里山ナイフ教室の連携プログラム 現代陶芸美術館でMy 茶杓づくりと茶の湯体験

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今回のプログラムは、集まった13名の参加者にアートツアーやもの作り、茶の湯体験を通して、楽しみながらお茶の世界について学んでもらいました。このプログラムは岐阜県現代陶芸美術館で開催中の生誕130年 荒川豊蔵展に合わせて、美術館、セラミックパークMINO(セラパークあそび隊)、地元茶華道連盟、岐阜県立森林文化アカデミー(morinos)が連携して実施しました。

アートツアー冒頭

冒頭のアートツアーでは、学芸員の澤田さんに案内をして頂きながら、荒川豊三先生の作品に見られる人柄や、さまざまな茶器を見ていきました。ツアーの中では、それぞれに好きなお椀を探してもらう時間もあって、他の人がなぜ、そのお椀が気に入ったか聞いてみると、お椀の見方の多様性や、思いがけない参加者の焼き物の知識に触れる場面もあり、「おおー!そんな見方もあったのか」という鑑賞の楽しさが広がる素敵なツアーでした。

茶杓作りは材料選びから

アートツアーを終えてプロジェクトルームに戻ると、休む間もなく、さっそく茶杓(ちゃしゃく)作りがスタートです。セラミックパークMINOの長江さんが、講座前日に荒川豊三先生が作品作りをされていた「水月窯」から、黒竹を切ってきて下さったので、これを材料に茶杓を作っていきました。茶杓作りは初めて!という参加者の方ばかりでしたが、皆さん「こういうイメージで作りたい」という思いは強く、それぞれこだわりの節の位置で材料取りをされていました。

長さを決めたら、今度は縦にパッカン

割った竹を削って

削り方のレクチャー

竹を割って、削って、形をある程度整えたら、茶杓の先端の櫂先(かいさき)と呼ばれるところを加熱して曲げるところまで午前中に行いました。曲げた竹は、お昼休みの時間を使って曲がりのくせを付けておきます。

グイっと曲げて、そのまま放置

櫂先をグイっとまげて、お昼休みの時間はこのまま放置

お昼休みが過ぎたら、再びナイフで削り出しながら茶杓の形を作っています。ここからはなかなか慣れないナイフを使いこなす忍耐の時間です。皆さんそれぞれに思う形はあるものの、竹は、勢いよくナイフを食い込ませてしまうと途端に繊維が裂け走って、意図しない部分まで削り落としてしまいます。皆さんこのあたりまでくると、慎重に慎重に形を整えていきました。紙やすりで形を磨いて、最後にムクノキの葉で表面を磨いて、茶杓の完成です!

形を整えて

左右のバランスを見ながら

サンドペーパーで仕上げ磨き

次は茶の湯の体験です。

今回、茶席を設置したのはセラミックパークMINOのカスケード広場という場所です。ここには建物の中央を流れる滝の中に、小さな島のようになっている隠れ家のような場所があります。ここに長江さんが席やテーブルを運んで、お茶の席を作ってくれていました。ここからは、多治見市茶華道連盟の水野雅子先生にバトンタッチです。

水野先生のお茶の指導

水野先生には裏千家茶道の基本の形を手順を追いながら、1つ1つの動作にどのような意味があるのかを丁寧に教えて頂きました。茶道の中には1つ1つの型というものが有りますが、それらは美味しくお抹茶を頂くために必要な気配りが元になって、とても理屈にかなった形になっていることを知ることができました。そしていよいよ、自分で作った茶杓で、お抹茶を点(た)てる体験です。

出来上がった茶杓を使って

真剣に楽しく

とても嬉しそう

ごくりと飲み干します

自分で作った茶杓でお抹茶をすくって、湯の道を作り、お抹茶を点てて、お菓子と一緒にお抹茶を頂きました。
参加者の皆さんがお茶を頂き、ひと心地着いたタイミングで水野先生が

「皆さん、茶杓に銘(名)はつけましたか?」

と問いかけられると、皆さんはそれぞれに自分の作った茶杓を見ながら、とても楽しそうに思いを巡らせているようでした。

限られた時間の中で

今回の体験は、限られた時間の中に色々な体験を詰め込みましたので、茶杓作りも、もっと時間が欲しかったり、展示をもっとゆっくりと見たかったりといった部分もあったかなと思います。最後のお話の中でもお伝えしたのですが、お茶の楽しさを学ぶ一方で、身近な森にある竹も、ちょっとした道具を使いこなすことで、素敵な茶道具に姿を変えるということも知って頂けたのでは無いかと思います。お茶の世界は意外と身近な森とも繋がっているのです。

この日の参加者の方から頂いた感想は

「皆さんが楽しそうにされており、良い雰囲気で私も楽しかった」

「抹茶が好きで参加しました。自分だけのオリジナル茶杓でお茶を飲めて嬉しかったです」

「ずっと茶杓を作ってみたかったので参加できて良かった」

「すべての先生がとても良かった」

と、満足度の高い時間を過ごして頂けた様子が伝わるものでした。

今回のプログラムは、美術館やセラミックパークMINOという素敵な環境がまずあり、ここを好きで、いろんな人に楽しんで過ごしてほしいという思いのメンバーで企画をできたのがとても良かったと思います。結果としてゆったりとした、落ち着いた空気の流れるプログラムができたように思います。

ムーミン展に続く第2段のコラボレーション企画は、森、茶の湯、ナイフクラフトがつながるとても楽しいイベントになりました。
またこのようなつながりの中での企画ができたら良いなと思います。次のコラボイベントもどうぞお楽しみに!

岐阜県立森林文化アカデミー
木工専攻准教授 前野 健

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