『里山林整備講座』in百年公園 最終回

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 岐阜県百年公園での『里山林整備講座』、今回は4回シリーズの最終回です。

 まず最初に今回の参加者が地域に戻って行かれて指導者となるための復習を兼ねて横井先生が講義をしてくれました。

里山林講座4回目の最初の講義

里山林講座4回目の最初の講義

 

 木が育つのに①一次成長(伸長成長)と、②二次成長(肥大成長)があり、樹高と枝張りの成長、そして幹や枝の肥大成長になりますよね。

 成長するには光が必要です。「光エネルギー」に「水」と「二酸化炭素」が化学変化して、糖と酸素が作られる。そして同時に「呼吸」をしている。

 光合成と呼吸を見ると、光合成量 > 呼吸量 = 成長 、光合成量 < 呼吸量 = 枯死

 ハリギリの葉を上から見ると、光を受けるために葉柄の長さを変えて横に広がり、その様子を横から見ると平面状になっているのが分かります。

ハリギリの葉の展開について説明する横井先生

ハリギリの葉の展開について説明する横井先生

 

 こ現場での実際の手順は、

 ①まず「育てたい木」を選んでマークする。ポイントは芯が立っていて、光は充分か。枝張りが十分あって育つ見込みがあるのか。

 ②除去(伐採)する木は、育てる木に影をつくる木や、育てたい木の枝張りを邪魔する木。それらを一気ではなく、一本ずつ除去してその変化をしっかり確認する。

現場での作業手順

現場での作業手順

 

 室内講義を終えて現場に向かう途中にあったスギの幼木を見て、枝を束ねてみて先端が出ずに周辺のシュートが長ければ光が不足している。

 束ねて先端が一番長ければ、芯が立って成長している証拠と、現場周辺に見られる植物から樹木が受ける光の量の推測方法を伝授してもらいました。

現場に行く途中のスギの幼木で光環境について解説

現場に行く途中のスギの幼木で光環境について解説

 

 本日の現場はグラウンドゴルフ場とドッグ・ランのある場所の近くの広葉樹林です。

 ここはヒサカキ、サカキ、ソヨゴが多く、他にアラカシ、シャシャンボ、コナラ、クリ、タカノツメ、ネジキ、モチツツジ、ヒノキ、アカマツなどが生えています。

 斜面の下側で最も優占しているのはヒサカキで、その中に生えているクリを育てるのに、アラカシを育てるのにどうするのか?

現場を前に、本日の作業について説明を受ける参加者

現場を前に、本日の作業について説明を受ける参加者

 

 下の写真で横井先生の前にあるクリ(茶色の葉がついた個体)を育てるために、周辺のヒサカキやネジキを順に伐採してみます。

 1本伐っては光環境を確認し、それを6回繰り返してみました。この写真の次の写真と比較してみてください。

クリを育てるための伐採①

クリを育てるための伐採①

 

 クリの木の上側でクリより高かったネジキを伐り、周辺でクリと競合していたヒサカキを、合計す6本伐った結果、クリの枝葉の伸長を邪魔しそうなものは無くなりました。

 1本のクリを育てるために6本伐る。今回は単なる里山林整備だけでなく、木材利用も考慮したため、6本伐る結果となりました。

クリの周辺木を6本伐った状態

クリの周辺木を6本伐った状態

 

 午後からの現場で約2平方メートルの間に、樹高3mほどのクリが4本ある場所で、どのクリを育てるか。そのために競合するクリはどれを伐るか。

 クリ以外の樹種は何を伐るのか。「やはりヒサカキが多いよね」などと話をしながら、1本ずつ周辺の競合木を伐採したのです。

クリが多数ある場所で、何を基準に伐採するのかを検討する横井さん

クリが多数ある場所で、何を基準に伐採するのかを検討する横井さん

 

 今日は非常に寒く、午後3時前に大垣市や関ケ原町に「大雪警報」が発令されたので、予定より少し早く室内での最終質問タイムにしました。

 各自が里山活動する予定地を想定して、どのように里山林整備すべきかの質問を受け、それに回答して情報共しました。

 質問タイムが終了したので、主催者を代表して日野さんがご挨拶して下さいました。

最後に主催者である百年公園事務所の日野さんが4回を通してのご挨拶

最後に主催者である百年公園事務所の日野さんが4回を通してのご挨拶

 

 本日は4回講座の最終日でしたが、毎回の講義を通して里山林整備の目的とそのための作業内容についてしっかり学んで頂く事ができたと感じています。

 ご参加いただきました10名の方々、本当にご苦労様でした。また主催者の1つである百年公園事務所のみなさまにも感謝致します。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

 

 

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