岐阜県百年公園『里山林整備講座』3回目
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みなさん、JIRIです。
『里山林の更新』をテーマに横井先生から里山林整備を学びます。
「更新(regeneration/reproduction)」とは森林または樹木群の世代交代。天然更新であっても、人工更新であっても、意図的なら「造林」ですよね。
里山林講座3回目
天然更新も①種子からの更新(前生稚樹と後生稚樹、埋土種子と散布種子)
②萌芽による更新(伐根からと根系から)です。コナラは太くなると萌芽しづらくなる。
ちなみに「前生稚樹」とは上層木になりうる樹種で、林業では灌木は前生稚樹とは言いません。
「後生稚樹」は埋土種子、散布種子によるものです。
「漸伐」とは皆伐を数回に分けておこなう伐採・更新方法。
手順は、①下種伐、②受光伐、③終伐(殿伐)となります。これは択伐とは全く異なります。
なぜ里山の更新が必要なのか?
◎文化的な意味、◎保全的な意味、◎生産的な意味
続いて、「どんな樹種の林に更新したいのか」、「どれくらいの面積を更新させるのか」、「どのような手法で更新させるのか」、「誰が担うのか」こうしたことを1つ1つ考えます。
さて、約1時間講義が終了したら、現場への移動です。
これから向かう現場は岐阜県百年公園の『展望台』からの眺望確保を目的に、4年前に伐採して3成長期を過ごした現場です。この現場に至る途中の道でも、前回の樹木判別の復習を兼ねて勉強しながら歩いて行きました。
さて、『展望台』から眺めると恵那山や御嶽が見えます。
写真にもあるように雪をかぶった御嶽山が美しく見られました。この眺望を確保するために、コナラやクリ、アオハダ、ヒサカキなどが伐採されたのです。
最初は皆伐される前の林分状況に近い隣接林分に入って、「もともとはこうだった」という林地の状況を確認しました。
主林木はコナラ、そこにクリやアカメガシワ、アオハダ、ヤシャブシ、ソヨゴ、サカキ、ヒサカキ、エゴノキ、ヤマウルシ、ヌルデなどが生えています。そして地面(林床)を見ると、様々な稚樹が生えています。
林床で最もたくさん生えていたのはコナラですが、光が少ないため厳しい成長状況です。
ここも台風などで上層木が折れたり、倒れたりすれば、いわゆるギャップが生まれて光を受けたコナラの稚樹が育つと予測されます。
続いて、4年前に皆伐して3成長期を経過した現場です。ここではアカメガシワが数も成長量も優占しています。その他に、ホオノキとクリがおり、他にコナラやイヌツゲ、ヒサカキなどが生えていました。
この現場でクリの萌芽枝を育てたいならどうするのか。アカメガシワとの競争をどのように回避するのか。様々な疑問を検討しながら、林内を歩き回ったのです。
最後に、常緑広葉樹が優占する未手入れ林分を検証。ここではヒサカキやサカキ、ソヨゴなどの常緑広葉樹が繁茂しており、地上4mほどの所に層状になった樹冠層が広がっています。
今回見た林の中で最も暗い林床には稚樹は少なく、わずかにコナラ数本、ソヨゴとヒサカキ数本という程度でした。この林分を更新させるとするとどうなるか?
やはり切り株から萌芽したヒサカキなどが優占してしまうのか? などなど現場検討したのです。
最後に、百年公園事務所に戻って、本日のまとめと質問事項への回答を実施し、最終回となる次回の予定を共有して3日目を終えました。
さてみなさん、4回実施予定の里山林整備講座も残すところあと1回です。
次回12月26日もしっかり学んで、より良い里山林活動につなげてください。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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