『岐阜県の森・山・川で事故が発生しているんです』 〜morinosで自然体験活動の安全対策を学ぶ〜
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自然をフィールドに活動する私たちが、絶対に忘れてはならない「安全」への意識。
今回は、全国の山、森林、河川における事故調査や安全対策に精通した北川健司さんを講師にお迎えし、「自分たちのフィールドの安全対策をアップデートしたい」、「万が一の事故に備え、基礎からしっかり学びたい」という方々にご参加いただきました。

全国各地の事故事例を紹介
北川さんは、中部山岳ガイド協会会長で、川に学ぶ体験活動協議会常任理事人材育成部会長、自然体験活動協議会安全委員、日本エコツーリズムセンター安全委員、広域防災水難救助捜索支援機構理事長、国土交通省事故調査委員など、全国の山や森林、河川の事故調査を20年以上行ってきた安全管理のスペシャリストです。

全国の水難事故マップを紹介
『全国の水難事故マップ』で過去の事故発生地点を確認すると、死亡事故などが特に集中している場所の一つが、美濃市の旧美濃橋周辺であることが分かります。
以前の統計では、美濃市が全国有数の水難事故多発地域とされていました。しかし近年は、琵琶湖において、特にSUP(スタンドアップパドルボード)利用者による救助要請が増加しています。

郡上市美並町で発生した水難事故の現場を解説
続いて、郡上市美並町の長良川で発生した死亡事故の事例です。この場所は、上流から下流を見た際に川が右へカーブしており、左岸側に大きな岩があります。その岩の下には、「アンダーカットロック」や「シーブ」と呼ばれる危険な地形が存在します。
アンダーカットロックとは、長年の流水によって岩の下部が侵食され、オーバーハング(張り出した状態)になった岩や岩壁のことです。水流がその下へ入り込むため、近づくと身体やボードが引き込まれるおそれがあります。また、水量によっては水面下に隠れて見えにくくなるため、発見が難しく、水難事故や死亡事故の原因となる危険な障害物です。
一方、シーブは「ストレーナー」とも呼ばれ、水は通すものの、人やボードなどは通さない岩や流木などの障害物を指します。誤って接近すると、水流によって障害物に押し付けられ、脱出できなくなる危険があります。そのため、水難事故や死亡事故につながる極めて危険な障害物として知られています。

美濃市上河和でのカヤック事故について説明
川で見られる危険なサインに①エディや②エディラインがあります。
エディとは、岩などの障害物に流れがぶつかったり、掠(かす)めたりすることで、障害物の下流側にできる流れがほとんど止まっている水面のことです。
また、エディラインとは流れとエディの間にできる渦やボイルが発生する不安定な境界です。この渦の力は強くありませんが、水中に引き込まれる可能性があります。

堰堤事故の危険性と事故事例を紹介
続いて、揖斐川町で発生した高校2年生の堰堤事故の事例です。堰堤は天然の岩場とは異なり、水中から抜け出しにくく、重大な事故につながる危険があります。
堰堤の下流で循環流に巻き込まれた場合、水面へ浮上しようとするよりも、流れの最下部まで潜り、下流側へ抜けることが有効な対処法とされています。
また、このような事故では、要救助者に対して早期にCPR(心肺蘇生法)を実施できれば、救命につながる可能性が高まります。そのため、CPRを習得しておくことは非常に重要です。
河川では、岩や堰堤の下流に白い泡が見られる場所があります。このような場所では水中に多くの空気が含まれており、水の浮力が低下するため、水面へ浮上することが難しくなります。また、その周辺は流れも複雑で強くなっていることが多く、注意が必要です。
このほかにも、2009年に揖斐川で発生した堰堤事故、関市板取の林道における落石事故、大垣市上石津町での落枝事故などを題材に、「どのような危険が潜んでいたのか」「何に注意すれば事故を防げたのか」について解説が行われました。

こども会活動中の事故と裁判事例について解説
最後に紹介されたのは、昭和37年に発生した子ども会活動中の事故です。この事故は、日本で初めてボランティアの過失責任が問われた事故・裁判事例として知られています。
事前の下見や当日の注意喚起、河川での監視も行われていましたが、事故を防ぐことはできませんでした。講演では、何が不足していたのかという視点から、事故原因と再発防止策について解説されました。

事故現場の位置図を用いて説明
ボランティア活動であっても、事故が発生した場合には、その対応や安全管理について責任が問われることがあります。
この事故では、小学3年生の児童が亡くなられました。裁判では、①「事前の下見」、②「事前の注意喚起」、③「当日の監視」のうち、特に「当日の監視体制」の妥当性が重要な争点となりました。
また、被害児童が小学3年生であったことなどを踏まえ、児童と引率者(指導者)の過失割合は30%対70%と判断されたと紹介されました。

グループ討議を踏まえ、下見の重要性を振り返る
そこで、本日の参加者同士で、①下見、②注意、③監視の各場面について、「何が不足していたのか」をテーマにグループ討議を行いました。
参加者からは、「事前の下見だけでなく、当日も現地の状況を確認すべきだったのではないか」「下見の結果を関係者全員で共有すべきだった」といった意見が出されました。
また、「注意を行うのであれば、より具体的な内容を伝えるべきだった」「子どもたちをしっかり集めて注意事項を周知すべきだった」「監視については、引率者全員の役割分担を明確にしておく必要があった」といった意見が出ました。
北川さんは「監視」のポイントとして、①監視範囲を明確に定めること、②特に危険な場所には監視員を配置すること、③管理者は全体を見渡せる位置に配置すること、④適材適所で人員を配置すること、⑤互いの安全確認を行うためにバディシステムを活用すること、⑥行動が不安定な参加者には特に注意を払うこと――などについて解説されました。
また、過失割合については、対象が園児の場合には引率者側の過失が100%、中学生や高校生の場合には本人の責任が100%となる可能性が高いことも説明されました。
最後に北川さんは、「発生する事故の95%はヒューマンエラーによるもの」と述べられました。私たちもくれぐれも気を付けて活動したいものです。
以上報告はJIRIこと川尻秀樹でした。
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