上のアンカーポイント、作業をする上でのリギングポイント、そのためのクライミングコース全体をどう見るのかを実際に生えているコナラを例にして学びます。ロープをかけるアンカーの枝の太さは、ISAでは3インチとなっていますが、これは樹種、病害虫の有無、角度によって違うため、実際の樹木を例にした説明に大きな意味があります。

手ノコの操作について説明する近藤さん
手ノコはどこに装着するか、ノコギリをどのように抜いて切断するのか、操作する際に、自分が使用しているクライミングロープやランヤードに注意すべきことは何かなどのポイントを押さえながら、ノコギリでの切り方について何種類か実践しながら説明して下さいました。
講座の最後には、近藤さんから「重要なノットは必ず繰り返し練習して下さい。エンドノットとしてのフィギュアーエイトノット、ダブルオーバーハンドノット、ダブルフィギュアーエイトやバタフライノット、シートベント、クイックヒッチを学びました。今後はリギングで必要なカウヒッチ&ハーフヒッチ、ティンバーヒッチもできるように学んでください。」と話がありました。

今回の参加者と記念撮影
2日間のBAT-1講習でしたが、今後も毎日練習し技に磨きをかけることを誓いながら記念撮影です。「Tree!」の掛け声でポーズをとりました。
以上報告は、JIRIこと川尻秀樹でした。
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
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