morinos×博物館『秋みつけ』でキノコ観察
開催した日:
morinosと岐阜県博物館共催による『秋みつけ』、本日は博物館の土屋先生による植物観察と森林文化アカデミー林業専攻の津田教授によるキノコ観察会です。
百年公園北側入り口を出発して、噴水広場、徳山古民家、山を経て、ショウブ園、テニスコート前に至るコースで『秋みつけ』を実施しました。最初に百年公園事務所前の芝生とハイゴケのある場所に、たくさんのカレバキツネタケが出ていました。
最初はなかなか見つけられなかった参加者の皆さんも、芝生の上に生えているカレバキツネタケを次から次へと見つけ、約2平方メートルくらいの面積で18本もありました。
噴水広場から流れてくる水路脇に生えているケヤキの根元付近に、大きなコフキサルノコシカケが出ていました。
お子さんがキノコの縁を触ると褐色に変色したので、「色が変わった」と大発見に大喜びされていました。このコフキサルノコシカケはこの褐変が特色の1つです。
いくつかのキノコを観察しながら百寿の塔の下まで行くと、ここでも伐採されたケヤキの切り株からコフキサルノコシカケが出ていました。
コフキサルノコシカケは多年生のキノコで、毎年、下側に新しく組織を増やすため、褐色に変色した部分は、ある程度月日が経つと白く変化します。
そこで参加されているお子さんに、下側の裏面に本日の年月日を棒で書いてもらいました。
上のお子さんに年月日を書いてもらったコフキサルノコシカケ、実は2段になって2つ生えていました。上から撮影したものが下の写真です。
古くなったものを横から見ると、上のような形になります。下側の個体も順調に成長すれば上のような形になるはずです。
今回はキノコに興味のあるお子さんがいたおかげで、大人が見逃しそうな小さなキノコもしっかり見つけてくれるので大助かりでした。
津田先生が手にしているのは、ナガエノチャワンタケです。これは子嚢菌(しのうきん)に分類されるので、私たちがよく目にする担子菌のキノコとは相当かけ離れたキノコです。
本日の「キノコ博士ちゃん」だったお子さんは、自分で採取したナガエノチャワンタケの見分けポイントの1つ「柄に毛が生えている」のを持参した拡大鏡で観察していました。このお子さんの将来が楽しみです。
山に入って下って行く途中、歩道法面に生えているクチベニタケを見つけました。
胞子を発生させる穴周辺が口紅を塗ったように可愛く縁どられ、全体を軽く押さえると胞子を噴出させてくれました。
道沿いにあった古い切株からは白っぽいサルノコシカケの1種が出ていました。
参加者が取ろうとしても結構しっかり切り株にくっついていました。これはホウロクタケです。ホウロクとは「焙烙」という「素焼きの土鍋」を意味しており、それに似ているからです。このホウロクタケの裏面は穴がありますが、その穴が迷路状になっているのが特徴です。
アカマツが生えていた場所にヌメリイグチが発生していました。このキノコは傘の表面にヌメリがあるのが特徴ですが、裏面がスポンジ状になっていること、アカマツなどの樹木と共生していることなども解説されました。
湿地にたくさん落ちていた枯れ木古木、それから多くのナラタケが発生していました。
上から見るだけでは分かりませんが、採取して柄を見るとしっかりツバがありました。
菖蒲園に近い場所まで下山してくると、オオワライタケが群生していました。この場所だけで10株ほどが発生していましたが、多くが終盤のオオワライタケでした。
このオオワライタケは分類が複雑で、DNA解析上は5種類ほどに分けられるそうで、なおかつ現在日本でオオワライタケの学名に利用されているGymnopilus junoniusは、本来、日本に無いものではないかともされています。
さて、本日見られたキノコは①カレバキツネタケ、②イッポンシメジsp、③マンネンタケ、④ホウロクタケ、⑤ベニタケsp、⑥ナガエノチャワンタケ、⑦アセタケsp、⑧アカヤマタケ、⑨フミヅキタケ、⑩アンズタケ、⑪クヌギタケsp、⑫ドクベニタケ、⑬クジラタケ、⑭クサハツ、⑮ハカワラタケ、⑯カレエダタケ、⑰ハナウロコタケ、⑱クチベニタケ、⑲ヌメリイグチ、⑳ナラタケ、㉑ウロコタケsp、㉒フウセンタケsp、㉓オオワライタケ、でした。あなたはいつく分かりますか?
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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