樹上のレスキュー TARS-1(Tree Aerial Rescue & Safety)講習
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「樹木作業での危険の度合い」はサウスダコタ大学のジョン・ポール博士が、「樹木のプロ作業で致命的な事故発生比率は一般的な作業の10倍以上」と言っており、重大事故発生比率は建設現場で1/10,000、警察官1/8,200、消防士1/6,500、に対してツリーワーク現場では1/3,000と最も高いのが現状です。
また樹上のケガで最も多いのは、木の幹などに衝突するストラックバイ(STRUCK BY)です。
『Critical or Non-Critical Accidents』重大な事態に至るか否かの判断も重要です。
野外での実践では、まずはMRS(Moving Rope System)のシステム再確認を兼ねて、ブレイクスシステムやディステルシステムなど、それぞれの特徴も情報共有しました。
基本のMRSでつくるシングル・フィギュアー・エイト・ノットの意味、すなわち①カット・エンド、②エンド・ノットについても再確認しました。
ヴィクティム(Victim:怪我人)を近藤さんが演じ、それを救助に向かうのが宇治田さんとして、どのようにTree Aerial Rescue するのかを見本で示します。マイクロプーリーの利用や、ランヤードを用いたHugなどを説明しました。
救助に向かう場合には、必ず要救助のヴィクティムに対して「声掛け」して、状況確認すること。また両社のクライミングロープは両者の体の外側に出しておくこと。マイクロプリーを付けた後に両者をつなぐeye to eyeやデイジーチェーンなどの長さがポイントであることなど、宇治田さんが詳しく説明しました。
レスキューの基本は低いところでも十分学べます。参加者同士でどのように実施すれば良いか迷っているのを見た宇治田さんは、すぐに直接指導を始めてくれました。そして樹上作業だけでなく、地上にいるグラウンド・ワーカーにヴィクティムのビレイを頼み、ビレイ終了後にヴィクティムのロープにマイクロプーリーを付けること。そしてマイクロプーリーを取り付けたら、グラウンドワーカーにビレイ相手を自分に変更することを伝えなければなりません。
「要救助者側のシステムまたは救助者側のシステムのいずれかでのレスキュー」では、今回は『要救助者側のシステムに乗り移ってのレスキュー』に挑戦。
ここでは6コイル・プルージックを要救助者側のシステムのどこに取り付けるかが問題、これは焦ってパニックにならないことが重要。そして、この6コイル・プルージックをロープの少し上側に付けることもポイントです。
もしもヴィクティムが重傷を負っており、使用していたランヤードを外したいが、システムに負荷がかかっている場合。Pick off することで、ランヤードを Tie offしたりする手法を学びます。
今回の6コイル・プルージックはどこに付けるのか? 乗り移りの時とは違う場所でないと、マイクロプーリーで倍力システムが十分使えません。
さて、本日のレスキュー全体についての質問を受けたら、次は確認テストです。試験問題を終えたら、全員で答え合わせをして、自分が何を間違えたのか、正しい答えは何なのかを再確認しました。
本日の参加者とトレーナー陣の記念撮影です。樹上には篠田さんと下西さん、建物の中には近藤さん、その下に錦織さんと宇治田さん、その下にJIRIと福山さん、佐々木さんです。
みなさん、morinos 初の樹上レスキュー講習、万が一に備え、常日頃からこうしたレスキューを繰り返し学ぶべき項目です。しかし可能な限りレスキューが必要とならないような、安全で、確実な技術を持って作業にあたることを心掛けたいものです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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