「のびやかに自分になる」場づくり~子どもも親もスタッフも~(子ども向け自然体験活動指導者スキルアップ講座)

開催した日:

morinosでは、子どものための自然体験活動の広がりを受け、森のようちえんスタッフや保育園、幼稚園のスタッフ等、教育機関や自然体験指導者に向けたスキルアップ講座を開催しています。

今回は、自然スクール「トエック」(徳島県:https://toec.jp/)で40年近くにわたり子どもと大人の自由な場づくり、ようちえんと自由な学校を続けてきた、代表の伊勢達郎さん(たつろーさん)、渡邉有紀さん(ふな)の2名を講師にお迎えして開催しました。

2日間連続講座の当講座。今回は、森のようちえんに関わっている方を中心に19名の方にご参加いただきました。中には、同団体で誘いあわせの上参加してくださった方々もおり、講座のテーマである「聴く」を、森のようちえんで活かそうとしているのが伝わってきました。

1日目。まずは自然スクール「トエック」の紹介から始まり、その後チェックインミーティングを行いました。チェックインミーティングでは、この講座に参加した理由、今困っていること、思っていることを共有しました。そして、参加者1人1人が話し終わるごとに、たつろーさんがそれに対するコメントを返していました。
参加者同士似たような現場に身を置いており、同じような悩みを持っていると知って、少し緊張が解れたように感じました。

チェックインミーティング

参加者の想いがつまっており、予想より長くなったチェックインミーティングが終了したら、ワークに入ります。最初のワークは「いないないばあ」。2人1組になったら、向かい合って手と手を合わせ顔を隠します。そして、「いないないばあ」の掛け声に合わせて、手を開いて顔を見せる。今回は、顔を見せる際に変顔をすることはしませんでした。けれど、手を開き顔を合わせると笑みが溢れる。不思議ですね。ぜひやってみてください。

いないないばあの様子

ワーク後は、たつろーさんから自分らしくいられる場についてお話がありました。自分らしくいられる場を作るには、知識や経験が必要なように感じられますが、それが絶対の条件ではないそうです。あったかい関心・共感的理解(よりそう心)・自己一致(正直さ、オープンマインド)。この3つがそろっていれば、ありのままの自分でのびのびと育つことのできる、「自分らしくいられる場」となるのです。なにもはじめからこの3つを完璧にする必要はなく、少しずつでもこの要素があれば、「自分らしくいられる場」を作ることはできるそうです。

自分らしくいられる場の要素を書き出すたつろーさん

お話が終わったら、次のワークに入ります。次のワークでは、「聴く」と「聴いてもらう」を体験しました。2人1組となり、お互いに今困っていることを相手に話します。聞く人は、途中で口を挟んだり、話の腰を折ったりせず、相手の話にうなずきながら話を「聴く」ことに集中します。それだけで、話し手は「聴いてもらえている」と感じることができます。悩みや困りごとを聞くと、「相手はアドバイスを求めているのかな?」とついつい思ってしまいがちですが、そうではなく「聴く」ことこそが大切なのだそうです。

「聴く」を体験する
今回のワークでは、試しに途中で相手の話を否定したり、なんで?どうして?と質問したり、端から話を聞かずに無視をしたりもしました。そうすることで話し手がどう感じるのかを体験しました。参加者からは、「否定されるとこの人に話しても無駄だと感じた」や「途中で質問されて、聞いてほしいことからどんどん遠ざかっているのを感じた」といった反応がありました。

トエックラジオの一部

2日目。まずは「トエックらじお」の紹介から始まり、その後チェックインミーティングを行いました。ミーティング内容は、1日目と同じ内容ではなく、みんなに聴いてほしいことがある人が発言するという、普段トエックで行っているものでした。
ミーティングの結果、どうやら寝不足の人が多いとのことで、眠気覚ましとなるワークを実施しました。銀マットを座布団代わりに、みんなでぎゅぎゅっと集まったら、くすぐり開始。近くの人を手当り次第くすぐっていきます。普段はそんなにくすぐりが効かないという人や、円の外側にいてあまりくすぐりを受けていないという人も皆一様に笑っていました。

ワーク。くすぐり

ワークを体験した後はどんなことを感じたかを共有します。ここでもたつろーさんは1人1人の話にコメントしてくださいました。

その後は、参加者が実際に困っていることを題材にワークを行いました。3つのグループに分かれ、それぞれのテーマについて「聴く」を意識しながら話し合いました。「こんな時うちの団体では、こうやって対応している」、「こんな方法もあるんじゃないかな?」など15分という限られた時間の中で参加者同士で意見を交換しあいました。3つの題材 意見交換の様子

15分が経過し、グループごとでの意見交換が済んだら、全体で共有します。「グループ内でここまで話が進んだ」、「こんな意見が印象に残っている」など簡単に共有したら、実際にその困りごとが起きたのはどんな状況だったのか、ロールプレイングを行います。実際にこう対応したという事例と、意見交換の中で出てきた、こういう対応もあるのではないかという事例を行いました。そして、それをやってみてどう感じたか、見ていてどう感じたかを共有します。
出てきた感想に対してたつろーさんは1つ1つコメントしていき、ここで出た対応方法が必ずしも正解ではなく、あくまで1つの手段であるということをお話されました。

ロールプレイングの様子

そして、2日間の講座が終了しました。
言葉で言うのは簡単な「聴く」。しかし、実際には途中で口を挟んでしまうことも多く、なかなか難しいものです。けれど、子どもたちが「自分らしくいられる場」のためには、「聴く」ことが大切です。参加者の方々がそれぞれの団体に戻った際に、今回の講座の経験を他の方とも共有し、「聴く」を大切に、子どもたちがありのままの自分で、のびのびと育つ場を作ってくれることを願っています。

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