「morinosカフェVol.22 まちごとシェアオフィスって何だ?好奇心旺盛なコミュニティマネージャーの奮闘記」を開催しました
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今年度最後、通算22回目を迎えたmorinosカフェ。ゲストを迎えてざっくばらんに話す交流の場です。
今回は美濃市在住で「WASITA MINO」というまちごとシェアオフィスでコミュニティマネージャーをしている、橋元麻美さんをゲストに迎えました。
3月7日(金)の夕方、2名が参加しました。
冒頭、橋元さんから参加者に質問が出されました。一方的に話をしても面白くないだろうから、参加者が聴きたいテーマを4つの中から1つ選んでもらいたい、というものでした。結果、「地域コーディネーターとは」というテーマを中心に話をしていただきましたが、こうした「相手に興味を持ち、知りたがる」という姿勢が、まさに地域コーディネーターなんだなと感じました。
そんな橋元さんは名古屋市出身で、大学卒業後に東京で就職し、都会で会社員生活をしていました。転機となったきっかけは、「人に会いに行く旅」で出会った地域の人が、とてもキラキラした表情をしていたこと、その時のことがとても印象的だったそうです。都会では「大きな流れに身を任せて、透明人間になれる」という感覚だったのが、地方では「大きな流れ、みたいなものはなく地に足ついてる」という感覚だったそう。
当初は美濃市の北隣の郡上市に移住したいと思いアンテナを張っていたのですが、美濃市のWASITA MINOでコミュニティマネージャーを募集しているという情報を知り、どうせ地方に移住するなら面白そうなことにチャレンジしたいと意を固め、2021年に家族と共に東京から美濃市に移住しました。
ちょうどコロナ禍でリモートワークが注目されていたタイミングも重なり、WASITA MINOは地元では珍しい、テレワークの拠点として利活用していくことになりました。

WASITA MINOの外観
WASITA MINOは築150年ほどの古い長屋を改装した、シェアオフィスです。
とはいえ、橋元さん自身、地元の方にWASITA MINOをどう説明したらいいか悩んでいるそうで(貸店舗とか、カフェと思われているそう)、何かいい文章考えてくれませんかと参加者に逆質問しているほどでした。
実際、美濃市は2万人弱の小さな町なので、会員企業や個人会員は多くなく、イベントや補助金を活用して何とか運営しているのが現状です。お金がないなら知恵を絞る、ということで、地域コーディネーターとしてこれまで様々な取り組みを行ってきました。
その1つが「UDATSU BITO(うだつびと)」というプログラム。
これは「地域を満喫しながら事業を形にする人を応援するプログラム」で、社会課題解決や収益性からではなく、自分自身の「好き・楽しい・ワクワク」を起点にアイデアを発想し、具体的なプログラムへと育てる実践型の取り組みです。
といっても、ちょっとわかりづらいので、具体的な例で紹介していただきました。

『板を見る展』
『板を見る展』という一風変わった展示会が行われたのですが、これは木を切って板にした際に見えるその模様に惹かれた人が、その面白さを是非知って欲しいという想いから、様々な板を屋外に並べ、板の見方を解説し、面白がってもらうという展示会でした。
他には、『歌を読む展』という音楽を聴くのではなく、その歌詞だけを読むという展示もありました。
これら一連のプログラムは、従来の企画や事業計画を進める際の考え方「PDCAサイクル」ではなく、「AARサイクル」だと言います。
AARとは、「Anticipation(見通し)」「Action(行動)」「「Reflection(ふりかえり)」のことですが、まず、ニヤニヤわくわくすることを思い浮かべることから始め、実際にやってみて、ふりかえることで「こうすればもっと楽しくなるぞ!」という未来に期待することで、さらに拡大していけるといいます。従来のPDCAサイクルだと、評価を達成できるプランしか立てないため、サイクルを回すほど小さくなってしまう可能性があるとのことでした。(図参照)
最後に、これからのふるさと像について話していただきました。
橋元さんにとって戻りたくなる「ふるさと」とは、魅力的な大人、地域に愛着と誇りをもって活動している大人が身近にいるかどうか、だと言います。
そして地域で活動する一人として意識したいこととして、
・問いを持ち続けながら、主体的に動く
・できるだけ何事も面白がる
の2つを挙げていました。
次の一歩を応援しあえるコミュニティを目指して、橋元さんのチャレンジはこれからも続いていきます。
橋元さんの話を聴いた後、参加者から出された質問に答えていただきました。
※質疑の要旨は以下のとおり。
Q1 コミュニティマネージャーとして大切にしていること、心がけていることは?
A1 相手を見る、知りたがる、話を聴くこと。
Q2 プロジェクトやイベントのアイデアはどこから来るのか?
A2 いろいろな人に相談する、他の事例を知る、それらを組み合わせること。
Q3 橋元さんの原体験は?
A3 学童保育で様々な体験をしたことかな。キャンプにも行ったし。子どもの頃、どれだけ熱中する体験や自然と触れ合うことをしたかどうかは大きいと思う。
橋元さんとのやり取りは終了後も続きました。
魅力的な大人が、ワクワクしながら地域の資源を活用して、新しいチャレンジをし続ける。そして互いに応援しあえるコミュニティを目指す。橋元さんの描く地域像が、参加者一人一人の胸に届いたのではないでしょうか。
【参加者の声】(アンケートより一部抜粋)
・今回は橋元さんのここまでの道のりを聞きたくて参加させていただきました。なかなか仕事と捉えた場合は厳しい現状もわかりました。頑張って欲しいと思います。モリノスを知れただけでもとても満足でした。共感できる仲間がどんどん増えるといいですね。
・橋元さんの面白がる、相手に興味を持つ、よく聴くという姿勢が印象に残りました。自然に囲まれた美濃市ですが、やはり人が財産なのだと改めて実感しました。いろいろな人が交流する拠点として、もっと活用されていけばいいなと思いました。
報告者:大武圭介(ウォーリー) NPO法人ホールアース自然学校


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