morinosカフェVol.6 エコエデュ理事長・山本由加さん講演会 「何をするか」から「どんな存在になるか」へ

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「子どもたちに自然の中で主体的な学びを~草の根市民団体の挑戦」と題して、認定NPO法人しずおか環境教育研究会(通称:エコエデュ)理事長の山本由加さんをゲストに迎え、これまでの実践とこれからの活動について、講演していただきました。子連れの方もあり、大人・子ども合わせて17名が参加しました。
組織のお手本が「森」にあると話した山本さん。静岡での市民活動発の取り組みが、岐阜県内でも広がることを願っています。

以下、講演の概要です。

山本由加さん

1.エコエデュってこんな感じ
 エコエデュは前身団体が1989年に設立され、2000年にNPO法人格を取得。2017年に認定NPO法人となりました。現在役員7名、常勤スタッフ7名、NPO会員約90名、賛助会員約100名の合計200名が活動に関わっています。主催事業だけでなく、行政・企業からも委託事業を受けています。

 静岡市の南部、久能山東照宮の近くの山裾が活動フィールドです。0歳から大人まで、幅広い世代を対象に自然体験をベースにしたプログラムを行っています。親子対象もあれば、子どもだけのプログラムも行っています。
 森のようちえんは、独立した別の団体が日常行っており、エコエデュでは水曜日の午後、子どもたちだけを集めて行っています。
 小学生になるとプログラムが多くなり、火おこしなど、時間をかけて体で覚えてもらいます。
 エコエデュの強みは、大自然での非日常体験ではなく、70万人弱の都市部の近くに森があるということです。つまり、日常の学びの場として森を活かそうとやってきました。
 スタッフが大切にしているのは、「この教育プログラムで何を達成するかを意識すること。」
しっかりと時間を取って企画の目的と内容をスタッフで共有し、プログラム終了後にフィードバックして次回につなげます。
火おこしの様子

2.里山BASE事業
 2015年からスタートした「里山BASE事業」。最寄りの駅や学校からジャンボタクシーで送迎付きの日帰り自然体験プログラムです。
 共働き世帯が増えている中で、世帯収入が一定以上あるが、送迎の時間が取れないという家庭の課題に対応するため、送迎付きとしています。夏休みの平日20日間、9:30から17:30まで子どもたちを預かっています。当初6,500円/日でしたが、現在では7,500円/日としています。民間学童保育と学習塾の中間的な位置づけを目指しています。
里山BASEでは、子ども自身の意思表示で合意形成を図って活動をしています。
ここで大切にしているのは、「多数決では決めない」ということ。たった1人でも反対することがあれば、納得するまで話し合ってもらいます。めんどくさい、という子もいますが、リピーターを中心に、話し合うことが文化になっているので、自主的にファシリテーターが出てきて話し合いを進めてくれます。
里山BESEの様子
 
3.コロナ禍での活動について
 コロナ禍の中、できることが限られてきましたが、いくつか新たな取り組みも生まれました。1つは、親子向けにオンライン指導付き自然遊びキットを開発し、実践しています。2つ目は、幼児に関わる若手教員向けの自然遊び入門動画の製作です。スタッフがゼロから製作し、驚くほど質の高い動画ができました。
https://www.ecoedu.or.jp/stakeholders/school/infant-idea/

4.エコエデュの特徴・気質について
 草の根市民活動がルーツなので、市民一人一人が活動を持っていました。だから最初に職員ありきではなく、日常的にスタッフとして参加している人が40名ほどいます。この方々が「超」主体的に運営している事業が複数あり、企画・運営はもちろん、収支も管理費を含め黒字となっており、15年以上続いているものばかりです。
こうした熱意あふれる会員が支えているのが、エコエデュの特徴です。

5.市民活動の可能性と壁
 森に関する市民活動に関わってきた中で、可能性と壁を目の当たりにしてきました。可能性といえば、市民活動は社会を変え得る力を持っているということ。例えば2005年の愛・地球博では、パビリオンの1つに市民団体(自然学校)が参画したものができたのは成果でした。
 壁としては、変化(特にお金がからむもの)に弱いということ。またそれぞれの志向がバラバラでは、活動が継続できない。2010年代初め、委託事業の縮小などを機に経営危機に陥ったエコエデュでは、「何をやるか、ではなく、どういう存在になりたいのか」ということに対して言葉を紡ぐ作業に取り組みました。何日も議論を重ねた結果、簡単に言うと「私たちは人を育てるために活動をするんだ」ということだったんです。言葉を紡ぐということに当初、私は懐疑的でした。しかし、若いスタッフがこのフレーズを使って「エコエデュはそのためにあるんでしょ」という発言を聞いて、言葉を紡ぐ意義について大切だと実感しました。

エコエデュのミッション

エコエデュのミッション(使命)
『自然の中での教育を通じて
 失敗・変化の中から
 自分の答えを追求する人を育てる』

※自然を道具として使い、人を育てる。

ビジョン(目指す社会の姿)
『笑顔で挑戦し続ける社会』

自然の「し」の字もありません。
街中でデジタル機器に囲まれていても、自然の中で培った変化に対応できる力、新しいものを生み出す力を持っていてくれれば良いのです。大変だけど、言葉にすると動き出す、そして発信すると仲間が増えることを実感しました。

6.未来に向けたメッセージ
・先生が主体的でいることが大切。
・スタッフが得意なこと、やれることから始める。
 ⇒スタッフを信じ、力量と方向性を見極めてお願いして、すばらしい成果を挙げた。
組織のお手本は森です。森の中で主体性を持っていない生き物はいません。それぞれに生き生きとしながら一緒にいられる場所が森です。組織としてやっていくには大変ですが、私たちが森から学べるのは、一本一本が生き生きとしていて、ちゃんと成立しているということです。私はエコエデュで大きな森づくりをしたいと思っています。morinosの取り組みを聞いて気がついたのですが、似ているなぁと。
自分たちは最先端にいるという、自負と自覚があります。未来に向かってここにいる皆さんと一緒に進んでいけたらと思っています。今日はありがとうございました。
会場風景

報告:大武ウォーリー(NPO法人ホールアース研究所)

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