みぞれ交じりの冷たい雨が降った1月13日（土）、お櫃作りと漆塗りという本格的な木工体験を実施しました。親子9組18名が参加しました。

講師は各務原市で曲物工房を開いている清水貴康さんと、美濃市で漆芸工房を開いている古田一さん。
地元でそれぞれ活躍されているお２人のコラボによる、普段では体験できないちょっと贅沢なワークショップとなりました。

前半は清水さんの指導でお櫃づくりを行いました。お櫃は炊いたご飯を保存しておく木製容器です。
最初に清水さん自身の自己紹介と「曲げ物とは何か」「製作工程」のレクチャーをしていただきました。

そしていよいよ作業開始です。
初めに「曲木（まげき）」と呼ばれる技法を体験しました。
お湯で温めた板を型に当て、押さえながら曲げていきました。円形に形を整えて木ばさみで固定して乾かします。
曲げ加工の体験後は、いよいよお櫃づくりです。予め材料のヒノキを曲げて止めるところまで準備していただいており、最後に「カンバ編み」と呼ばれるヤマザクラの皮を使って綴じる工程から行いました。


 

ヤマザクラの皮は丈夫ですが、小刀を使って編めるように薄く削ります。途中で切れてしまうこともありましたが、本体と蓋の両方で使えるよう無事に加工して編むことができました。
次に、底板と天板の組み立てを行いました。こちらも既に加工済みですが、木槌を使って慎重に打ち込みました。最後に木釘で固定して完成です。

順調に作業は進み、昼食前には全員がお櫃を完成させることができました。
後半、漆を塗ってしまうと素手で持つことができなくなるため、一旦ここで写真を撮りました。

昼食後、後半は漆を使った仕上げの塗装です。
最初に古田さんから漆塗りの歴史や、漆の特徴についてミニレクチャーをしていただきました。縄文時代の遺跡から既に漆塗りの髪飾りが出土しているなど、日本人と漆の関わりは長い歴史を持っているとのこと。

今回は「摺り漆塗り」という、直接木地に生漆を塗り、ふき取るというシンプルな技法を体験しました。
人毛を使っているという、漆塗り専用の刷毛を使って塗っていき、乾く前にしっかりとふき取ります。漆が塗られた木地は塗る前と違って独特のつやが出て、木目がハッキリと見えてきます。
親子それぞれ夢中になって漆塗りを楽しみました。

全員が無事仕上げることができ、箱に入れて持ち帰って乾燥させてもらうことになりました。
古田さんから「漆は乾燥した場所ではなく、カビが生えるような温かくて湿った環境で乾くので、そうした場所で乾燥させてください。中に入っている漆は乾燥に時間がかかるので、1週間くらいはかかると思います。」とコメントがありました。

曲げものや漆器という伝統工芸品は、高価で日常使いづらいというイメージを持つ方も多いかもしれません。
今回、自分で作ってみるという体験を通して、昔から受け継がれてきた技術の奥深さや、モノづくりの楽しさを感じてもらえればと考え、企画しました。
完成した漆塗りのお櫃が、それぞれの家庭でどのように使われていくのか楽しみです。

【参加者の声】※アンケートより抜粋
・お櫃づくりは技を教えてもらい、漆塗りは危険を伴う作業だったので本格的だったと満足そうに話してくれました。いつもなら親任せにするのですが、今日は手伝おうとすると自分でやると言い、ほとんど作ったので驚きました。先生方に丁寧に教えていただいたり、褒めていただいたりしたのでよりやる気になったのだと思います。親自身も初めての体験で知らないことばかりでしたが、子どもの頃に体験することでもっと視野が広がっていけるのではないかと思いました。これからも親子で学んでいきたいです。手づくりのお櫃を大切に使いたいです。。
・ものづくりが好きな子供で、すっごく楽しかったと喜んでおりました♪お弁当箱も作ってみたいと言っておりました。素晴らしい体験をさせてくださり本当に感謝しております。

報告者：大武圭介（ウォーリー）NPO法人ホールアース自然学校