百年公園『里山林整備講座~刈払機編~』
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岐阜県百年公園での『里山林整備講座』、今回は百年公園事務所との連携講座で公園管理に必要でもある刈払機の整備と基本操作について学んでもらいました。
メイン講師は森林文化アカデミーでも非常勤講師をされている江崎尚史さんです。最初に室内で刈払機の各規格、刈刃の分類についての講義です。
刈刃のどこを当てるとキックバックするのか。飛散防止カバーは刈刃の中心から30cmの位置、ハンドルはUハンドルがお勧めなど。
最近の刈刃は厚みが薄くなってきており、従来は2.25mmだったものが1.25mm程度に薄くなってきているが、軽くなったためにキックバックによる事故も発生しているそうです。
刈刃の特徴を解説する江崎さん
刈払機は2サイクルエンジンと4サイクルエンジン、バッテリーがありますが、2サイクルエンジンには混合油を、4サイクルエンジンには生ガソリンを給油します。
刈払機のエンジンの回転数は6,000回転ほど(チェンソーは10,000回転)なので、混合油用のオイルは特に良質なものを利用すること。ちなみに江崎さんはスチール社のウルトラを利用されています。
また江崎さん特注の回転ブレーキについても説明されました。回転ブレーキは少しの異変で、動力が遮断されブレーキがかかるシステムです。現在は新ダイワややまびこで販売されています。
回転ブレーキについて解説する江崎さん
ヒモ打ち用のナイロンカッターについても解説され、まずはアタッチメントが重要で下の写真は草刈大将ポンデル4です。現在は草刈大将ポンデル5が販売されていますが、そのまま利用しているとツル類がシャフト中心に絡んで困ります。
そこで役に立つのがツルカッターです。下の写真で飛び出た金属片が見えますが、これがツルカッターです。ちなみに使用しているナイロンカッターには内部にアルミが仕込んであります。
ナイロンカッターの1例
刈刃がチップソーである場合、目立てはダイヤモンドカッターを付けたグラインダーで実施します。刈刃を取り外した時に、シャフトの内部につながる部分にグリスアップする必要があるかどうか点検することも話されました。
グリスアップについて解説する江崎さん
午後からも引き続き、刈払機のメンテナンスチェックです。
刈払機には刈刃を装着してからガソリンを入れる。これは刈刃を取り付ける際に機械をひっくり返して行うため、先にガソリンを満たすとキャップからガソリンが漏れ出すことがあるからです。
またエンジン始動時には、右側に人がいないことを確認して実施すること。これはエンジンがかかると同時に刈刃が障害物に当たるなどして右側に飛んでくる可能性があるからです。
エンジンを掛ける際の注意事項を解説する江崎さん
エンジン部につながる部分にある2つのネジの緩みが無いか。
給油タンクの下側のカバーはしっかりしているか。給油タンクの底がアスファルトなどですり減っていないかなど、様々なチェックポイントを解説されました。
細かなチェックポイントを解説する江崎さん
さて、整備した刈払機で実践です。この現場は12月に森林文化アカデミーの授業で伐採予定地で、当日に作業しやすいようネザサを刈ります。現場には高さ1.2m高ほどに伸びたネザサが繁茂しています。
このネザサを4人で刈進んでもらう予定です。
これから刈払う現場のネザサ
最初に江崎さんが見本を示します。エンジンの回転数は低いまま、最初から下側を刈るのではなく、上半分を刈ってから下半分を刈り直す。左右に大きく振り回すのではなく、横に少しだけ軽く振る。
何とも静かにみるみるうちに刈られて行くネザサに参加者は目を丸くしていました。
江崎さんの刈払い見本
江崎さんに引き続いて、研修受講者が刈進みます。普段は高回転で刈払っているため、なかなか江崎さんのように低い回転数で刈ることができません。
また江崎さんは笹刃を自分で目立てした刈刃で、研修生は新品のチップソーなのに、チップソーの方が何故かなかなか刈進まない。
研修生の刈払った現場
江崎さんが手直ししながら刈払った現場は、12月の伐採時に動きやすいよう美しく刈払われています。
刈り払いが完了した現場
最後に刈り払い現場を前に、実際面で安全のために何に注意すべきか。どんな動作が危険につながるのか。作業のための共通認識はどのようにシェアリングするのかなど、最終確認しました。
現場で安全のための確認事項を確かめる江崎さん
さて、これで今後は安全に刈払い作業できることでしょう。また12月の伐採もより一層やりやすくなることでしょう。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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