『林業を学ぶ』 美濃市立牧谷小学校5年生

開催した日:

 美濃市立『牧谷小学校5年生のための林業体験。

 小学校では5年生の後期に「林業」を学ぶことから、今回は「林業」の事前学習として森林文化アカデミーに来てくれました。

 今回は林業専攻分野杉本准教授エンジニア科2年生の有志7人が、林業の説明や林業機械の説明、操縦補佐をしてくれました。なお、杉本先生はJ今年、青森で開催された日本伐木チャンピオンシップでプロフェッショナルクラス全国2位となり、来年4月にエストニアで開かれる世界大会に出場される予定です。

牧谷小学校5年生挨拶

牧谷小学校5年生が挨拶

 

 エンジニア科2年生が手作りしてくれた「林業紹介資料」を基に、最新の林業について説明を受けました。

 まず「林業とはどんな仕事か」の質問に、5年生のお子さんたちは「森林を整える」と、見事な回答をしてくれました。エンジニア科の学生さんも、人間の力でできること、機械の力でできることなどを説明し、最近の林業では機械化が進んでいることも説明してくれました。

林業の説明を受ける子どもたち

林業の説明を受ける子どもたち

 

 最初のアクティビティは「手鋸によるヒノキの丸太切り」、3ヶ所に6人ずつ分かれて手鋸で64年生ヒノキ丸太を切るのにどれほどかかるのか挑戦です。結局、5分間切り進めましたが、半分も伐れませんでした。

 手鋸を使わないお子さんは、年輪の数を数えて、自分たちのおじいちゃんやおばあちゃんと同じくらいの年齢だということも理解していました。

ヒノキの丸太切りに挑戦

ヒノキの丸太切りに挑戦

 

 丸太切りに熱中する子どもたちがいる中、少し時間を持て余していた5年生のうち数人がヒノキの樹皮を剥がし、その内側の内皮をなめていました。

 「どう、美味しい?」と聞くと、「甘ぁ~ぃ!」と即答して、何度も味わっていました。この時期の内皮は光合成産物である糖類が通るため甘いのです。

ヒノキの内皮をなめる5年生

ヒノキの内皮をなめる5年生

 

 さて、手鋸で切ること5分以上、みんな疲れたので、次にチェンソーの出番です。

 最初にチェンソーで鋸断する前に、チェンソーパンツやチェンソーブーツ、ヘルメット、防面マスク、イヤーマフなどについて説明し、秒速20mで動くソーチェーンに対応した装備も説明してもらいました。

 そして「チェンソーなら何秒でヒノキ丸太を鋸断で切るか?」をカウントダウン、今回は15秒で鋸断できました。やっぱり機械って凄いね。

エンジニア科2年生がチェンソーでヒノキ丸太を鋸断

エンジニア科2年生がチェンソーでヒノキ丸太を鋸断

 

 次に、「丸太を動かすのがどれほど大変なのか?」を実体験しました。杉本先生たちが演習林から切り出した63年生くらいの丸太をロープで引っ張ってみます。さて、動くでしょうか?

 お子さんたちのパワーは凄く、予想以上にズルズル引かれました。

丸太を引っ張るお子さんたち

丸太を引っ張るお子さんたち

 

 今度は、丸太の上に「エンジニア科2年生が乗っても引っ張ることができるかどうかに挑戦しました。エンジニア科の学生7人と杉本先生、1人が55kgとしても385kgが加わるとさすがに引けませんでした。

 そこで次に、機械ならばどうかを見てもらうために、グラップルで丸太をつかんで回したり、プロセッサで丸太を持ち上げて鋸断したりする様子を見せてもらいました。

丸太にエンジニア科の2年生が乗っても引けるか挑戦

丸太にエンジニア科の2年生が乗っても引けるか挑戦

 

 3種類目の機械は、伐採した丸太を大量に運ぶフォワーダです。

 エンジニア科の学生さんが説明して、実際に操作して下さいました。5年生のお子さんからはクローラの特徴について質問があり、杉本先生が詳しく説明して下さりました。

フォワーダについての勉強

フォワーダについての勉強

 

 下の写真の両サイドにある青色っぽい2台がグラップル、中央の黄色いのがハーベスタです。

 今回は3台のグラップルに乗り分けて、グラップルで小さな切株を3つ積み上げるのに挑戦しました。

グラップルでの実演

グラップルでの実演

 

 エンジニア科2年生は今日のために、どのように始動したら良いのかを練習してくれたおかげで、学生さんの上手な説明に従って、5年生のお子さんたちも初めて重機を操作するとは思えないほど、スムーズにグラップる操作していました。

エンジニア科学生が上手に指導

エンジニア科学生が上手に指導

 

 学生の指導は小学生に併せて丁寧なためか、小学生全員が3つの丸太を見事に積み上げていました。大人が初めて実演する時とは格段に違ってスムーズでした。

スムーズにグラップル操作する小学生

スムーズにグラップル操作する小学生

 

 今日は蒸し暑かったのですが、みな林業機械に乗るという貴重な体験に大満足!

