morinosカフェVol.17 生きる力を培う諫早市独自の施設『こどもの城』って何? 実施しました

開催した日:

17回目を迎えたmorinosカフェ。ゲストを迎えてざっくばらんに話す交流の場です。
今回は長崎県諫早市からゲストを2名迎え、1月22日(月)の夕方、16名が参加しました。

ゲストの池田尚さんと福薗恵子さんは、共に「諫早市こどもの城」に長く関わってきました。
こどもの城は諫早市の白木峰高原にある、「子どもたちが生きる力を培う」ことを目指した、諫早市独自の学びの施設です。
morinosカフェ池田さん

池田さんは中学校教員、国立青少年教育施設職員、文部科学省職員などを経て、2007年からこどもの城に関わり、長年にわたり館長として施設運営、スタッフマネジメント、渉外など幅広く担ってきました。
福薗さんは自然学校職員、青少年教育施設などを経て、10年以上にわたってこどもの城のスタッフとして活躍されています。

最初に池田さんから、morinosとこどもの城を比較しながら、似ているところ、違っているところの紹介をしました。
【似ているところ】
・自然と他者を相手にしている
・公的機関(行政)が運営しており、利用料は無料
・予約制と非予約制の利用がある
・ドイツの取り組みを参考にしている 等

【違っているところ】
・morinosはソフト部分を一部委託しているが、こどもの城はすべて直営
・morinosは「つながり」を意識しているが、こどもの城は「まじわり」を重視している
・スタッフの関わり方でmorinosは「プレイリーダー」「ファシリテーター」「インタープリタ―」と呼ばれているが、こどもの城は「イランシェアー(長崎方言で「要らぬ世話」、お節介を大事にしている)」等

こどもの城では、
・子ども「が」育つ
・子ども「が」遊ぶ
あくまで子どもが主語で、子どもが決める。自主性を尊重している。
ただし、税金を使って運営している以上、遊びだけでない、学びの場にすることが重要。

池田さんはこどもの城の立ち上げから関わっており、館長として強烈な個性を発揮しながらスタッフ、来館者と共にこどもの城をつくってきました。それ故、池田さんが退いた後はどうなるのか?と、周りから心配されたそうです。そんな中、スタッフが言ったのが
「やり方は変わってもあり方は変わらない」
という名言。

こどもの城の概要が紹介された後、後半は参加者からの質問に答える形で進めました。
参加者同士2人組になって紙に手のひらの形を写し取り、どんなことが聞きたいのか書きました。
池田さんと福園さんによる掛け合い漫才のようなやり取りを交えながら、質問に答えていただきました。

Q1.子どもを主体的にするためには、どんなかかわり方が良いか。
A1.「~しなさい」ではなく、「~していいよ(You can)」というアプローチをしている。

Q2.行政との連携はどのように進めるのが良いか。
A2.対立する対象ではなく、責めないこと。一緒にやろう!という姿勢が大切。行政側は「説明責任」だけにとどまらず、市民を「啓発する責任」がある。

Q3.失敗をどう捉えたらよいのか。
A3.コマやけん玉など、昔遊びにはすぐに遊べないものがある。練習を重ね、失敗することで遊べるようになる。そういうことを知らない子が多いので、まずは「簡単にできない、失敗するよ」という見通しを伝えることが大切。また失敗を笑いにかえることで、「できなきゃいけない」というプレッシャーを取り除く。

この失敗に関して、英語では4つの言葉で使い分けていると紹介していただきました。
「Failure」=技術的な故障
「Fault」=責任を伴う失敗
「Error」=限定的な場面で使うミス
「Mistake」=ちょっとしたミス
失敗の種類

意味合いがそれぞれ違うとのことですが、日本語では大小関わらず「失敗」と使ってしまうことが多く、失敗=責任問題と重ねてしまいます。子どもに限らず、大人でも失敗を恐れるプレッシャーは強く、こどもの城のような場所で親子で一緒に小さな失敗する経験を重ねることで、自己肯定感を育むことができるのかもしれません。

最後に、池田さんオリジナルの歌「おかえり」をみんなで歌って終了しました。
歌「おかえり」

こどもの城では、子どもだけでなく、大人(親)も一緒に時には愚痴を言ったりしながら、みんなで見守り、支えあう場所になっているんだなぁ、ということが伝わってきました。
こんな場所が、岐阜県内でも広がればと願っています。

参加者の声
・失敗する見通しを先に伝えるという話が心に残り実践している。自主性は放任ではなく、選択で生まれてくるように思う。教師の介入を減らし、授業を進めてみている。
・ついつい他人の子どもと比べてしまうけど、改めて比べないことの大切さを感じました。「もう4歳だから~」ではなく「まだ4歳だから~」という考え方、胸に刻みます。
・子どもの見方や物事の捉え方などとても勉強になりました。人としての幅を少し広げていただいた気がします。子どもの興味をとことん応援できる親でありたいです。

報告者:大武圭介(ウォーリー)NPO法人ホールアース自然学校

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休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
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