指導者スキルアップ研修「命を守る野外救急法」実施しました

開催した日:

morinosでは、幼児のための自然体験活動の広がりを受け、森のようちえんスタッフや保育園、幼稚園のスタッフ等、自然体験指導者に向けたスキルアップ講座を開催しています。
現場スタッフが何に注意すればよいのか、いざというときどう行動すればよいのかを知ることで、安心して質の高い活動の場を子どもたちと作って行ってもらいたい。そんな思いから一般社団法人ウィルダネス メディカル アソシエイツ (WMA)ジャパンの寺田達也さんと大手まゆみさんにお越しいただきました。

本来であれば2日間かけて行うコースを、入門編ということで1日の講座として実施して頂きました。
定員20名のところ、45名の方の応募がありました。

まずは、救急法より前に状況の定義について。

「ウィルダネス」ってなんでしょう?WMAでは
●医療機関での処置(処置決定)を受けるまでに時間を要する
●過酷な自然環境
●限られた携行資材
の3つのうち、どれか一つでも当てはまれば「ウィルダネス状況下」である、と定義しているそう。

山岳地帯のような過酷な状況での活動を想定していない自然体験活動においても、救急車がすぐに来られないかも、など当てはまる状況で活動することはありそうですね。そのような状況の中では、傷病者の命の緊急度をいかに明確に判断するかが大切とのこと。
また、ウィルダネス状況下でなくても、命の緊急度の判断ができることは重要です。

ケーススタディをしながら自分だったらどうするか考えていきます。

寺田さんから「命に係わる状況か」を明確にするための「一次評価」の判断基準が示されます。
酸素の流れが維持できているか、維持できなくなるような予期ができるか、が基準とのこと。
●呼吸器系 気道が確保されている?呼吸はある?
●循環器系 脈はある?大出血は?
●神経系  意識はある?→気道閉塞が予期 脊椎損傷は? など

さあ、示された基準をもとに実際にどうチェックをしたら「命に係わる状況か」が判断できるでしょうか。実践です。
3人1組で1人が大手さん指導の下傷病者役になり、症状を示します。
最初のシチュエーションは、完全に意識がない状態の傷病者。

「複雑に見える状況でも、チェックすべきことは明確です。」と大手さん。
「傷病者が子どもの場合は、痛がっていること、泣いていることはいったん完全に無視して、まずチェックをしてください」と寺田さん。
参加者の皆さんは項目が書かれたカードを見ながら、周囲の状況、傷病者の一次評価と真剣に状態をチェックしていきます。

次は森の中。背中を強打したのか、痛い痛いと大きな声が聞こえます。意識はあり、呼吸もしていることが明らかなので呼吸器系・循環器系のチェックはせずに、神経系のチェック。意識はありますが、脊椎の損傷を疑います。
「脊椎の損傷が疑われるときは傷病者が快適に思う姿勢にしてください。」
具体的な指導の声が響きます。

命にかかわる評価を経験したあとは、傷病者の保護や情報収集についての講義。
脈拍や呼吸などのバイタルサインの傾向、皮膚の傷や腫れなどの有無について、頭部や肩や腰に大きな力が加わったのか、精神状態はどうか、など重要な器官に関する情報を集めて救急車などに引き継ぐことが大切とのこと。

最後は、「時間があったら考えてください。」と、重要な器官以外について。
「腕や足の傷や骨折は見た目が派手なので気になっちゃいますが、腕の処置をしている間に、傷病者本人も気づかない命に係わる状況が進行していることがあるので、後回しにしてくださいね。」と寺田さん。

「何か」が起こったとき、それが命に係わる状況かどうかについて判断することができれば、状況に冷静に対処することができるようになれる。
森林や自然の中で楽しい体験を進めていくためにも、「いかに楽しむか」というオフェンスの考え方と、「何か起こったときいかに対処するか」というディフェンスの考え方の両方を持つことが大切だと実感した1日でした。

                                       (報告 鈴木知之(スージー))

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