シカとクマの足剥製標本づくり①
開催した日:
『シカの足剥製標本づくり』講座
今年で3回目を迎えるこの講座。
今回も高山市から現役猟師でライフル射撃場の射場長をされ、かつ何千体もの剥製標本を作成されている田中正至さんをお迎えして、ニホンジカとツキノワグマの足を剥製標本にしました。
田中先生は偶蹄目、奇蹄目の爪の構造、シカの大きな蹄は中指と薬指であることなど、蹄の解説や足跡の付き方など、現場の実践情報も交えながら解説されていました。
クマの足剥製標本では、ツキノワグマ(写真左側)とヒグマ(写真右側)を比較し、ツキノワグマの前足裏には指と手のひらの間だけしか毛が生えていないが、ヒグマの前足裏にはもう1か所に毛が生えていることなどを解説。
今回のシカやクマはー20℃で3週間以上保存して寄生虫の心配はなく、かつ5回にわたってアルコール消毒を徹底してきていますが、可能ならゴム手袋をして処理すべきです。今回は防刃手袋も配布してあります。
参加者はまず、簡単なシカの足の骨を抜くところから実践しました。今回利用する足は本来は焼却なり、埋設なりされ、廃棄されるものです。
その廃棄素材を足の勉強や、足痕を探るアニマルトラッキングに有効利用するものです。
参加者が抜いている部分には3段階の骨がありますが、この3段階の長い骨の状態が人間の掌(手のひら)に相当するのです。
既にご自宅でシカやイノシシの解体なども経験されている親子参加の方。
いつも素手で処理されているからとお話しされる息子さんは、小学生とは思えないほど手捌きが良く、将来が楽しみにあるほど手際よく刃物を扱っていました。
全員が剥皮を終えたので、次は洗浄です。
容器に剥皮を入れて、脂肪分を落としやすい洗剤と水を入れて足で踏んでいきます。予想以上に茶色い水になるため、何度も踏んですすぎを繰り返してきれいにします。
洗浄、すすぎが終われば、最後に脱水して鞣し液に漬け込みます。
この鞣(なめ)し液は生明礬(きみょうばん)と食塩を主成分として調整したものです。本日はここまでで完成。あとは1週間、毎日撹拌して来週仕上げます。
今日は朝からご苦労様でした。1週間後が楽しみです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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