『川に住む生き物と森や海とのつながり「鮎」』を開催しました

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 morinos県民向けプログラムとして、結の舟 代表で職業漁師&エコツアーガイドの平工 顕太郎(ひらく けんたろう)さんをお招きし、『川に住む生き物と森や海とのつながり「鮎」を開催しました。

本日のお話について説明する平工さん

本日のプログラムについて説明するスタッフ

 山や森から流れ出す豊かな水が、たくさんの命を育む長良川。緑豊かな森の恵みが植物プランクトンを育て、水生昆虫を育み、河川の浄化にも役立っています。

 今回のプログラムでは、川の生き物たちの生態や、魚を通して森や海とのつながりについても学ぶと同時に、長良川の伝統的な漁具についても平工さんから詳しくご説明いただきました。会場では、川の環境を再現した特設水槽に、アユやオイカワなど長良川に生息する魚類を展示。参加した子どもたちには網ですくってカワムツ、カマツカ、ヨシノボリ、アブラボテなどの小魚を水槽に移してもらいました。

カワムツやカマツカを追加で入れる子どもたち

カワムツやカマツカを水槽に移す子どもたち

  平工さんは長良川を拠点に活動する現役の職業漁師です。かつては国指定重要無形民俗文化財「長良川鵜飼」で鵜舟の船頭を務めました。その後、本格的に職業漁師の道に進み、年間を通して長良川で漁を行う傍ら、鮎をはじめとする川魚の出荷や加工品の企画も手がけています。

 また、伝統的な木造和船による長良川エコツアーガイドとしても活動されており、子どもたちの自然学校の計画にも携わるなど、次世代への「川の恵み」の継承にも力を注いでおられます。今回は、そうした視点から長良川について語っていただきました。

長良川の魚について説明する平工さん

長良川の魚について説明する平工さん

 まず平工さんから、「タオルを濡らしておいておくと次の日どうなる?」と質問がありました。会場からは「乾く!」と元気な返事が。
次に「じゃあ、コップに水を汲んで机の上において1ヶ月とか1年たつとどうなるかな?」と聞くと、「無くなる」と返答がありました。
平工さんと会場の問答は続きます。
「川の水は1年たったら無くなる?」
「地球から水はなくなる?」
「(無くならないとの返答に)なんで無くならないんだろう?」
「森に降った雨はどうなるんだろう?」と想像させ答えてもらうことで、水の循環について考えました。

 そして雨の後の濁流になった長良川の写真を見ながら、「アユは水をきれいにする生き物かな?濁りを消してくれる?」と問い、様々な水生昆虫や魚類、淡水の貝類、水生植物、陸生の植物などがいて、それぞれの特徴や役割があること、「清流長良川の鮎というけれど、鮎さえいれば水がきれいなわけではない」と、写真を使ったり水槽の生き物を紹介したりクイズを投げかけたりしながら説明されました。

 また、水槽にいる生き物の紹介の中では、アユは海と川を行き来する両側回遊魚であり、浮袋を持たないのは石についたコケを食べるから浮く必要がないこと、オイカワに浮袋があるのは水面に虫を捕食しに泳ぐときに浮く必要があること、タナゴやカワヒガイが産卵するにはマツカサガイという二枚貝が必要であることなど、生態や生きもののつながりについても学びました。

オイカワの内臓写真を見せて、その機能などを説明する平工さん

オイカワの内臓の写真を見せて、その機能などを説明する平工さん

 平工さんは、日頃の川漁師としての活動についても紹介され、瀬張網漁や手投網、ウナギを捕るための伝統漁具「ウケ(ウエ)」についても説明してくださいました。

ウナギの伝統漁方であるウケ(ウエ)について説明する平工さん

ウナギの伝統漁法である「ウケ(ウエ)」について説明する平工さん

  水槽には、長良川のアユやオイカワ、カワムツ、カマツカ、アブラボテ、カワヨシノボリ、ヌマエビ、スジエビ、テナガエビ、カワニナ、ヤゴ、水草(マツモ、セキショウモなど)が入っています。

 その水槽の生き物や伝統漁法について、子どもたちの質問にも丁寧に答えていただきました。

水槽で見られる生き物について説明する平工さん

水槽で見られる生き物について説明する平工さん

 また、水槽で生きものを飼うには、水をきれいにしてくれるバクテリアの住処となる砂を入れるなど川の環境を再現してあげるといいこと、川にどんな環境がありどんな生きものがいるかを考えるといいことなども話されました。

 今後も、平工さんのご協力を得て、四季折々の川の様子をモリノスにいらっしゃった皆さんに見ていただく予定です。

 実際の生き物たちを通して、森や川のつながりを身近に感じていただけることを期待しています。

報告者:川尻 森の知恵共創共同事業体

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