岐阜盲学校の生徒さん、渓流や森、morinosで初めての体験

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 本日は岐阜県立岐阜盲学校(岐阜市北野町70-1)の2年生1名、3年生1名の生徒さん、そして一緒に先生方が、森や渓流で非日常を体験されました。

 岐阜盲学校は、1894年3月9日、眼病で光を失った元岐阜中学校教員の森巻耳先生とイギリス人宣教師のA・F・チャペル氏が、盲人教育のために開設した岐阜聖公会訓盲院が前身です。

 岐阜盲学校のみなさんが森林総合教育センターmorinosで活動したいと考えて下さったのは、森林文化アカデミー卒業生の堀田陽介さんが契機です。

課題研究発表する堀田さん

課題研究発表する堀田さん

 堀田さんは網膜色素変性症という視覚障がいがあり、視覚障がいから仕事や生活に悩んだ経験と、生活に木製品との親しみを取り入れてきた体験を糧に『木育プログラムとその実践』に取り組んできました。

 そうした堀田さんの活動を通して、盲学校の方々がmorinosの存在に気付いて下さったのです。

 今日は最初に、毛鹿洞谷で盲学校で流す体験報告の撮影(音声重視)から始め、これから経験する『渓流歩き』への期待を、生徒さんが話してくれました。

マイク片手に渓流歩きに対する期待を述べる生徒さん

マイク片手に渓流歩きに対する期待を述べる生徒さん

 これまで長良川には行ったことがあっても、こんな冷たい渓流に来たのは初めてとのこと。冷たい渓流に恐る恐る入って行くと、サワガニがそこかしこで出迎えてくれました。

 渓流歩きは単に脚で歩くだけでなく、手探りしながら、先導者の声を聞き分けながらと一苦労ですが、めいっぱい楽しんで下さいました。

岩や丸太がある足元を手探りしながら進む生徒さん

岩や丸太がある足元を手探りしながら進む生徒さん

 大きな岩があって滝のようになっている場所では、数人で協力して越えて行きました。これがチームワークです。息の合わせ方、力の入れ方など、意思疎通できた瞬間に簡単に難題をクリアできるのです。

大きな岩を越えていく生徒さん

大きな岩を越えていく生徒さん

 50年程前につくられた堰堤は壊れていますが、そこに残ったコンクリート片に手や足を掛けて登って行きます。

 ここは私が思った以上に、生徒さんは簡単に踏破してくれました。

堰堤を越えていく生徒さんたち

堰堤を越えていく生徒さんたち

 一度渓流を上流まで踏破し、次は渓流への降り口で小さなロックフィルダムづくりです。この場所には子ガニを抱えた母ガニがいたので、濁流で流されないよう、また隠れ家となる岩の隙間を作ろうと、石積みをしました。作業の前には恐る恐るサワガニにも触ってみました。初めてのサワガニつかみに少々戸惑っていた生徒さんも、すぐに慣れてくれました。

石積みする生徒さんたち

石積みする生徒さんたち

 ここでお昼になったので、お待ちかねの昼食タイム。

 盲学校のみなさんはトンカツ弁当を頬張り、元気いっぱいになったところで、スタッフのサニーが手にしてきたカナヘビにおっかなびっくり近づいてきました。

 カナヘビは知ってはいても、手にするなんて初めてで経験がない。

 あまりはっきり見えないのに、動き回るものを手にする恐怖、相当な覚悟が必要かと思いますが、先生がうまく導いて下さったお陰で、見事にカナヘビを手にのせることができました。

初めてカナヘビを手にした生徒さん

初めてカナヘビを手にした生徒さん

 ここの後、森林文化アカデミーの演習林を通ってmorinosに向かいました。

 通って行く林はスギ林やヒノキ林、マツや広葉樹による混交林です。最初に出会ったのはスギの大きな切株です。年齢は何年くらいか、大きな切株からいろんな情報が得られます。

スギの切り株の年輪数を数える盲学校の先生

スギの切り株の年輪数を数える盲学校の先生

 スギ林を抜けて広葉樹主体の混交林に来ると、ケヤキの切り株から萌芽枝がたくさん出ていました。盲学校の生徒さんも先生も、「切り株からまた新しい木が生えるんですか?」と驚かれていたので、少し説明してその場を後にしました。

ケヤキの切り株から発生した萌芽枝を見る生徒さんたち

ケヤキの切り株から発生した萌芽枝を見る生徒さんたち

 さて、morinosまで戻ってくると、「もも」と「さくら」という名のメスヤギさんが除草活動中でしたが、私たちを見ると出迎えてくれました。

 動物とのふれあい、これは誰しも嬉しいものです。怖いけど、なんとなく触りたくなるのが心情です。

ヤギとふれあう盲学校の生徒さんたち

ヤギとふれあう盲学校の生徒さんたち

 ヤギさんとの触れ合いが一段落したら、次は初めての「薪割り」です。

 これから焚火をするため、自分たちで端材を探してきて、それを薪割機にのせて木槌で割って行きます。

 この薪割機はキンドリングクラッカーというもので、割りたい木片を本体の刃の上に置いて、上から木槌で叩いて割るものです。

薪割体験する生徒さんたち

薪割り体験する生徒さんたち

 割った薪は焚火用ですが、着火にはマッチを利用しました。

 このマッチ体験も初めての経験、どうしたら火が育つのか、自分たちで考えて着火させました。

 焚火を育てたら、お待ちかねの「マシュマロ焼き」です。これを食べたいがため、一生懸命に薪を割って焚火したのです。竹串に挿して焼いたマシュマロはトロトロで美味しかったそうです。

マシュマロを焼く盲学校の生徒さんたち

マシュマロを焼く盲学校の生徒さんたち

 最後に、morinos名物の「雨水ポンプ」、巨大な屋根から集めた雨水を地下タンクに貯留し、それをポンプで汲み上げるものです。

 いきなりポンピングするのではなく、最初に呼び水を入れて、小さくポンピングすると地下の水が吸い上げられて出て来ます。結構楽しく、一生懸命ポンピングしてくれました。これも初めての経験でした。

雨水ポンプを操作する生徒さんたち

雨水ポンプを操作する生徒さんたち

 さて今回は岐阜盲学校の中学2年生と3年生の生徒さんをお迎えしての体験でしたが、来週は他の3年生も来てくださる予定です。

 morinosは「すべての人と森をつなぐ」ことを目指しており、こうした活動はほんの一部です。普段森と関わることができない方に、少しでも森の恩恵を感じてもらえればうれしく感じます。

 以上報告は、JIRIこと川尻秀樹でした。

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