雨でも外でも関係なし!関市立南ヶ丘保育園に行ってきました

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morinosでは今年度も、関市の「チーム森」という保育士さんたちの自主グループと市役所の子ども家庭課とタッグを組んで「自然保育」を推し進めます!
今回は関市公立保育園の自然体験活動の支援に南ヶ丘保育園に行ってきました。

当日は梅雨時期らしく今にも雨が降り出しそうな曇り空。昼からは雨の予報です。フィールドを開拓しほぼ毎日森での遊びを行っている園の子どもたち。園庭でも雨の日は外に出て水遊び・泥んこ遊びを楽しんでいるそうですが、関市の保育園事業で雨が降るのは初めてとのこと。先生たちは、「子どもたちは寒くなったら帰りたくならないかな?」、「雨でも外でお昼ご飯は食べられるのかな?」と少し心配されていたそう。さてさて、どうなったのでしょうか。

今回は下見の際に見つけた危険な木を処理するため、ヘルメットやノコギリ、ロープなどの荷物がたくさん。この荷物たちをどうやったら子どもたちが持ちたくなるか、少し工夫を凝らします。ヘルメットを竹に通してみたり、グランドシートをヒモで繋げてみたり、リアカーにロープをつけてみたり・・・今回子どもたちに選ばれたのは、リアカー。全員でロープを引っ張り運びます。

目的地までは林道を歩いて10分ほど。でも、リアカーは途中わざと林道を外れデコボコ道を進みます。大きなくぼみや水たまり、はたまた倒木など、リアカーはどんどん難関にぶつかります。

「木が倒れてて通れないよー、どうする?」とナバさん。「持ち上げよう」「木をきれば通れるよ」と意見が出て、ノコギリで伐ることに決定。交代して伐り続ける子どもたち。応援の歌をうたったりガンバレーと励ましたり、あきらめる声はあがりません。あまりに集中していて「あれ?今なんで木を伐ってるんだっけ?今日の目的地はここだったっけ?」と忘れてしまうくらいです。

途中子どもが少し疲れたかなと思うと、ナバさんがヤスデを見つけました。体の形と長さをダンゴムシに例えて、「長い『だーーーんごむし』がいるよ」と紹介。手のひらを線路に見立て、だーーーんごむし電車を走らせます。ほかにも、木のにおいをかいでみせるなど、さりげなく小休止をはさみます。その後、子どもたちは自然と伐る作業に戻ります。伐れたら思わず全員が拍手。でも、1本伐ってもまだ通れなさそうです。「もう通れるかな?」「まだきらなきゃダメかも」と子どもたち。すぐにまた子どもたちが自主的に伐りはじめます。誰も他に遊びはじめたり別の場所に行ったりしません。伐ること自体が楽しく、自主的にその場にいたいんだなぁと思わせてくれる風景でした。2回倒木を伐り終え、途中の道だけでもう大盛り上がり。「時間はいくらでもあるんだよ」と伝え、大人が決めた目的のために急がせないことで子どもたちのやりたい気持ちに寄り添ってあげることができました。

 

荷物をみんなで運ぶという、自然に発生したグループワーク。本当に危険な時以外大人が手も口も出さないことで、子どもたちが考えたり協力したり、方法を試したり。子どもがとる行動や発する言葉、友達とのかかわり方から、子どもたちの気持ちを見守る大切さを学ばせてもらう時間となりました。

贅沢にも、約2時間かけて目的地に到着。お昼ご飯を園から運んでもらい、1日時間が自由にあるからこそ生まれる余裕です。
そして着いたとたん、堰堤の下にたまった水に飛び込む子どもたち。気づいたら服を脱いで水着になりゴーグルをはめ・・・準備万端でした。

 

ここでもリアカーが大活躍。荷台の部分を外して船にして遊びます。船として乗り込むのが難しいとわかると、石を投げ入れる的に早変わり。「沈むまで入れる!」とここでも子どもが協力して遊びはじめます。どんどん上達する子どもたち。でも、ナバさんが入れるくらいの大きさがある荷台。本当に沈むまでやるのかな?との大人の思いとは裏腹に、本当に沈むまで石を投げ続けました。しかも、歓声のあとは「もう1回沈める!」の声。

実は堰堤の下に到着してすぐに遠くで12時を知らせるサイレンが鳴り、小雨がポツポツ降り始めていたのですが、子どもたちはそんなことに気づかず集中して遊びはじめます。「自分たちがおなかが空いたら食べればいいし、寒くなったら上がればいい」と、ここでも子どもの気持ちを優先します。

