神渕小学校で森の出前体験~森林と川のつながり~

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 今回の森の出前体験は加茂郡七宗町立神渕小学校へ。こちらの学校では3年生から総合的な学習の時間で川をテーマに、鮎について調べたり、森林をテーマに、地元の森林組合の方と一緒に山へ入り、薪割りやキノコの菌打ち体験をしたり、地域を知るためにさまざまな学習をしているとのことです。これまで学んできた森林と川のつながりについてもっと理解を深めたいという学校からの要望を受け、5・6年生たちと活動をしました。

 小学校の近くには七宗町北部の袋坂峠付近を源にする神渕川が流れています。子どもたちは暑い時期になると、よくこの川で遊んでいるそう。そんな身近な川を取り上げ、活動することにしました。

 はじめに『雨が降らなくても、川の水はなぜ無くならないのか?』という問いからスタート。子ども達からは、「水が蒸発して雲になって雨が降るから、少しの間雨が降らないだけなら無くならない」「水は湧き出てくるから無くならない」といった意見が出ました。この答えを確かめるために、自分達でいろいろな実験をしていくことが、今日のメインです。神渕川は飛騨川を経て木曽川に合流した後、伊勢湾へと辿り着きます。川の始まりから終わりまでを知ってもらうために、絵巻絵本を見せました。川の流れとともに、周囲の自然環境や人と自然との関わりなど、細部に渡って丁寧に描かれた景色が広がります。「みんなの住んでいる場所は、川のどの辺りだと思う?」と質問してみました。

「みんなの住んでいる場所は、川のどの辺りだと思う?」と質問すると、各自がここだと思う場所を指さしていました

各自がここだと思う場所を指さす

 山の近くを指した子もいれば、田んぼや家が立ち並ぶ場所を指している子も。実はみんなが住んでいる場所は源流から7キロほどと山に近く、海までの距離はおよそ98キロあるのでかなり上流であることを伝えました。実際に神渕川の様子を観察し、流れる水の速さを測ってみることにしました。

 5メートルのひもにペットボトルをくくりつけ、足元の水面に落とし、ひもがピンと張るまでの時間を測ります。

グループで協力して行いました

グループで協力して行う

 それぞれのグループが測った時間を平均すると22秒。速さに直すと秒速0.2メートルでした。

 次に、降った雨は土の違いによってしみ込み方に違いがあるのか?実験をして確かめることにしました。

まずは校庭で実験を行います

まずは校庭での実験

 スコップで穴を掘り、水を流し、全部の水がしみ込むまでどのくらいの時間がかかるか測ってみます。

校庭の土の感触を確かめる

校庭の土の感触を確かめる

採ってきた川の水を流し込む

採ってきた川の水を流し込む

結果、3分以上経っても1センチ程しか減らない

3分以上経っても1センチ程しか減らない結果に

 子どもたちは、水がしみ込むのに想像以上に時間がかかることに驚いていました。

 次は裏山での実験です。裏山ではみんながよく使う道やひろばで1回、誰にも踏まれていない林内で1回の計2回行いました。

同じように穴を掘って、水がしみ込む時間を測り、比べる

校庭と同じように穴を掘る

水がしみ込む時間を測り、比べる

水がしみ込む時間を測り、比べる

校庭と裏山の違い

校庭と裏山の違い

 裏山の場合、道やひろばは校庭よりしみ込みが早いものの1分近くかかり、踏まれていないところでは、溜まる間もなく6秒という短い時間で地中に水が消えていきました。

同じような土でもしみ込みが違うのは「隙間」の違い

同じ森の土でもしみ込みが違うのは「隙間」の違いだと説明

 校庭の土は砂粒で、体育等で動きやすいよう圧力をかけて固められて「隙間」がない状態です。それに対し森林では、土の中に住む生き物たちの働きもあって大小さまざまな土の粒になったり、穴をあけられたりして「隙間」ができます。この「隙間」があるからこそ、水がしみ込みやすくなることを説明しました。

 最後に川と森林のつながりをゲームを通じて体感してもらいました。これまでの総合的な学習の時間で学んできた自然や生き物はお互いが密にかかわる網目状の関係です。この複雑な関係から1つでも何かが失われてしまうと、生態系のバランスが崩れ、森林がなくなり、巡り巡って川の水もなくなってしまうこともありえることを目で見て体感していました。

たくさんのものがつながり支えあっていることを実感

つながりをひもで表すと目に見える形になる

 ここで、川で測った流速から計算した『川に降った雨が海に届くまでの時間』を発表。今日の流速が下流までずっと続くと仮定すると6日程で海まで流れていってしまいます。森に雨が降った場合は、隙間のあいたスポンジのような土が雨をよく吸収し、長い年月をかけて地下に浸透して地下水や湧き水となり、川へ流れ込みます。このような森林の土のおかげで、雨が降っても洪水にならず、晴天が続いても川の水が無くならないのです。この説明を聞いて、子ども達は森林の凄さを感じてくれたようでした。

大雨が降っても洪水にならず、晴天が続いても川の水が無くならないのは森の土のおかげ

固い土とふかふかの土の模型で森林の水源かん養機能を説明

 森林の土は栄養豊富で、風雨によって川に運ばれ、川や海の生き物たちの豊かさにつながっています。みんなが今回実験できたのは、みんなの住んでいる地域が川にも森にも近く、とても自然豊かで恵まれた環境であるからだということを話しました。「今回の活動で当たり前だと思っていたことや、いつも見ている風景が、実は当たり前じゃないことに気づけた」「ミミズとか小さな生き物でも居なくなるだけで、自然のバランスが崩れることにびっくりした」という感想をもらいました。これからも故郷への愛着をもってくれると嬉しいです。

  以上報告は、どいっひこと土井早谷香でした。

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