 これほどの貴重な体験をした小学生も珍しいと思いますが、これも岐阜県立森林文化アカデミーという学校があるお陰、この小学生の中から将来の林業マンが生まれること期待しています。

林業機械を前に記念撮影

林業機械を前に記念撮影

 

 次に、テクニカルセンターで昔の道具について学びました。伊勢神宮での伐採(三紐伐りまたは三緒伐り)について説明、昔の伐採道具である斧(ヨキ)についての説明など、昔と現在の違いを学んでもらいました。

テクニカルセンターで昔の道具について学ぶ

テクニカルセンターで昔の道具について学ぶ

 

 山に向かう前に、学校で勉強する「天然林」と「人工林」、それらを代表するような「広葉樹」と「針葉樹」、そしてそれの代表であり、ここで見られる「コナラ」や「スギ」、「ヒノキ」などについて考えてみました。

 

針葉樹と広葉樹について学ぶ

針葉樹と広葉樹について学ぶ

 

 

 山に向かう途中、スギが生えていたので「これはなんという樹木ですか?」と聞くと、数人のお子さんが「スギ」と教えてくれました。

 そのスギの葉を取って良く見ると、針葉が長い部分と短い部分がある。これは春伸びと秋伸びと称されるように1年間に2回伸びる証拠。「ところでこの新芽を食べる人がいる」と話して、私も食べてみましたが美味しくない。「美味しくないなぁ~!」と言うと、数人のお子さんが食べて「美味しい」と言うのにびっくり。

山に行く途中でスギの葉について説明

山に行く途中でスギの葉について説明

 

 林道に出た後で、途中で拾えた松ぼっくりについて説明。大きな松ぼっくりは北アメリカ原産のスラッシュマツのもの、それを動物がかじるとどうなるか?

 「そうエビフライと言われるものになるよね。ではこのエビフライはどうしてできるの?」と尋ねると、「リスが食べる」との回答。

 そこで2つのエビフライを校長先生に持ってもらって、「どちらかがこのリスの食べ痕で、どちらかがこのネズミの食べ痕です。どちらがリスでしょうか?」と聞いて、森の動物についても学んでもらいました。 

リスの食べ痕か、ネズミの食べ痕か

リスの食べ痕か、ネズミの食べ痕か

 

 演習林の中の「大杉」を見たり、「集材架線」を見たり、「湧き水」に触れたりして、次に向かったのはmorinosの柱を斧で伐採した「三紐伐り」現場株です。

 ここで周辺に散っている斧屑の匂いを嗅いだり、伐根に触ったりして、morinosの100年生以上の柱について学んでもらいました。

モリノスの柱の伐採跡を見学

モリノスの柱の伐採跡を見学

 

 山から下山して、遅めの昼食をとってから自由時間です。

 自由時間と言っても各自が各々の目的を持って自然体験する。モリノス山に向かうお子さん、木工に向かうお子さん、ピアノに向かうお子さん、室内の展示を見入るお子さんなど、様々です。

 写真のお子さんは展示してあったアリジゴクに興味があり、外でクロヤマアリを捕まえてきては与えていました。

アリジゴクを観察するお子さん

アリジゴクを観察するお子さん

 

 数人のお子さんは、木工にまっしぐらして、延々とモノづくりに励んでいました。各自が思い思いに釘を打ち込んで、彼らなりの逸品を作っていました。

 どんな樹種なら釘を打ち込みやすいのかを聞いてくれたお子さんもいました。

木工を楽しむお子さんたち

木工を楽しむお子さんたち

 

 最後に、小学校らしく、逆にmorinosらしくない「お別れの会」

 校長先生や担任の先生が見守る中、お子さんたちが学校で練習してきたように淡々と会を進めて、私たちににお礼を言ってくれました。ありがとう御座いました。

お別れの挨拶をする5年生

お別れの挨拶をする5年生

 

 さて、今回の牧谷小学校5年生の皆さん、どこでも経験することが無いであろう岐阜県立森林文化アカデミーならではの林業について勉強を経験して頂きました。今回の勉強に対して林業専攻の杉本准教授、エンジニア科2年生の有志7人、大変お世話になりました。

 小学生の皆さんもアカデミーの皆さんも、大変ありがとう御座いました。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

 

 

 

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