連携団体のための『野外救急・リスクマネジメント』
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本日はmorinosプログラムとして、連携団体の「森のだんごむし」、「MIC」、「みのプレーパーク」などの危機管理研修として、『野外救急・リスクマネジメント』講習を実施しました。
本日のメイン講師はホールアース自然学校(WENS)のガッツ・夫津木さんと、ウォーリー・大武さんです。講習内容は救急法のガイドライン2015に則った内容で実施しました。
ファーストエイドの優先順位 ①傷病者の救命に直接かかわる手当、②放置すれば、時に命を失う状態に対する手当、③機能的予後を守るためや苦痛緩和を目的とする手当、なども基本事項として学びました。
ある程度の基礎知識を頭に入れたら、人形で実践です。
CPRにとりかかる前に、周辺の安全確認をして、傷病者に声を掛けながら近づく。コロナ禍では傷病者の呼吸確認の方法も従来とは異なります。
救命処置をする前に、①119番通報の依頼、②AEDの要請、③できるだけ多くの協力者を集めるなどの行動をする。
心臓マッサージの強さ、間隔、その時に出血があれば直接圧迫による止血、動脈と静脈の出血の違い。
様々なポイントについて実地開設されます。出血時には体内の血液量の20%を失うと、出血性ショックとなる可能性がある。
人の体内にある血液は成人なら体重の8%(80ml/kg)、子どもなら体重の12%(120ml/kg)となる。つまり体重70kgの大人なら5.6リットル、30kgの子どもなら3.6リットルです。
体重70kgの人の血液の20%とは、1.12リットル。もしも600mlの血液が出るとどれほどかも、水を流して再現しました。
当然、各自が心臓マッサージを体験。
胸部圧迫の深さに気を掛けながら、1分間に100~120回の圧迫を30回実施し、場合によっては気道確保して空気の吹込みです。
30回胸部圧迫して、AEDセットも体験。 心拍が除細動できなければ、AEDが2分に一回自動解してくれます。一度、AEDセットして心拍数が元に戻らなければ、つけたまま胸部圧迫を継続します。
「意識レベルの評価」ができれば、救急隊員にも的確に状態を伝えられます。刺激すると覚醒するレベルは2桁になります。例えば「レベル20」なら、大きな声や体を揺さぶると開眼する状態です。
瞳孔観察もできる、なおさら救急隊員にとっても有難い情報です。そして、状況を記録に取ることも重要です。事案が発生した時間、発見場所、出血ヶ所など、様々な記録がその後の治療にも有効なものとなります。
ガッツ・夫津木さんが、自分の救急ポーチ内部を見せてくれました。様々なファーストエイドキットだけでなく、記録の小さなメモ帳や筆記用具、ポリエチレン袋に入った清潔なタオルも入っていました。
担架をつくる実践ではブルーシートとのぼり旗棒をつかったもの、レインコートを使ったものなどを体験してもらいました。
他にもアタックザックをさかさまに利用して、傷病者を運ぶ手法なども実践しました。
次は、ウォーリー・大武さんの出番です。
大武さんは『自然体験活動におけるリスクマネジメント』について、ホールアース自然学校や少年自然の家での体験の中から、生きた体験を盛り込んでお話しいただけました。
「リスクマネジメントの捉え方」では、活動する場合の「事前」と「事中」、「事後」で、何をすべきかを振り返りました。
『KYT』の実施の必要性も事例を含めて説明されました。
多くの野外活動で、イベント参加時に『参加同意書』を書くことが多いですが、ではその書面でどのような責任が発生するのか。このコロナ禍の中で、コロナウィルス感染は保険の対象になるのかなどについても解説されました。
指導者に係る『義務』は何か、①予知、②回避 だよね!
裁判が発生すれば、指導者にどのような責任がかかるのかを、事例をもとに説明。その団体の主たる活動も責任問題に大きく影響します。
このほかにも、参加者が各自事前質問していた、ハチ対策や野生動物への対応も数多く回答されました。一例として「マダニにワセリンを使う事例」、「ムカデ対策は温めること」などなど、面白くためになる講座でした。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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