ツキノワグマの足剥製標本をつくろう-1回目
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近年、ツキノワグマやニホンジカによる森林被害や交通事故が増加する中、有害駆除されるクマの有効利用は、一部でジビエ料理に利用されていますが、他には僅かに毛皮利用があるのみで、足はすべて廃棄処分されます。
そこで廃棄される足を標本としての有効利用を目指します。ツキノワグマの足の剥製づくりを通して、狩猟意欲の増進、野生動物利用の理解、未利用産物の利用促進を図りつつ、毛皮の肌触り教材、足跡づけによるアニマルトラッキングのサンプルとしての利用を目指します。
【以下、剥皮した骨などがありますので閲覧注意です】
材料のツキノワグマはー20℃で60日ほど冷凍保存してあります。寄生虫の駆除にはー20℃で20日以上保存するのが理想的で、今回は全員が防刃手袋とゴム手袋を装着して、万が一の感染予防にも気を配りました。
メイン講師の田中正至さんは、皮にナイフを入れる位置、皮を剥ぐ時の刃物の持ち方、肉の削ぎ方など細部にわたって指導されました。
そして進捗状況が滞っている人には、そっと手を添えてスピードアップのコツを指導されたのです。
下の写真は親子でご参加のお2人。小学6年生のお子さんが選ばれたのはツキノワグマの前足(掌)ですが、これは罠にかかったものであるため血液がうっ血しています。
ツキノワグマには多くの脂肪がついているため、ゆっくり丁寧に剥ぐのがポイントです。
下の写真でも肉側に浮き出た血管が見えますが、この血管が皮側についたままの状態と、しっかり剥げている場合では仕上がりが相当変わります。
剥いだ毛皮を1つのトロ舟に入れて、洗濯洗剤と水を入れて、全員が順番に踏み洗いします。1人で40回ほど踏んで、バトンタッチです。
1回目は容器内の水が茶色く濁るほど汚れが出ました。すすぎも念入りに行い、脱水すれば1段階目終了です。
脱水した毛皮は「鞣し液」に浸漬させるため、各自の毛皮にタグ(名札)を縫い付けます。白色の木綿札に名前を書いて、三角針と剥製専用の糸で縫い付けます。
この後にガラス容器に入れられた「鞣し液」に入れて、1週間管理させて頂きます。
さて、来週はこの鞣し液から取り出した毛皮を再び洗濯して、ある程度乾燥させたら、縫合と木毛の充填です。来週が楽しみです!
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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