ムーミン展とのコラボ企画で「コンヴィヴィアル」なナイフワークショップ

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コンヴィヴィアル(convivial)という言葉にはいくつか意味があるようですが、ここでは「共生」や「ごちそう」、「パーティーなどの楽しく心地よい雰囲気」といった意味合いで使っています。1月27日に開催した「おとなと子どもの里山ナイフ教室」は、現在、岐阜県現代陶芸美術館で開催している「ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展  ―食べること、共に生きること―」とコラボレーション企画で開催しました。

完成したナイフを使って、パンケーキの試食会

完成したナイフを使って、森の入り口でパンケーキの試食会

この日のプログラムは三部構成で「アートツアー」「ナイフクラフト」「北欧風パンケーキの試食会」を行いました。3つの体験を通して、ムーミン作品の世界観を体験してもらおうというねらいです。

学芸員の林さんによる展示会のアテンド

学芸員の林さん(写真左)によるアートツアー

まずは岐阜県現代陶芸美術館学芸員の林いづみさんに案内して頂きながら、企画展のアートツアーを行いました。ちなみに、今回のプログラムは「ムーミン谷の彗星」に出てくる、ムーミンやスナフキン、スニフ達が森の中でパンケーキを焼くシーンを企画のコンセプトにプログラムを組み立てています。展示では、このシーンの挿絵やキャラクターたちの言葉を通じて、ムーミンの世界観や仲間たちが交流する様子を感じ、知ることができました。

ナイフを作るナイフ教室がスタート

丹羽さん(写真中央右)が指導するナイフを作るナイフ教室がスタート

アートツアーの後は、美術館のプロジェクトルームをお借りして「パンケーキナイフ」を作るナイフ教室のスタートです。

ここからは、おとなと子どもの里山ナイフ教室で指導をしている、森林文化アカデミー卒業生の丹羽茄野子さんの進行でプログラムは進みます。あらかじめ用意しておいた「タカノツメ」(※唐辛子では無く樹木の方)の小枝を割るところから、それぞれに自分好みのパンケーキナイフを作っていきました。参加者の中には「え?枝から作るの?」と、びっくりされている方もいらっしゃいましたが、アシスタントに入ったアカデミーの林業専攻、木工専攻の学生達が製作のサポートを行い、みんな無事に素敵なパンケーキナイフを完成させることができました。

タカノツメを割る参加者

タカノツメを割る参加者

ナイフの使い方を教えてもらいながら

初めてのナイフにどきどきしながらの作業

少しずつ削って、ナイフの形を作っていきます

少しずつ削って、パンケーキナイフの形を作っていきます

かなり形ができあがってきました

削ったところを触ってみて、形や仕上がりを確認します

慣れている参加者は2本目、飾り削りもしていきます

いつもナイフ教室に来てくれている参加者は2本目を作って、柄には飾り削りもしていました。

1時間ほどかけて、皆さんのパンケーキナイフができあがったころ、美術館スタッフさんが「準備ができましたよ!」と呼びに来てくれました。参加者の皆さんが上着を羽織って、荷物を抱えて、でき上がったパンケーキナイフを持って外へ出ると、そこには3つの焚火があり、北欧風レシピの生地で林さんが焼いたパンケーキと、これまた北欧風の淹れ方をした「煮だしコーヒー」が参加者の皆さんを待っていました。

挿絵の中でムーミンが使っていたフライパン

挿絵の中でムーミンが使っていたのと同じ形のフライパンで、どんどん焼き上がります

木のお皿に木のフォーク。ナイフは自分で作ったナイフ

さっそく作ったパンケーキナイフを使ってみます。

ムーミンの物語の中でも登場するマーマレードで食べました

物語の中にも登場するマーマレードをナイフで塗って食べました

完成したナイフを使って、パンケーキの試食会

ムーミンパパも一緒に

コンヴィヴィアルな食卓

参加者の皆さんと、Convivialな食卓

実は「ムーミン谷の彗星」の中に・・火をおこして小さなパンケーキをつくり、焼けたそばから食べていきました。これが正しい、パンケーキの食べ方なのですよ・・という一節があるのです。

今回の焚き火で焼き立てのパンケーキを楽しんで頂いたこの会場は、それを知っていた林さんによる、こだわりのセッティングだったんです。参加者が集まってからも、おかわりのパンケーキを焼き続けて、この日ご参加頂いた皆さんには、満足いくまでこだわりのパンケーキを楽しんで頂くことができました。皆さん、ナイフやパンケーキの写真を撮られたり、さらにムーミンの世界のお話を教えてもらったり、パンケーキをおかわりしにいったり・・とても楽しそうにしていました。最後に書いて頂いたアンケートからは「ムーミンの仲間になった気分で楽しかったです!パンケーキおいしかったです!!」というコメントも。プログラムを通じて、とても喜んで頂けたことが伝わってきました。

時折寒い風も吹く森の入り口の試食会場でしたが、焼き立てのパンケーキと、ちょっと濃いめのコーヒーを飲んで、コンヴィヴィアル(convivial)な食卓、時間を楽しんで頂くことができました。

午前の参加者の皆さんと

午前の部の皆さんと

午後の部の参加者の皆さんと

午後の部の皆さんと

今回のプログラムは純粋な「ムーミンファン」という方や、普段から美術館に通っている方もいらっしゃれば、逆に里山ナイフ教室やmorinosプログラムに参加していて、セラミックパークには初めて来られた方など、関心分野で言うととても多様な方々にご参加頂くことができました。とても良かったなと思うのは、ムーミン展や北欧への関心がきっかけだったのが、思いもよらず、ナイフワークの楽しさにはまってしまった方がいらっしゃったり、逆に、普段は足を運ぶことが無い森の方に足を運んで頂いたり、このプログラムをきっかけに、それぞれにアートや森、クラフトといった、新しい楽しみに気づいて頂けたのが素晴らしいことだなと思いました。

ここ、セラミックパークは安心して入れる森と、地域の焼き物文化やアートに親しむための施設が充実しています。今後もこのようなコラボレーション企画を開催していきますので、どうぞお楽しみに!ご参加頂いた皆さま、どうもありがとうございました。

岐阜県立森林文化アカデミー
木工専攻講師 前野 健

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