『地方裁量型認定こども園の小玉朋子さんから学ぶ「こどもファースト」とは』実施報告

開催した日:

 地方裁量型認定こども園あきたこどもの森園長にして、特定非営利活動法人理事長であり、野外自然保育、オーガニック給食、木育環境教育等で、「こどもまんなか」で考え取り組んでおられる 小玉 朋子(こだま ともこ)さんによる講座を開催しました。

うえだんなによるアイスブレイキング

「うえだんな」のアイスブレイキング

 まずは対象者理解を含めて、morinosスタッフの上田融(通称「うえだんな」)によるアイスブレイキング。これは参加者同士がお互いに理解を深め、各自がどのような問題意識を持ってここに参加したのかを共有するとともに、講師の小玉朋子さん(以下、小玉さん)に的確なアドバイスを受けるために必要な活動です。
 今回の参加者は教育委員会の方や森のようちえん実践者、現場保育指導者、環境教育指導者、インタープリター、市民講座講師のみなさんで、各自が様々な課題を持って講座に参加されました。

参加者同士のアイスブレイキング

参加者同士のアイスブレイキング

 小玉さんは独自で①地方裁量型認定こども園「あきたこどもの森」②自然あそび親子サークル森の木の子・森の芽んこ、③イベント型森のようちえん・森のしょうがっこうなど様々な活動を実現されているほか、行政とタイアップし、秋田県内全ての子どもたちに自然体験活動をということで、森の保育士養成講座などを行っています。

まずは参加者の疑問にお答えする小玉さん

参加者の問いに回答する小玉さん

 各参加者の方々からこの講座に参加した理由を聞かせてもらい、小玉さんは講義に先だって、その1つ1つにまずは回答されました。
 「行政との関係性」について、小玉さんたちは(保育事業に関しては)自分たちが運営する園の実態、目標などを明確にし伝えることで、「行政側がしっかりバックアップしなければ」と思ってもらえることができたこと。また(木育森林環境学習事業に関しては)行政関係者も、課題解決や目標に近づけるためのヒントを求めていることが多く、そこに自分達の活動の経験上からの様々な的確な提案をしてきたことなどを説明されていました。さらには現在の秋田県の担当者が20代の女性でありますが、意見に耳を傾け取り入れる姿勢など熱意を高く評価し、今後とても期待が持てるとお話しされておりました。
 森のようちえんと言えば、「デンマーク発」で海外から入ってきたと言われておりますが、しかし考えてみれば保育ではないとしても、昔、子どもたちが近所の自然豊かな場所で、日が暮れるまでみんなで思いっきり遊んでいた、日本にも当たり前にあった光景で生活の一部であるといえ、そう思うとハードルも下がるのではともお話しさせておりました。

特定非営利法人Akitaコドモの森について説明する小玉さん

特定非営利法人Akitaコドモの森について

 「認定こども園あきたこどもの森」は、秋田県内で唯一毎日通うことのできる森のようちえんです。四季を通して秋田の自然を遊び尽くしながら、「自然と共存し生き抜く力を育む」活動を実践されています。
 最初は自然遊び親子サークルから始まり、地方裁量型認定こども園へとステップアップして行く。
 小玉さんたちの考えは、自園の子どもたちが良くなればいいのではなく、すべての子どもたちの生きる力が育まれていく環境づくりが重要であり、一般の保育施設が、自然体験活動を当たり前に取り入れられるような状況をつくることが重要だ力説されました。

環境の重要性を説く小玉さん

環境の重要性

 樹木を例に、地上の見える部分が美しくても根がしっかり張っていなければ十分ではない。根っこに相当する心の部分を育む、生き抜ける根っこを育てることの重要性を力説されました。
 様々な実体験を積み重ね、自然を理解し応用力も身につけていくことで、自然との共存が期待できる。
 小玉さんたちの保育理念は「生きる力の土台となる根っこを育てる」。保育方針は「1人ひとりの生まれ持つ個性を受容し、自然や人の力を借りながら、その子が自分らしく育まれ輝き、自分の道を歩み生きていく。職員と保護者と地域みんなで関わり取り組むこと」とのことでした。
 現代教育では親も子どもも、「危険を取り除いた環境下で、指示され、正解を教えられ、効率を求められ、評価される」、体で感じることよりも先に、頭に植え付けられた一辺倒な対応になっているように感じる。
 小玉さんは、本当に子供たちの主体性が育まれているのか?と自主性と主体性の違いのご自身の考えをご説明され、「自主性は、大人の思惑通りで大人が満足で安心」、それに対して「主体性が働くと大人側もそう簡単には認めづらく面倒くさくなる」、子どもを信じて任せることの重要性を説かれました。

