morinosカフェVol.19 子どもと絵本と大人 ~絵本の可能性を考えるを実施しました

開催した日:

19回目を迎えたmorinosカフェ。ゲストを迎えてざっくばらんに話す交流の場です。
今回は名古屋で子どもの本専門店「メルヘンハウス」を経営している、三輪丈太郎さんをゲストに迎えて実施しました。岐阜県内外から12名が参加しました。

三輪丈太郎さん

三輪丈太郎さん

冒頭、参加者が3人1組で簡単に自己紹介や参加動機を話してもらい、リラックスした雰囲気でスタートしました。
morinosカフェ三輪さん

前半はメルヘンハウスの歴史と、絵本をはじめとした出版業界を取り巻く状況について話していただきました。
1973年に丈太郎さんの父、三輪哲さんによって日本初の子どもの本専門店として創業された、初代メルヘンハウス。
「子どもたちに良い本を!」と掲げ、開業の当時より雑誌や漫画、テレビ番組の絵本や名作のダイジェストなどは置かず、選び抜かれた児童書のみを扱ってきました。店舗面積60坪、約3万冊の書籍を扱っていましたが、次第に経営が厳しくなり、2018年に惜しまれながら閉店しました。

背景には、ネット通販やスマートフォンなどの普及による電子書籍の拡大による出版不況があるそうです。
三輪さんによると、メルヘンハウスに来たお客さんから相談を受け、おススメの絵本を紹介すると、書店で購入せずにスマートフォンで購入する人が多く、なかなか売れなかったとのこと。まさに「メルヘンハウスがショールーム化していた」ということです。

2018年のメルヘンハウス閉店後、三輪さんはSNSで再開を宣言し、苦労して新たな物件を見つけ、2021年に現在のメルヘンハウスを再オープンさせます。
薄利多売が書店のビジネスモデルですが、小さな書店で多売を追えないため、講演会や移動販売、大人向けに絵本を知ってもらうイベントを実施するなど地道な活動を続けています。

三輪さんによると、絵本の選び方は対象年齢によって、以下のようになるそうです。
0~2歳 色、形、リズムがあり、繰り返しがあるもの
3~5歳 起承転結のストーリーがあるもの
6~9歳 幼年童話
10歳~ 読み物(児童文学)
これらの対象年齢の下限はあっても、上限はなく、大人でも幼児向けの本は楽しめる、というのがポイントです。

ここで大切なのは、「子どもに本を読む」のではなく、「子どもと一緒に本を楽しむ」という姿勢。
また、絵本は紙芝居と違って、声色を変えて役柄を演じ分ける必要はなく、淡々と読み聞かせればよいとのこと。
三輪さんによれば絵本の魅力は「余白」で、子どもたち自身がその本の世界観に入れるように、想像力を引き出すように、大人は余計なことはしないほうが良いそうです。

実際に三輪さんが絵本『たぬきのひみつ』(文溪堂)を読み聞かせながら、自由な発想を楽しむ体験を行いました。
この絵本は、たぬきのおへそは実は「たこ焼き」だった、という秘密をたぬきが告白し、様々な動物が自分の秘密を告白するという愉快な絵本です。
参加者に登場する動物の秘密を想像してもらうと、コアラの鼻は実は「おはぎ」や「おにぎり」など、自由な発想が出て盛り上がりました。

morinosカフェ三輪さん

読み聞かせをする三輪さん

最後に三輪さんから、絵本『このよでいちばんはやいのは』(福音館書店)を読み聞かせていただきました。
いろいろ速いものがある中で、大人なら「光が一番早い」という知識は知っていると思います。
けれども、絵本の中では光よりも速いものがあると言っています。ネタばれになってしまいますが、実は人間の「想像力」が一番速いとのこと。
(想像力があれば、一瞬で何億光年離れた宇宙の果てまで行くことができます)

想像力を育むために、絵本を子どもと一緒に大人も楽しんでほしい。
三輪さんのメッセージは参加者の心に確かに届いた気がします。

【参加者の声】※アンケートから一部抜粋
・絵本は本当にたくさんたくさんあって、知れば知るほど迷いが深くなるのですが「一緒に絵本を楽しむ大人に」という三輪さんのコメントに、息子の子育てが始まって絵本にどっぷりはまって、子どもと毎日楽しんでいた時の気持ちを再度思い出して、もやもやしていたところがすっきりしました。
・世界観を共有する、など漠然と考えていたことが言語化されました。また、子どもと一緒に読みたいなあという本を知ることができました。ありがとうございました。
・読み聞かせは淡々とする。子どもに読み聞かせするときに、余白を楽しめるようにしたいと思います。

報告者:大武圭介(ウォーリー)NPO法人ホールアース自然学校

  • モリノスfacebookページ
  • モリノスlineページ
  • モリノスYouTubeチャンネル
開館時間:10:00 〜16:00
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
電話番号:0575-35-3883 / FAX:0575-35-2529
Address : 88 SODAI, MINO-SHI, GIFU-KEN, ZIP #501-3714 JAPAN
Phone : +81-(0)575-35-3883 / Fax:+81-(0)575-35-2529
岐阜県立森林文化アカデミー
ぎふ木遊館
Sustainable Development Goals