子どもの遊びの裏側では、大人たちが寒さ対策にタープ張りとたき火の用意。先生方はグランドシートとビニールロープを使ったタープ張りを真剣な顔で学びます。今回のたき火はメタルマッチという雨にぬれても使える道具を使いました。雨が降ってもこうすれば雨がしのげるしたき火も楽しめる、と先生方の学ぶ意欲はとまりません。

下の枯れ葉に火が燃え移らないよう、熱くなった場所がわかりやすいよう、アオキの葉っぱを周りに敷き詰めます。そのアオキを火にくべてみたら、バチバチバチッという延焼の音。「花火みたい!」とアオキが人気者になり、アオキがほしくて見分けられるようになる子どもたち。たき火のおかげで冷えた体が温まり、また水辺に遊びに行く循環もはじまります。

ご飯のあとに特盛バナナとマシュマロを焼いておやつを食べながら「また水に行く」「もっと遊ぶ」「あれ?雨降ってたの?」と遊びが止まらない子どもたち。「親さんたちにお迎えはここまで来てもらわんとね」「今日はここにお泊りやね」とつられてニコニコ大人たち。

雨なんて関係ない。子どものやりたいことをやれるような場をつくる。そして、少しだけそそのかす。子どもが乗ってきたら大人はそっと退散する。子どもの気持ちを優先することで満足いくまで遊びきる濃~い時間を過ごすことができました。

園に戻ってから、大人たちのふりかえり。1人ずつ今日の学びを共有します。その場ででたコメントは文書で共有され、当日参加できなかった先生方も見れるようにしているんだとか。アツすぎます、チーム森!

ふりかえりでは、ナバさんからは「今日はほんとは目的地にある危険木を伐ることがクライマックスかなと事前に思っていたけれど、そうはならなかった。リアカーも実は予定していなかった。予定してると、途中の楽しいところは捨てていかないといけなかったかもしれない。だから準備はしていても捨てることも大事」、ジリさんからは「担任や先生として子どもを見るのではなく、第3者として、外の人にその時間を任せて先子どもを見るとまた違う発見や学びがある。そういう風に我々を使ってもらっていい。すごいフィールドじゃなくても子どもたちは遊べる。やり方次第」とそれぞれコメントが。

*以下、先生方からのコメント抜粋
・木を伐ることになったとき、子どもが「時間なくなる」と言ったが、「時間は寝ても覚めてもいくらでもある」というナバさんのコメントで子どもたちもそっかと思って気持ちが切り替わった気がした。声かけ次第なんだなと思った。
・誰も「早く帰ろう」「もう帰りたい」「寒い」「もうやだ」という日常でよく聞く言葉が何1つ聞かなかった。それだけ集中して楽しめている。
・子どものやりたいことを尊重するけど、安全のベースはきっちりある。
・石投げ、ほんとに沈むまで続けるとは思わなかった。石投げもどんどん上手になっていった。こうやって好きなことに集中して上達していくだと思った。
・平坦な道をいくのではなく凸凹道を行く過程も楽しむということ。
・ノコギリで切っているとき、「あれ?これ何のために切ってるんだっけ?」ってところどころ目的を確認していたところが秀逸だった。時間を気にしすぎると2回目の伐るところを見守ってあげれない。時間を気にしすぎるのは反省だった。
・ヤスデのだーーーんごむし。おもしろかったしさわってみようかなって思わせるネーミングセンス。
・子どもたちからこうしたら?ああしたら?と意見が出て、これから必要な考え方を学んでいると思った。子どもたちの生きる力をかんじた。生活する力、友達と協力する力、子どもの力ってすごいなって思った。
・雨だけどこれだけ楽しめるんだって思えた。大人も楽しみすぎてるくらいだった。
・ここまでやったら安全というところは私たちにまだ足りないので、そこを学んでいかないといけない。

誰か1人熱意のある人が活動を続けるのは大変だけれど、熱意のある先生が集まることでお互いを高めあい、支えあい、学びあって実践できていく。
先生たちによる子どもたちへの熱い思いに感激した1日でした。

morinosでは、これからもこの活動を支援し、保育士の皆さんと森の中での楽しみ方や安全について一緒に考えていきます!

(森林総合教育センターmorinos 瀧上)

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