 なんと87スライド中、13スライドで午前中が終了してしまいました。中身があり過ぎて時間が足りません。
 次は午後からです。

自然の中での活動について説く小玉さん

自然の中での活動

 食との関係性においては、小玉さんたちの森のようちえんでは給食も野外で季節を感じながら食べており、それは食育にもつながる大切なこと。そしてその給食は安全安心につながるオーガニック給食を取り入れているとお話しされておりました。
 大人の意識においては、自然の中でただ遊ばせるだけで良いというわけではないということを伝えており、見守りや寄り添いなど、保育士など関わる大人の姿勢が重要で、これが子どもの育ちを左右する分かれ目となるとのことでした。
 子どもたちの育みに関しても、近年はクマ出没による野外での活動制限もありますが、子どもたちは、着替えや合羽、食器や飲み物など必要な様々なものをリュックに入れて自分で背負って、暑い日も寒い日も毎日野外で活動しており、それが子どもたち自身の防災力にもつながっているとのこと。
 入園したての保護者(特に父親)から、「毎日遊んでいて学力など大丈夫ですか?」を時々聞かれることがこれまでありましたが、小玉さんは20年の活動経験から「自然環境すべてが園舎であり、園庭であり、そこにはすべての「教科」が含まれている。しかも「教科」には無い、心を動かす深い育みがある」と自信を持って伝えているとのことでした。

親も学び、親も育つことを説く小玉さん

親も学び、親も育つ

 そして、自然環境の中には、無数の不思議がいっぱいある。子ども時代の「なんだろう?」をいっぱい感じられることはとても大切で、心に感じるわくわくがいっぱいあるということは、子どもの学びを実際に感じることで深めてくれる。
 しかし、森のようちえんと言っても、大人の関わり方によっては「育めるものも育めなくなる」。さらには親や兄弟、祖父母などを巻込むことで「親も学び、親も育つ」という状態にすることが好ましく、家族も一緒に育んでいくことが、今の時代の大切な子育て支援の1つとなるとお話しされておりました。

森林とつながる木のある暮らしについて説く小玉さん

森林とつながる木のある暮らしについて

  森のようちえん(野外保育自然体験)活動は、森林整備、森林活用、木に興味を持つ、木を使う、木のある暮らしにもつなげられることが大きなポイント。地球規模での環境保全につながる大切で重要な活動であるということに気づいていない方も多いという。たかが保育ではない。
 「子育て家庭に木のある暮らしを提案する」つまり木育活動につなげることで、木の循環の必要性を感じてもらえるだけでなく、行政(森林関係部署)からの理解も期待される。
 行政と共に「秋田県森の保育士養成として野外保育自然保育推進講座」を開催し、それを森林関係部署の側面だけとせず、子どもたちの成長発達にとても大切なことと考え、幼児教育部署に繋げることが望ましいと、全国でも初となる野外保育自然保育の学びが「保育士等キャリアアップ研修(幼児教育分野)」にも繋げられたとのことでした。

令和9年度開催の男鹿の森講座について説明する小玉さん

令和9年開催の男鹿の森講座について

 来春、令和9年には「森を利用する側(川下)の方が、森側(川上)の森づくり等を知り、学ぶ講座を秋田県男鹿市の「男鹿の森」で開催されるそうです。
 森を利用するだけでなく、森林環境保全の観点から、森林のことや森づくりにも関心を持ってもらうために開催されるそうです。

講座を開催する男鹿の森の一例を説明する小玉さん

講座を開催する男鹿の森の一例を説明

 様々な顔を持った男鹿の森は、しっかりと環境を考えられて森づくりがなされておりとても素晴らしく、全国の森に関わる方々も大絶賛する森とのこと。大きなフジヅルが巻き付いた大木や、アスレチックのように遊べる自然のフジヅル、綺麗な水が流れる渓流や滝があり、子どもたちにとってテーマパーク以上の魅力的なフィールドとなっているそうです。

 

ふりかえりをするうえだんな

ふりかえり

 最後に森のようちえん全国フォーラムの理事でもあるうえだんなによるふりかえりです。
 小玉さんからお聞きした森林の活用、行政との協力体制、保育士さんたちの人材育成、森林環境学習の補助金事業推進、野外保育自然保育推進、木育活動推進、川上と川下の繋がりのこと。また、森林環境保全だけではなく、子どもたちの育みや、地域資源を活用した経済効果など、本日の参加者の疑問に回答できたか確認してもらいました。
 最後に、今回の参加者のみなさんが、「こどもファースト」を考えながらどのように地域で活動して下さるのか楽しみです。
 以上報告はJIRIこと川尻秀樹でした。

 

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