ワイズマン講座『庭師に学ぶ初級剪定』開催
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レジェンド講師によるワイズマン講座第一弾、近藤肇さんをお招きして『庭師に学ぶ初級剪定』を開催しました。最初にJIRIから植物の不思議、歴史、剪定のポイントを説明した後に、近藤さんによる講義が始まりました。
剪定時に枝を面にすることを実践する近藤さん
近藤さんは「庭師は景観をつくる仕事、だから景観をデザインできないとね」と話されながら、ご自身が描かれたパース図や石積みなど様々な実績を紹介して下さいました。
また具体的にサカキとサクラを事例に、どのような枝に仕立てればよいのか、どのように枝を選択して剪定するのか解説されました。サクラならば一枝について「芽の数を考えることが重要ですね」などとも説明されていました。
ソメイヨシノの枝で芽の数が違う2本の枝を例に説明する近藤さん
午後からは近藤さんの自宅の庭での実践です。入り口から右手奥の玄関に至るエントランス部分にはウバメガシやボウガシ(萌芽させたアラカシ)、台杉、エゴノキ、サザンカなどが植えられています。これらは本来なら、すでに近藤さんが剪定を完了させておられるのですが、今回の参加者が剪定できるように所々残して下さっていました。
近藤さんのお宅での実践
庭の入り口には壁状に仕立てたウバメガシの生垣がありました。いつもならば四角く刈り込まれていますが、今回は場面場面によって使う道具が手鋏、両手鋏、トリマーを使い分けるので、どのような場合に使い分けるのかをこの生垣で解説されました。
生垣を前にどのように鋏を入れるかを説明する近藤さん
多段に仕立てたサザンカは両手鋏で剪定します。両手鋏は右利きの人なら、左手は固定して右手側を動かす。グリップはなるべく鋏に近い部分を持つ。鋏は刃先で真っすぐ直線状に刈り進むのが基本です。
ある程度剪定すると、剪定した面に切った小枝や葉が乗るため、その剪定屑をタケの小枝を束ねた手箒(てぼうき)で叩きながら掃うことも解説実演されました。
手箒で枝を掃う近藤さん
一連の剪定方法を習った後に、参加の皆さんに剪定してもらいました。
参加者は玄関わきの立派なウバメガシを緊張しながら刈込みました。近藤さんが両手鋏を使うと軽快に剪定できるのですが、初めて両手鋏を扱う方にとってはなかなか難しいようでした。このウバメガシは真っすぐな面をつくるのではなく、丸く刈り込む必要があるので余計に四苦八苦していました。
見事に仕立てられたウバメガシを両手鋏で刈込む参加者
スギの萌芽枝を利用した台スギは、高く太くなり過ぎてしまったら、その大きくなり過ぎたものを切って全体を小さくすることで、いつも同じくらいの高さになるように調整することを解説されました。
その剪定の際に、将来幹に仕立てられそうな枝があれば、その枝を残して他の枝を切り詰めることも解説されました。
台スギの仕立て方について説明する近藤さん
台スギの上部は枝葉が多いと、枝葉の重さで頭が曲がってしまうため、残す枝を見極めることも重要です。
その際に、幹から小枝が発生していれば多くは剪定しますが、ものによっては将来の幹に誘導(誘引)するため残します。
上部の枝管理を説明する近藤さんと、下の枝を手鋏で刈りこむ参加者
次に、近藤さんのお宅の玄関から眺める中庭についてです。
中庭には手前にカクレミノ、奥にカシノキが植えられ、その間に灯篭があります。奥のカシノキは枝葉全体に光が当たるように剪定されていますが、手前のカクレミノの枝を3ヶ所剪定することで、風景がどのように変化するのかを体感してもらいました。
近藤さん宅の玄関を上がった正面に見える中庭の庭木の剪定について説明する近藤さん
最後にマツの剪定方法についての質問が多かったので、マツの枝を事例にどのように枝を仕立てて、残った葉をどのように扱うのか、古い葉のむしり方、枝の切り方も解説実践されました。
また一般的な剪定では幹側から枝先に進むのですが、マツはその反対で枝先から葉むしり、剪定をして幹側に来ることなど、様々な質問に答えてくださいました。
マツの管理について説明する近藤さん
さて、今年も近藤肇さんに講義とご自宅での実践をお願いしましたが、毎回知らない事柄を教えて頂けて、本当にいい講座になりました。近藤さん、みなさん、ありがとう御座いました。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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