「親子で楽しむ初めての漆器づくり-箸とスプーンに漆を塗ろう」開催しました
開催した日:
これまで親子で「樹から作る椅子作り」や、「バターナイフづくり」等、様々な木工体験を行ってきたmorinos。
今回は「漆塗り」に焦点を当て、箸とスプーンに漆を塗る体験を行いました。親子9組・20名が参加しました。
講師の古田一(ふるた かず)さんは、地元美濃市在住の漆芸作家で、これまで数多くの漆塗り体験の実施経験があります。
前半は箸作りにチャレンジしました。
ヒノキとカツラ、性質の違う2種類の木材を、morinocoナイフで削り、自分の手になじむ箸を作ります。木目に沿って削ると削りやすい一方、逆らうと削りにくいことが実感できました。
子どもは慣れない刃物にドキドキしながら一生懸命削りました。
親も子どもに口や手を出す余裕もないくらい、夢中で削っており、全集中の時間が流れました。
ほぼ全員削り終わったところで、古田さんから漆の特徴や漆器の歴史について、ミニ講義をしていただきました。
漆は東アジアから南アジアにかけて、「モンスーン地帯」と呼ばれる地域に生息する植物の樹液から作られます。
樹皮から染み出た直後は乳白色ですが、やがて茶褐色に変化してきます。
漆は化学反応して乾燥(硬化)するために、水分と一定の温度が必要と紹介されると、皆さん「へぇー」と驚いていました。
今回は「擦り漆塗り」というシンプルな技法で仕上げました。
これは、削って磨いた木地に、直接漆を塗り、直後に余分な漆を拭き取る技法です。
かぶれないように手袋をした上で、箸に筆で漆を塗り、紙で素早く拭き取ります。漆独特の匂いが印象的でした。
昼食を挟んで後半はスプーンの加飾を行いました。
柄の部分に細筆で漆を塗り、その上にアルミ粉を撒いて固定する「蒔絵(まきえ)」と呼ばれる伝統的な技法です。
最初に古田さんが見本を実演しました。
慣れた手つきで皿に漆を塗り、オレンジ・金・緑のアルミ粉を撒いていくと、なんとリンゴが浮かび上がってきました。
「すごい!」子どもだけでなく、大人からも驚嘆の声が。
早速、鉛筆で下絵を描き、蒔絵に挑戦しました。
細筆でイメージ通りの線を描くのは難しかったですが、皆さん、それぞれのイメージで配色を考え、人生初の蒔絵体験を無事に終えました。
最後に乾燥用の箱や袋に入れて、作品公表会を実施しました。
同じ材料から作られた箸とスプーンですが、出来上がった作品は20人それぞれ。
乾燥するのに数日かかるということで、年明けの正月頃には、漆を塗った「マイ箸・マイスプーン」でおせち料理を食べれるかも、と期待に胸が膨らみました。
最後に古田さんから、「漆器は塗り直すことができ、長く使うことができます。箸とスプーンは本物の漆が塗ってあるので、その食感を是非体感してください。」とメッセージをいただきました。
普段当たり前のように使っている漆器を、自ら作ることを通じて、日本に伝わる伝統工芸技術の奥深さの一端を親子で体感してもらうことができました。
【参加者の声】※アンケートより一部抜粋
・とても素敵な講座をありがとうございました。家族それぞれが集中して楽しく作業できました。親が見ているだけ、も寂しいし、子どもに手を出さなくてもよく楽しかったです。子どもも自分で作った箸に大満足で、大切に使うそうです。
・親も一緒に参加することで、子どもの作業によけいな手出し口出しすることなく(する暇なく?)子どもが自分の力だけで作品を完成させることができてよかったです。
報告者:大武圭介(ウォーリー)NPO法人ホールアース研究所
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
Phone : +81-(0)575-35-3883 / Fax:+81-(0)575-35-2529