さじフェス2019、大好評でした!

開催した日:

日本最大にして唯一の「木の匙と杓子の祭典〜さじフェス2019」、4月28日(前夜祭)、29日、30日の3日間にわたって行われました。のべ120人を超える人たちが全国各地から集まり、スプーン削りを楽しみました!いやぁ、楽しかったなぁ。参加者の方たちからも、高評価をいただきました。

今年は念願のさじフェスTシャツも製作。森林文化アカデミー卒業生で、さじフェス実行委員を務める池冨士裕さんのデザインです。

そもそも、さじフェスとは何か。
いま、生木をナイフで削ってスプーンを作るのが世界各国でブームなのです。身近な森の木を使って、普段の暮らしの道具を作ることで、自然や環境や食や暮らしのことを考えよう、そして何より、ものづくりを楽しもう、という活動です。私(教員・久津輪)はスウェーデンやイギリスのイベントに参加してみて、ぜひ日本でもやりたいと思い、さじフェスを企画したのです。2017年に続いて2回めです。

さじフェス2019には、全国から5人の講師に来てもらい、半日のミニ講座を担当していただきました。半日ずつなので、2日間とも参加すれば最大4人の講師から受講することができます。

では講師を紹介しましょう。

まずは長野県松本市・大久保ハウス木工舎の大久保公太郎さん。木の料理ベラを年に4000本も削るというプロフェッショナルです。その料理ベラを、大久保さんがふだん使うのと同じ刃物を使って削る講座です。そして工夫が凝らされていたのが、ホームセンター等で売られている「荷締めバンド」を利用した簡易削り馬。こんな簡単な道具で材料を固定できるのですね〜。目からウロコでした。

「なにこれ〜、めっちゃ削れるやん!」と感激しているのが表情に出てますね。

 

岡山県瀬戸内市の匙屋・さかいあつしさん。さじ削り歴25年のベテランです。海外のスプーン削りはスプーンナイフ(フックナイフ)が主流なのですが、さかいさんはスプーンナイフではなくノミを使います。ノミのほうが使いやすいという人も多いのです。さかいさんの、左手の親指をてこにして削る技法にご注目。そしてさじ削り用の台も工夫されていてとても使いやすそうです。あと、さかいさんは「匙屋流・うなじの削り方」も教えていました。スプーンの「うなじ」、どの辺りのことか想像つきますね。なんとも絶妙な表現です。

 

岐阜県の金城貴史さんの講座。海外のグリーンウッドワークのスプーンづくりでは、両刃のストレートナイフと曲がったスプーンナイフを使いますが、金城さんは片刃の小刀、丸ノミ、彫刻刀など、日本の道具の長所を知ってもらうための講座を企画。日本の道具の良さを伝えてもらえるのは、とても嬉しいです。
そして金城さん、毎朝いちばんに会場入りして参加者の刃物を研ぎ上げていました。参加者は切れ味を楽しんだことと思います。

 

福島県古殿町で活動する 井丸 富夫 さん。2002年からグリーンウッドワークを始めた、日本の草分け的存在です。その井丸さんの講座が岐阜で受けられるとあって、たくさんの方の申し込みがありました。刃物も自分で作る井丸さん、受講生10人分の刃物もすべて自作で用意してくれました。さすが!
他の講師の方には2〜3時間のミニ講座をお願いしたのですが、井丸さんのみご本人の希望で丸一日。丸太からたっぷり時間をかけてスプーンを仕上げていました。

 

NPO法人グリーンウッドワーク協会代表・小野敦さんによる「さじカフェ」。「スプーンを削りながら楽しくおしゃべりしたり、お悩み相談を受けたり、ができればなと思っています」という予告通り、5人のゲスト講師陣の中でもひときわゆったり和やかな雰囲気でした。カフェらしく車座の真ん中にはコーヒーも置かれて、講座の間に振る舞われました。グリーンウッドワークはゆったり楽しくやりたいですよね。2日目の講座には、小野さんの森林文化アカデミー時代の恩師、柳沢先生も受講生として参加していました。

 

5人の招待講師のほか、主催者であるグリーンウッドワーク研究所の加藤慎輔さんと森林文化アカデミーの私(久津輪)も「斧とナイフの基本講座」をしました。3時間なのでスプーンを完成するところまではいきませんが、小さい丸太を斧で割り、大まかにスプーンの形にして、ナイフで荒く仕上げていくまでを学んでもらいました。私たちの講座を午前中に受けて、午後は他の講師陣の講座で細かい仕上げ方を学ぶ、という人も多かったようです。

 

さじフェス2日間の昼食・夕食は、岐阜の有名なケータリング、ネシアンさんにお願いしました。地域の木を使って暮らしのものづくりを楽しもう、というのがメッセージなので、食べ物も地域の食材を使ったおいしいものを提供したいと思ったからです。評判通りのすばらしい味で、スプーンをかたどったクリームチーズとスパイスのディップを用意してくれる遊び心も。参加者からは「さじフェスはご飯がおいしかった」という感想もたくさんいただきました!良かった!
ゴールデンウィーク中でスタッフが足りず、学生スタッフがお手伝いしたのですが、キッチンではネシアンの大野ひろみさんから笑顔で細かく指示が飛び続けたそうで、あとで「プロの仕事のレベルの高さを学びました」と学生たちが感嘆していました。

 

そんなこんなで盛りだくさんのスプーンフェス、まだまだお伝えしたいことがあるのですが、楽しい雰囲気は十分感じていただけたと思います。
「来年もやってほしい!」という声もたくさんいただいているのですが、次回は2年後の予定です。お楽しみに!

久津輪 雅(木工・准教授)

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