「グリーン・ユニバーサル・デザインに挑戦!」 してみました!
開催した日:
「おもいやり駐車場」って聞いたことありますか?
これは、身体障害者や妊産婦、ケガ人など歩行が困難な方々の外出を支援するために、設けられた駐車スペースのことです。7月にオープンしたmorinosには、この思いやり駐車場がまだないことから、設置を検討していました。
ないもの、欲しいものは、みんなで勉強しながら、楽しみながらつくちゃおう!ということで、今回はゲストと参加者と一緒に考え、学びながら作っちゃおう、という発想のもと、「すべての人と森をつなぐ」をコンセプトに掲げるmorinosらしく、「グリーン・ユニバーサル・デザイン(GUD)」と銘打って、8月19日と20日の2日間、ワークショップを行いました。
当初の計画では7月、8月の2回に分けて実施予定でしたが、コロナ感染拡大の影響で7月開催は中止となり、8月に2日連続で開催としました。岐阜県内の自然学校スタッフやアカデミー学生、morinosスタッフなど、14名が参加して行いました。
終わってから気づいたことは、「思いやり」駐車場は、実は自分たちの「思い込み」駐車場だったのでは、ということ。
誰が、誰を思いやるのか?。思いやりという言葉に、上からの目線を持っていないか。
自分たちの常識や普通を疑い、ハットさせられ、目からウロコがボロボロ落ちる2日間でした。
ゲストに招いたのは、インクルーシブミュージアム代表の安曽潤子(あんそ じゅんこ)さん。
変わった苗字ですが、ルーツは新潟だそう。ニックネームは「アンソニー!」(笑)。
古生物学を学び、大の化石好きで、今回も様々な化石を持ってきていただきました。
学芸員の資格を活かし、これまで自然科学系の公立博物館で10年以上勤務した経験があります。さらに文部科学省の在外派遣でニューヨークの博物館にも。
この間、障害をお持ちの方や、病院内学級の生徒、一人親の家庭や外国人など様々な状況の方が楽しめるワークショップやプロジェクトを実施。現在は博物館へのソーシャルインクルージョンに関する研修や、大学で博物館での教育や展示について教えていらっしゃいます。
小道具として、参加者がリアクションしやすいように、「おもしろい」「わからない」といったイラストサインが配られ、早速「おもしろい」サインを掲げる場面も。ちなみにこのイラストは「ドロップス」という視覚支援のシンボルです。また、番号は二択クイズの回答用です。
冒頭、安曽さんから「インクルージョン」という考え方について、話していただきました。
そもそもインクルージョンとは、欧米で移民排斥といった社会問題に当たり、排斥(Exclusion)の反語である包摂・包含といった意味の言葉。日本語ではわかりにくいのですが、排斥と逆の意味と言われると少しわかった気がします。
また、「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」「インクルーシブデザイン」の違いについても説明が。
これらは時代と共に考え方が広がってきたそうで、単に障害者にとどまらず、外国人やLGBTQ(性的マイノリティー)、貧困層など全ての人々を孤立や排除から援護しようとする考え方です。
とはいえ、インクルージョンというのは、全ての人が受け入れられた理想的な社会に向けた道のりであり、「永遠に未完成」を掲げるmorinosと似ているような気がします。
2日目は、車いすをに乗ってmorinos周辺を回って普段との違いを体感しました。
歩いているとあまり意識しないちょっとした傾斜や段差、障害物でも車いすでは気になることがたくさんあります。一方で視線が下がることで、足元の自然に目が向くことにも気づきました。
演習林入口の舗装路からちょっと森の中に入った空間は、整備すれば車いすで気持ち良く過ごせるかも、という発見もありました。
最後のふりかえりでは、「伝えることを諦めない」「文化的多様性を大切にする」といったコメントが出ました。
また、ナバさんからの「背中をかいてもらうことと同じかも」というコメントが印象的でした。
「背中がかゆいから、かいてほしい」と声を上げること。または「どうしたの?」と声をかけること。
そしてその声に応じて誰かがかいてあげること。
さらには、かきはじめることで「もう少し左」「もうちょっと強く」など対話が生まれます。
インクルーシブを考えるということは、様々な人が交ざり合い、声を上げ、対話をしながらよりよい答えを探ることなのかもしれません。これって、morinosが掲げる「永遠に未完成」な「交ざり場」とも一致するなぁと納得できました。
さて、「思いやり駐車場」の名前、どうしようかなぁ。
誰かいいネーミング、または機能やデザイン、一緒に考えてみませんか。
この後も一緒にインクルーシブなmorinosづくり(ハードだけでなく、ソフトにも)に協力していただける方、大募集です!
morinosスタッフ 大武ウォーリー
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
Phone : +81-(0)575-35-3883 / Fax:+81-(0)575-35-2529