オンラインでチャレンジ! 「働く馬と共にみんな混ざって学び合う 手づくりの暮らし方講座」実施しました
開催した日:
戦後しばらく、日本の農村で当たり前のように飼われていた馬。
農業・林業だけでなく、身近な場所で人と馬が共に暮らし、働いていました。
そんな働く馬との暮らしを長野県伊那市で10年ほど前から実践している横山夫妻をゲストに迎え、これからの生き方・暮らし方を考える講座をオンラインで開催しました。
予定は未定、とばかりいろいろ脱線しつつも、終始笑いにあふれる時間となりました。
岐阜県内外から、34名が参加しました。
茨城県出身の横山晴樹さん(愛称:ヨッサン)は、高校卒業後メーカーで働きながら、海外37か国を放浪。そこで馬と出会います。
「自分が好きだったのが馬で、ずっとやっていけるかなと。馬がいることで循環する生活ができるし、馬を通していろいろな人と出会うことができました」と話します。
徳島県出身の横山紀子さん(愛称:のりたけ)は、教員を目指していましたが、大学卒業後、「自分のやりたい、を表現した時に、他人から5段階で評価されたくない」と、東京都の冒険あそび場(プレーパーク)で活動を始めました。
そんな2人が出会って結婚し、今住んでいる長野県伊那市高遠町に移住したのは2011年。
東日本大震災があった年で、ちょうど10年になります。
実は当時のりたけのお腹には長女のにこちゃんがおり、妊娠をきっかけに東京を離れて高遠への移住を決意したそうです。
ところがにこちゃんは生まれてすぐ空に旅立ってしまい、大きな転機となったそうです。
関わっていた山村留学のNPOから独立し、「うまや七福」の看板を掲げました。
「まずは、本当に小さいところから、自分たちで1つずつ積み上げていこうと思わせてもらえた。」(のりたけ)
この間、長年空き家になっていた古民家を、住みながらみんなで改築しました。そこにはプレーパークで培った「あるものを活かす・使う」という発想が活かされたとか。
馬との関わりも最初から順風満帆というわけではなく、馬との相性もあり、何度も試行錯誤が続きました。
活動拠点として、廃校跡地に「みんなの村」という広場も長年みんなで作ってきました。
うまや七福の活動に関わった方も、多数参加いただいており、何人かから感想を言っていただきました。
「自然の中で生かされていることを馬に乗せてもらって感じた。子どもが高遠に住みたいと言っています。コロナ禍で今はいけないけど、心の中で横山家とつながっています。」(千葉県女性)
うまや七福のこれまでを聞いて、岐阜県立森林文化アカデミー教員のナバさんからコメントが。
「山村留学って、完全に準備して子ども達受け入れないといけない、という思い込みがあるけど、家を作っていくプロセスの中に子どもたちもいたことがいいんじゃないかな。大人の全然イケてない姿を見せることで、リアルなものが出てくる。すごくいいと思う。」
「不器用なおかげでたくさんの人とつながれた。この10年間は何でもトライする期間だった。私は作っていたい人なんだ、完成すると物足りなく思う。」(のりたけ)
そんな2人に「互いを動物に例えると何?」という質問を投げかけると、
「ヨッサンは、馬だな。大きくてあったかい。でも、目の前の草のことしか頭にないし、お腹が空くと機嫌が悪い。(笑)」(のりたけ)
「のりたけは、竜だと思う。空から見下ろしてくれていて、実行力があり、たまに炎をバーっ吐いて…。大きな存在です。」(ヨッサン)
そこへ突然、ビンゴが登場。山村留学中の快くんが乗馬して玄関前まで連れてきました。
「ビンゴといると楽しい。将軍になった気分。」(快くん)
話は横山家の子育て、そしてプレーリーダーとしての遊び方から、暮らしそのものをどのように遊ぶか、ということへ広がっていきました。
「発見したことがあるのだけど。プレーパークって都会にあるのだけど、面白くするために仕掛けが必要なの。遊具を作るとか。ここで暮らしていると、暮らしそのものが仕掛けになっていて、何も作る必要がないの。プレーパークではたき火は遊びのためだったけど、ここでは暮らしのために必要ことなの。」(のりたけ)
「都会にいるときは、何しよう(Do)をいつも考えていたの。田舎でも行動はしているけど、どうここにいようか(Be)を考えるようになったし、動物を含めた自然環境そのものが子どもたちにいい影響を与えているんだよね。」(のりたけ)
後半は、うまや七福のこれからの展望・野望について語っていただきました。(図参照)
赤い矢印はやっていること、青い矢印はこれからやりたいことだそうです。また、ビンゴは18歳を迎えるとのことで、そろそろ後継の馬を探していきたいとのこと。
「やりたいこと、妄想でも、やり続けていれば10年、20年経てば文化になっていくんじゃないかな。」(ヨッサン)
「これからも今のペースでゆっくり歩いていけばいいかな。自分の中でのキーワードは、自然の中での暮らしと子どもかな。」(のりたけ)
「うちって、本当にオープンだなぁと。表の顔とか裏の顔とか分けないで、まんまなの。私たちにやれるのは、毎日の日々を大事にすること、それが一番大切かな。みんな馬が飼えなくても、うちの馬を使って集落全体が馬耕できれば素敵だなぁ。」(のりたけ)
うまや七福のこれまで、今、そしてこれからを聞いた後、参加者3-4名に分かれてのシェアタイム。感想や疑問・質問を共有してもらいました。
(質問)「素敵な暮らしですね。でもぶっちゃけ、経済面ではどうやっているですか?」
(のりたけ)「この10年はそれまで貯めていた貯金を取り崩してやっていたの。今年それも無くなってしまって…。でも絶対借金はしてはいけないと決めていて、家の改修では材料をもらってやったり。馬で稼がなければと思っていたときは苦しかった。私たちが伝えたいのは馬もあるけど、この暮らしそのまんま。そう思った時に、山村留学生を受け入れることを決め、(資金面も含め)生活が変わった。」
先が見えない漠然とした不安感を持つ人が多い現代。のりたけが言ったコメントが印象に残りました。
「コメや味噌を自分たちで作ることができ、たとえ現金収入がなくても暮らしていけるよという安心感があるのは都会じゃないからだと思う。消費するばかりだとお金がないとすごい不安。でも今は、自分たちで生み出していける環境にある。根っこはそこにある。」
話は尽きませんが、予定時間をだいぶ超過したので今回はここまで。
オンライン講座、本人の語りと写真・映像で、雰囲気は多少伝わったかと思いますが、やはりリアルな体験に勝るものはありません。
コロナ禍が収まった時、みんなでうまや七福を訪ねたいです。
ゲストの横山夫妻、参加していただいた皆さま、関わっていただいた皆さん、本当にありがとうございました。
報告:大武圭介(ウォーリー)NPO法人ホールアース研究所
講座終了後、のりたけからメッセージが送られてきました。
「今回の講座の時間、あれで良かったのか?といろいろ反省もしていますが、それでもこうやってご縁を頂いたことが、何より有難いことです。
参加者のみなさんも、いろんな夢があって、その夢の実現のためにいろいろ試行錯誤していることだと思います。今回頂いたこのご縁を大切に、もし私達にできることがあれば言ってくださいね。今後、お互いの「好き」を発揮して繋がって、ますますハッピーな世界をつくっていける!と信じています。」
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
Phone : +81-(0)575-35-3883 / Fax:+81-(0)575-35-2529