morinosカフェVol.18「夢の実現は人生設計書を紙に書くことから~田舎で起業するポイント」を開催しました

開催した日:

18回目を迎えたmorinosカフェ。ゲストを迎えてざっくばらんに話す交流の場です。
今回は中津川市在住で「もりのいえ」というコミュニティを運営している「まぁさん」こと、森本正則さんをゲストに迎えました。
8月2日(金)の夕方に開催したところ、10名参加がありました。

森本さん

前半は森本さんから、自身のこれまでの歩みと今回のテーマである「どのようにして夢を実現させてきたのか」について話していただきました。
大阪府出身の森本さんは、大学卒業後に就職で上京し、新規事業プランニング、経営コンサルティング業などに従事しました。がむしゃらに働き、実力を認められるようになった一方で、体調を崩したこと、そして1995年の阪神淡路大震災を機に、「生き方を変えよう」と直感したことがきっかけに、八ヶ岳の麓に移住しました。そこでは知的障碍者更生施設で調理員兼指導員を担当します。2003年、パートナーとなる理恵さんと出会い、兵庫県の丹波篠山に移住を試みますが、よい物件に出会えず、紆余曲折を経て2005年に中津川市加子母地区の古民家に念願の移住を果たしました。

移住をする前年の2004年、森本さんは理恵さんと2人で何度も話し合い、将来ビジョンをまとめました。
それが「もりのいえ」であり、2人の希望する近い将来の姿でした。

森本さん

それから20年が経った現在、ビジョンに書かれていたことすべてが実現できたわけではありませんが、いくつも実現しており、まるで予言書のようです。
夢を実現するビジョン作成のポイントはどこにあるのでしょうか。

森本さんは、夢を実現する近道として、以下の2つを挙げました。

1.紙に書くこと(あとでもめ事になりにくい)
  複数で取り組む際、「そんなつもりではなかった」「そんなことは言っていない」「聞いていない」となりがち

2.現在系で書く(夢は実現するためのプラン)
  「いつかやりたい」は「今はやらない」と言っているのと同じ
  これは登山に例えると、いつかあの山に登りたいと言い続ける前に、さっさと登山口に行くことが大切で、登山口に行けば既に山を登っている状態になって次のステップが見えてくるとのこと。

「自分が一歩踏み出すことで始まり、チャンスは何度か訪れる。」
森本さんの言葉に、皆さん大きく頷いていました。
森本さん

ところで2004年にビジョンを描いた後の森本さんの活動は、決して順風満帆ではありませんでした。
中津川市加子母の古民家を少しずつ改修して、農家レストランや宿を始めましたが、生活の基盤を得るのは大変だったそうです。
そこで2009年以降、古民家を拠点に様々なイベントを本格化し、サバイバルキャンプなどで集客できるようになりました。
ほぼ毎週末イベントを行う中で忙しくなりすぎ、休む暇がなかったそうです。

そんな中、2013年森本さんの人生の転機となる大きな出来事が起こりました。
パートナーの理恵さんが自動車事故に巻き込まれ大けがをし、九死に一生を得ました。
事故の後、森本さん夫妻は生き方を変えることを決意。予定していたイベントをすべて中止し、それまでやってきたお菓子作りからごはん作り(弁当の製造販売)と、ソース作りに変更することにしました。
そして2019年、今後の生活(教育・医療等)を考えて新天地を探したところ、直後に中津川市内に古民家バンクで新たな物件が見つかり、そこを拠点に本格的に弁当やソース作りに取り組み始めました。
森本さん

ところが…。
2020年、また大きな出来事が森本さんを襲います。
新型コロナ禍でイベント中止が相次ぎ、弁当販売などがストップしてしまいました。
しかしピンチをチャンスと捉えた森本さんは、コロナ禍で出された補助金を活用して店舗改装、新商品開発、ロゴやパッケージデザイン改定に取り組みました。
森本さん

2021年、もりのいえキッチンが開店し、テイクアウト専門店を始めました。
その後も麹を使った発酵食品づくりにも取り組んでいます。

森本さんは夢を実現させるコツとして、以下の3つを挙げました。
○「何をやるか」ではなく、「誰が」、「誰と」が一番重要。
 →大切なのは周りの評価ではなく、自分の意志と満足度ではないか。
○私が他人と違うことは、まずワクワクすること。「どうせダメだろう」でなく「どうやったらできるだろう」という発想。
○事業は「愛」であり「人」。
森本さん

「もりのいえ」のビジョン策定から20年間の取り組みを、限られた時間の中で語っていただいた後、開発したソースを試食しました。
「大辛ファイヤー(にんにくと唐辛子のソース)」「ミックス(発酵唐辛子エキス入りトマトソース)」は、それぞれ辛みと旨味が凝縮された他にない調味料でした。

後半は森本さんの提案で、1枚の紙に「こうなったらいいな」と思うことを書き、2枚目の紙に1枚目の紙の内容が実現した状態「○○になっています」と書きます。それをしばらく眺めながら夢が実現した状態を妄想し、数人でどのように感じたか共有しました。
森本さん

最後に参加者から出された質問に森本さんから答えていただきました。

Q1 自身の子ども達に伝えたいことは?
A1 自由に生きろ。勉強しろと言ったことはない。今ワクワクすることをしなさい、それが変わってもいいから。全科目いい点とらなくてもいい。好きなことを頑張れと言っている。親の役目は子どもがワクワクすることを実現できる環境を整えること。

Q2 パートナーと意見が異なる時、どうしていましたか。
A2 自分は自分の土俵、相手は相手の土俵にいる。自分の土俵に立ったまま相手に出てこいは無理。まずは自分の土俵から出ることが重要では。

Q3 パートナーが田舎への移住を渋っている。どうしたらいいか。
A3 特効薬はない。徐々に慣らしていくしかない。移住には、まずは今の暮らしを持ちながら、月に1回程度通って暮らしてみるのがよいのでは。土地と人に触れることが大切。共通の成功体験を重ねることが重要。

Q4 やりたいことがいっぱいになった時、どこから手を付けるか。
A4 自分の直感を信じる。理屈で最初は選ばない。

Q5 5W1H(いつ、どこで、誰が、なぜ、何を、どのように)が決まってから何をしますか?
A5 決まってから始めたことはない。直観や成り行きが多い。

Q6 WANT(~したい)がMUST(~しなければならない)になったことは?どうしますか?
A6 意識の持ち方ではないか。JR東海と契約してキオスクでの販売が決まった。高級品を扱う店で、扱う商品の提案期限が決められた。MUSTである期限を楽しむように考え方を変えた。

Q7 ワクワクが沸いてこないことは?
A7 ワクワクが沸いてこない時はない。元旦以外は何かしている。常に泳いでいるマグロかサメのようだと言われる(笑)。

Q8 まずやってみよう、という精神はどこから来るか?
A8 思いついた時にどうやったら実現するかと考えると、止まらない。

これ以外にも森本さんとのやり取りは、終了後もしばらく続きました。
参加者一人一人の胸に、森本さんのメッセージは届いたのではないでしょうか。

【参加者の声】(アンケートより一部抜粋)
・いろいろやってみたいことがあって、手当たり次第に動いていたけど、「やってみること」が夢を実現させるチャンスだと聞いてなんだか嬉しかったです。これはダメなら次はこれ、と転換していくこと。ワクワクしたほうに進むこと。いいことをたくさん聞けました。励みに頑張ります。
・ビジョンを明確に書けることがすごいなと思いました。今日から現在系で書くことをやります!

報告者:大武圭介(ウォーリー)NPO法人ホールアース自然学校

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