アニマルトラッキングに使えるニホンジカの足標本づくり

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 アニマルトラッキングにも使えるニホンジカの足標本づくり』この企画は1月に実施予定でしたがコロナ禍の中、3月20日と27日に延期して実施したものです。 

 JIRIです。今回はニホンジカだけでなく、特別に有害駆除されたツキノワグマの足標本づくりも実施しました。

作成見本のシカとツキノワクマの足

作成見本のシカとツキノワクマの足

 

 まずはメイン講師の田中正至さんから剥製標本づくりや野生動物の生態について教えて頂きました。現在、増え過ぎて森林生態系を崩しているニホンジカの生態やツキノワグマの歩き方、親指や小指の見分け方についてお話しいただきました。

 続いて、本来ならば焼却または埋設処分されるだけの足で剥製づくりすることで、珍しい標本ができるだけでなく、その足を雪面に付ければアニマルトラッキングにも利用できます。

メイン講師の田中さんから剥製の作り方を聞く

メイン講師の田中さんから剥製の作り方を聞く

 

 今回は田中さんが捕獲したニホンジカのスカルプ(頭骨)標本と角も持参され、そのスカルプを水酸化ナトリウムや入れ歯洗浄剤などを利用して作ること、広葉樹林で角研ぎした鹿角よりも、ヒノキ林で角研ぎしたし鹿角の方が美しいこと、角は靴墨で磨くと良いことなど、いろいろ教えて頂きました。

シカのスカルプと角標本づくりについて語る田中さん

シカのスカルプと角標本づくりについて語る田中さん

 

 さて、いよいよ本番の革剥ぎです。今回はニホンジカの足2本ずつ渡され、革を剥いでいきます。

 みなさんが剥いでいるニホンジカの足は、人間で言えば足の裏部分にあたる部位です。ニホンジカの蹄は人間の足の爪なので、爪で地面に立っているのです。まるでバレリーナのようです。

 その足の裏は驚くほど肉が無く、多くが筋(腱)なのです。

シカの革を剥ぎ、骨を取り出します

シカの革を剥ぎ、骨を取り出します

 

 今回参加された唯一のお子さん、お母さんのサポートを受けながら革剥ぎにチャレンジしていましたが、より良い方法を田中先生が直接指導されていました。

 難しいのは丁度、田中さんの手元の部分、つまり骨と蹄の付け根で切断することですが、慣れないと関節が見つけづらいため難しいのです。

 午前中はここまでで、昼食の時間となりました。

田中先生が骨の抜き方を個別指導

田中先生が骨の抜き方を個別指導

 

 午後からはツキノワグマの足を剥いでいきます。

 ツキノワグマの足裏は脂肪分が大量に付着しているため、ニホンジカに比べると大変です。腱の太さも数もニホンジカとはだいぶ違います。より剥ぐのが難しいのですが、みなうまく剥いでくれました。

午後からチャレンジしたツキノワグマの足

午後からチャレンジしたツキノワグマの足

 

 小学生の柊くんはツキノワグマにも積極的に取り組み、分からないことは田中先生に聞いて、しっかりメモを取っていました。こうした実体験が将来役に立つこと、期待しています。

 写真で見られるツキノワグマの足の白く見えているのがすべて脂肪です。

小学生も果敢にチャレンジしています

小学生も果敢にチャレンジしています

 

 ツキノワグマの足から骨+肉を抜き取り、毛皮部分が確保できたので、柊くんがスマートフォンで写真撮影していました。比較のためお母さんが手を並べて記念撮影です。熊の足は人間の手に似ていますよね。

抜き出したクマの足と人間の手を比べて写真撮影

抜き出したクマの足と人間の手を比べて写真撮影

 

 さて、毛皮と蹄、爪だけにした毛皮は最初に洗剤で洗浄し、すすぎ洗いして、脱水します。

 その脱水したものを鞣し液に浸漬します。鞣し液は①生明礬、②塩、③水でつくります。この時の割合や温度条件が重要です。

 この状態で毎日攪拌して、一週間浸漬し続けます。

鞣し液に浸漬した毛皮

鞣し液に浸漬した毛皮

 

 さて次回は27日ですが、そこで洗浄、脱水、縫合、充填すると下の写真ような標本になる予定です。

完成予想写真

完成予想写真

 明日から鞣し液はJIRIがしっかり攪拌して管理します。一週間後、参加者の出来栄えをご期待ください。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

 

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