アーボリストへの道Basic Arborist Training-2(BAT-2)
開催した日:
安全な樹上作業のためのBasic Arborist Training Course-2(BAT-2)
アーボリストへの道として、Light Pruning and Rigging (軽い剪定とリギング作業)の基本を学ぶBAT-2。
昨日までのBAT-1に引き続いて、ATI(Arborist® Training Institute)と共催した「樹上作業のためのアーボリストトレーニング」と共同で開催する研修です。本日の指導者は宇治田トレーナー、近藤トレーナー、下西さん、そしてJIRIトレーナーです。
まず最初にペットボトルを使って、アンカーに掛かる荷重、リギング時の動荷重や衝撃荷重をハカリを利用して確認し、その後に参加者が3人ずつ各々①樹木の役、②フリクション・コントロール・デバイス役、③リギング操作役に分かれて、確認体験しました。
他にも軽い剪定枝切りの方法と、リギング作業で用いるギア類について説明を受けました。
BAT-2で学ぶRigging(リギング)はどれほど、危険な仕事であるのか説明を受けながら、「安全に作業する」ため に何を学ぶべきかを再確認します。
フリクション・コントロール・デバイス(ロワリング・デバイス)の取り付けに使うカウヒッチ&ベターハーフ、ティンバーヒッチなどもチェックされます。カウヒッチはスリングが長くないと使えないが、どの方向でもロープを曳くことができる。ティンバーヒッチはスリングが短くても使えるが、ロープを曳く方向が決まってしまいます。
本日の主な内容は
①想定通りの枝おろし Limb Removalとは
②適確な受け口の向きとカッテイング手順について
③高度なハンドソーテクニックの必要性
④リギングRigging に関する「力学」の基本的理解
⑤リギングロープ各種 ロープ特性と役割の理解
⑥各種スリング類の特性の理解と選択
⑦各種コネクティング リンクス等の使い分け
⑧各種フリクション コントロール デバイスとブロック 特性の理解と選択
⑨ポータラップやリガー、RC2001、フローティングやボラードの特徴
⑩ライトリギングの基本セッティング 実践訓練
⑪リギング作業に必要な各種ノットの実践訓練
枝を持ち上げたり、引っ張ったりと、ライトリギングで利用する「カラビナ+プーリー+プルージックコード」の単純な方法と利点欠点、「テンションプーリー」の使い方、そして「フィドルブロックによる5倍力システム」について解説を受けました。
リギングに必要なロワリングデバイスについて、フローティングとボラードについて説明を受けました。リギングブロックなどには最小破断強度(最低破断荷重:ミニマムブレイキングストレングス:MBS)は記入してあります。ちなみに平均破断荷重はABSと示されています。
また運用強度(WLL :Working Load Limit)も記載されていますが、これは安全マージンを含んだ絶対大丈夫な数値です。
今回使用したリグングブロックはMBS100KNで、WLLは20KNとなっており安全係数がMBSの1/5となっています。枝を吊り下げるなら動荷重になるので、更に安全率を10とすると200kgの重さの枝しか吊れないことになります。
24KNのカラビナですが、安全率を10とすると、使用荷重は2.4KNとなります。
(使用荷重)×(安全率)=(破断荷重) 100kgf(1kN)× 5= 500kgf(5kN)
(破断荷重)÷(安全率)=(使用荷重) 500kgf(5KN)÷ 5=100kgf(1kN)
一方、人間を吊るすときには、物を吊るすときより安全マージンをとらなくてはいけないとの思想から、安全率=10とするのが一般的であり、各種の法、規格でそのように定められています。
枝下ろしの チップタイ(Tip Tying)とバットタイ(Butt Tying)についてストラップ利用やバランサー利用、ロワリングデバイスのうちボラードタイプの説明、バランシィングの作り方も学びました。
午後からは場所を移し、森林文化アカデミーフォレスト棟横で、リギングブロック取り付けや剪定のシミュレーションをしました。
グランドワーカーの役割と重要性の理解、事前のグランドデザイン及びチーム連携とコールの重要性、ライトリギング ロープリギング基本作業 実践訓練(バットタイとチップタイ)、樹上でLight Pruning and Riggingをシミュレーションしました。
障害物となる建物の屋根部分と、下ろすべき枝の位置関係、危険性をどのように考えるべきか、樹上作業する人の「安全確保」のために、どのようなポジショニングを考えるべきかを的確な説明を受けました。
本日の最終は宇治田さんによる見本の作業です。ここは森林文化アカデミーでは処理する技術がないとのことで、今回の研修で建物にかかる枝をリギング技術で枝下ろしするのです。
下の写真は作業前の状態で左の建物に枝が掛かっているだけでなく、途中に長さ3m以上の枯れ枝が何本もあります。
3m以上の長さの枝が何本も枯れているので、下を通る歩行者に当たらないように、宇治田さんが剪定してくれました。
ここで重要何が、メインロープへの荷重の掛け方、ボディバランス、ハンドソーの出し入れ、下にいる人たちへの注意喚起です。実践を見学することで大変勉強になります。
下の写真をしっかり確認してください。宇治田さんは細い枝に乗っていますが、決して枝をたわませてはいません。自分のメインロープに見事に荷重をけて、足をのせている枝への負担を最大限減らして作業しているのです。さすがの技です。
本日はみなさま、ご苦労様でした。最後に参加者と笑顔で記念撮影です。
明日以降、素晴らしい樹木を残すための「安全な樹上作業」が始まること、願っています。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。明日は、BAT-3Aです。ご期待下さい。
BAT-1のブログ記事
連携講座 アーボリストへの道『Basic Arborist Trainning-1』 – モリノス (morinos.net)
BAT-3Aのブログ記事
アーボリストへの道 Basic Arborist Training 3A – モリノス (morinos.net)
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