「ウエルビーイングとは何か? 」の講座を開催しました

開催した日:

<2026.6.23> morinosで「ウエルビーイングとはなにか?」をテーマにした講座を開催しました。

近年、「ウエルビーイング(Well-being)」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、「それは何か」と聞かれると、私自身、まだ十分に説明できる自信がありません。

そこで今回、このテーマについて学ぶ講座を企画しました。

講師としてお招きしたのは、一般社団法人ジャーニー・ホーム代表理事であり、日本初開催の「HERTH SUMMIT GIFU(ハースサミットぎふ)」のメインホストを務める、藤村隆(ふじむら・たかし)さんです。

講座には、森林文化アカデミーの現役生・卒業生をはじめ、美濃市や関市など近隣地域からも10名が参加しました。

講師の藤村隆さん

今回の講座では、「ウエルビーイングとは何か」という定義から入るのではなく、藤村さんご自身が歩んできた経験を通して、その本質を語っていただきました。

藤村さんはこれまで、経営支援を必要とする社会起業家と、企業で働きながら自らの専門性を社会に生かそうとするビジネスパーソンを数多くつなげてきました。
述べ200団体の社会的事業と、4,000名のビジネスパーソンと関わる中で見えてきたのは、社会をより良くしようと挑戦するリーダーたちほど、人知れず大きな苦しみや孤独を抱えているという現実だったそうです。

「頑張る人たちの背中を押す仕事をしている。でも、押せば押すほど、この人は崖のほうへ向かってしまうのではないか。そんな葛藤を抱えるようになりました。」

この経験をきっかけに、藤村さんは仕事のあり方を大きく見直します。成果を生み出すための支援ではなく、人が健やかに生き続けられることを支える仕事へ。そして、一人のリーダーだけでなく、その人を取り巻く組織やコミュニティにも目を向けるようになったと話されました。

そうした問題意識を持つ人たちは、世界にもいました。藤村さんが出会ったのが、リーダーの心の健康や持続可能な社会について取り組む国際ネットワーク「The Wellbeing Project」です。

その活動の一つとして世界各地で開催されているのが、「HERTH SUMMIT」。リーダー同士が肩書きを外し、本音で語り合う場として、これまで世界40都市で開催されてきました。そして今回、日本で初めて、その舞台として岐阜県が選ばれました。

なぜ岐阜なのか? ーー その理由について藤村さんは、日本に受け継がれてきた文化や自然との関わり方の中に、世界が学ぼうとしている「智慧」があるからだと話します。

「幸福とは、痛みがなくなることではないと思うんです。痛みとともにありながら、どう平穏に生きていけるか。その智慧を人類はすでに持っているのではないでしょうか。」

その智慧は、自然との関わりや、人と人とのつながり、そして唄や踊りなどの文化にも息づいています。

藤村さんは、ウエルビーイングは三つのレイヤーで成り立っていると紹介してくださいました。

 一つは「個人」のウエルビーイング。

 二つ目は「共同体・組織」のウエルビーイング。

 そして三つ目が、「社会や自然を含めたシステム」のウエルビーイングです。

これらは互いにつながり合い、一つだけが満たされても、本当の意味でのウエルビーイングにはならないといいます。

個人と社会、そして自然。その関係性を回復していくことが、これからの時代にはますます大切になる——そんなメッセージが伝わってきました。

アカデミー在学生のほか、卒業生、近隣の方々も参加

講座終了後には、ご厚意により、森林文化アカデミーで行われたHERTH SUMMIT GIFUの様子や、焚き火を囲んだセッションの様子を見学させていただきました。

HEARTH SUMMIT GIFUの「HERTH(炉)」を囲むセッションが森林文化アカデミーで行われました

サミットで重要なHEARTH(炉)づくりと着火を担ったアカデミー生

 

日中に行われた分科会には、アカデミー生や卒業生も運営のサポートとして関わり、国内外から訪れた参加者との交流の機会をいただきました。

森に囲まれたアカデミーの環境の中で、静かに対話を重ねる参加者の姿がとても印象的でした。

森の情報センターで行われた「種(シード)ワーク」

講座前日には、クリエイティブ集団「kodou(こどう)」による光のアート体験もさせていただきました。”ウエルビーイングな空間”をつくるため、そして空間と自分たちの関係を”ウエルビーイング”にするために、会場となった森の情報センターを、1日かけて雑巾がけする関係者の皆さんの姿に感動しました。

情報センターを隅々まで掃除するkodouのみなさん

地面に刺した電極が人や葉っぱを通してつながる不思議な体験

人の脈拍を読み取って光が生まれる参加型アートを体験

私自身、「ウエルビーイングとは何か」を学びたいという思いから企画した講座でしたが、藤村さんのお話を通して強く感じたのは、ウエルビーイングは個人だけで完結するものではなく、他者との関係、社会のあり方、そして人や自然とのつながりの中で育まれていくものだということでした。

森林文化アカデミーでは、「森と人をつなぐ」ことを大切にしながら学びを進めています。今回の講座を通して、その学びは、これからの社会で求められるウエルビーイングとも深くつながっているのではないかと、あらためて感じる一日となりました。

藤村さん、そしてHERTH SUMMIT GIFU関係者の皆さま、貴重な学びの機会をいただき、本当にありがとうございました。

<森林文化アカデミー 森林環境教育専攻 教員 小林謙一(こばけん)>

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