三ツ紐伐りで建築用材伐採
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こんにちは、JIRIです。
本日は来年度オープンする(仮)森林総合教育センターのメイン柱(12本)となる百年檜の三ツ紐伐り(みつひもぎり)〔三ツ緒伐り(みつおぎり)〕を実施しました。
この古式伐採手法実施にあたり、連携協定先の中津川市の協力もあり、中津川市の「三ツ伐り保存会(みつぎりほぞんかい)」の無量小路 清さんの指導を受けて実施したものです。
現場でどのように伐採するのか、山の神に対する儀礼はどうするのか、安全のために何をすべきかなど、実践に向けて様々な項目を無量小路さんから教えて頂きました。この三ツ紐伐りは伊勢神宮のご遷宮に合わせて、木曽と裏木曽でヒノキを伐採する時に用いる手法です。
現場では三カ所の与岐(斧)入れ場所の決定、最初に下面の決定、次に上面の決定。この時の上下の幅は約24cmほど、今回は22cmに設定しました。
次に最も重要なツルの位置決めです。このツルをどこに作るか、どれだけの幅で作るか。この二点が肝心なのです。この林は100年以上のヒノキが林立する現場で、少しでも誤ると「かかり木」になってしまいます。
与岐を入れる受け口側で、幹を背にして両手で幹を押さえて、伐倒方向確認をします。無量小路さんに続いて、学生も方向確認を繰り返し、受け口の大きさと横ヅルの位置を決定しました。
与岐を入れる下面の幹周は153cmでしたが、今回はツル幅を12cmにして斧を入れることにしました。
三ツ紐伐りでは追いヅルは幹直径の22~25%幅、2つの横ヅルは26~29%とするのが一般的です。下の写真で白い斜線部がツルとした部分です。
さて、与岐を入れる前に、「与岐たて」と二礼二拍一礼を実施し、山の神に命を頂くお願いをしました。
最初の与岐入れはナバ先生が、記念すべき一打を・・・!
与岐は杉本先生や新津先生が学生と共に、しっかり手入れしたものです。一打目から参加者全員が緊張の面持ちで見守りました。
今回は木造建築専攻の辻先生や松井先生も、しっかり与岐を振るってくださいました。お二人とも慣れない与岐入れのはずなのに、想像以上にうまく振るわれました。
また杉本先生や新津先生に続いて、参加した多くの学生たちがかわるがわる与岐を入れました。
途中、無量小路さんが受け口の修正方法、与岐の入れ方を再チェックされました。学生たちの与岐づかいを見て、「下先、上後」の順に与岐を振るい、木材の繊維を切ることを伝えられました。
無量小路さんのアドバイスを受けて、エンジニア科の学生が三カ所うまく与岐を入れてくれました。
最初の貫通は熊崎君の一振りでした。貫通と同時に大きな歓声が上がりました。この三ツ紐伐りの与岐木端は香りが良いだけでなく、縁起物としてお守りにも利用されます。
三カ所の穴が貫通したので、最後に芯の部分を杉本先生が伐り抜きました。
今日に向けて、杉本先生や新津先生が与岐の扱いについて学生を指導してくれたのです。
さて、貫通した部分をまた参加者全員が与岐で削り、見事な追いヅルに仕上げました。
この時、穴の底面は中央が少し窪んだ状態で、その上の幹部は三つのツルと頭巾(ときん)にまとめあげてあります。
さて、いよいよ伐倒です。
ここで菅野君が、「大山の神、登り山一本、寝るぞ~!」と山の神に宣言し、杉山君が追いヅルを与岐で切り離します。
追いヅルを伐ったあとに、幹が傾くのに合わせて、杉本先生と熊崎君が横ヅルに与岐を入れました。バリバリと枝をしごく音を響かせながら、ゆっくり倒れていったのです。
伐倒し終わったてみたら、なんと目標通りに百発百中状態。
最先端の梢を切り株に挿して、山の神に「幹の部分を頂いた報告」をしました。
この梢は100年以上のヒノキの先端であり、今年の球果もついていました。
切り株を横から見た写真です。しっかり伐採された百年檜を見て、新たに建設される(仮)森林総合教育センターが益々待ち遠しくなりました。
今回伐採に協力して下さった中津川市役所、中津川市の三ツ伐り保存会のみなさま、直接指導して下さった無量小路 清さん、学生と伴に下準備して下さった杉本先生、新津先生、玉木先生、辻先生、松井先生、伊佐治先生、多くの学生さんたちに感謝致します。
さて、残るは造材と搬出です。あと少し、皆さんの協力が必要ですので、宜しくお願い致します。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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