教員主催プログラム「心地よくエコに暮らす(夏編)」を実施しました

開催した日:

森林文化アカデミーのユニークな講師陣によるスペシャルプログラム。今回は2024年2月に実施した「冬編」の続編として、木造建築専攻の辻允孝先生をゲストに迎えて8月25日(日)に実施しました。岐阜県内から8名が参加しました。

冒頭、参加者から自己紹介と参加動機を話してもらいました。
簡単にどうぞ、と言ったのですが、皆さんリフォームやエコな生活に対する興味関心が非常に高く、たくさんの想いを語ってくださいました。

続いて辻先生から40分ほど、今回のテーマである「心地よくエコに暮らす(夏編)」について、プレゼンテーションしていただきました。

「そもそも住環境の心地よさとは何か?」という問いかけに対し、辻先生は「意匠(デザイン)」「計画」「性能」「雰囲気」の4つの要素がバランスよくあることで、暑くもなく寒くもない、ちょうど良い状態が心地よいとのことです。
また、心地よい環境は例えば、睡眠時、安静時(勉強・読書等)、活動時(掃除等)それぞれ違い、バラつきがあります。つまり室内に適度な温度ムラがあることで、様々な活動や人によって「心地よい」環境が創出されます。

ところで皆さんも実感している通り、日本の夏の暑さは毎年厳しくなっています。
東京の8月の平均気温はこの100年間で2.2度上がり、さらに最高気温は2.4度上がっているとのこと。
こうした厳しい夏の暑さをどのように快適に、心地よく過ごしたらいいのでしょうか。

辻先生の提案によると、夏の暮らしは「①熱を入れない」「②熱を取り除く」の2段階で考えるとのことです。
①の熱を入れないについては、窓の外にすだれなどをつけて日射を遮断することが最も効果的で、それができなければ、窓の内側に明るい色のブラインドをつけて日射を遮断するなどしたほうが良いそうです。他には、断熱されていない屋根からの熱流入による影響も大きいため、屋根裏には5cmでもグラスウールなどを入れて断熱すると大きな効果が得られます。
一方、②の熱を取り除くのは、日中ではエアコン一択だそうです。エアコンを嫌う人もいますが、近年のエアコンの効率・省エネ性能はかなり向上しており、ちょうどよい冷房能力の機種を選択することで高い効率で熱を取り除くことができます。

また、エコに暮らす工夫として、遮熱や断熱、効率のよいエアコンの使用の他に、太陽光発電の導入もおススメとのことです。
近年、売電価格は下がっていますが、同時に設置費用も下がっており、20年後の費用回収率は変化していません。エネルギーはできるだけ自宅近くから得るのがエコであり、そうすると太陽光発電は自給可能な有力なエネルギー源と言えそうです。

講義の後、熱を可視化する「放射温度計」や「サーモグラフ」を使って、どこがどれくらいの表面温度になっているか調べました。
すると、コンクリートやアスファルトに比べて、土や草が生えている場所の表面温度は低く、素材による温度の違いが良くわかりました。

さらに、辻先生が設計に関わったmorinosの建物を見学し、暑さに対応する工夫を解説していただきました。
窓ガラスを3層にして断熱性能を上げていること、庇を大きく出して夏の日射を防いでいること、床下に冷気を送って足元を冷やすようにしていること等、具体的な工夫を紹介していただきました。

最後に辻先生が独自に作成した「環境家計簿」を使って、参加者自身の家庭でのエネルギー消費量と、平均的な世帯の消費量との比較を行いました。
オール電化+太陽光発電で生活している方もいましたが、総じて皆さん、平均的な世帯に比べてエネルギー消費は少なかったです。

前回の冬編同様、今回も終了後も参加者から辻先生への質問が相次ぎ、皆さん心地よくエコに暮らすことへの関心が非常に高いことが伺えました。

【参加者の声】※アンケートより抜粋

・すだれの掛け方、断熱の仕方など大変参考になった。過去は夏の冷房でエアコン使用が年2、3回であったが2~3年前から年10回ほどに増加した。
・今までは、電気料金は支払う金額は見ていても使用量は気にしていなかったので、早速使用量を記録しようと思います。暑い夏を少しでも心地よく過ごす工夫を、実際の温度の数値などを見せていただきながら、すぐにできることを教えていただきました。ありがとうございました。

報告者:大武圭介(ウォーリー)NPO法人ホールアース自然学校

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