レジェンド庭師に学ぶ剪定の基礎
開催した日:
morinos ワイズマン講座『レジェンド庭師に学ぶ剪定の基礎』
この講座は第一線を退かれた知恵者をお招きして学ぶもので、「wise man」という英語は「賢者」とも訳される人です。とにかく日本語的に言えば、「昔取った杵柄」的な技術者から学ぶもので、今年は美濃市の元、近藤造園さん(近藤 肇さん)をお招きして学ぶ講座でした。
講座に先立ちNHKの「超進化論」のダイジェスト版を9分ほど見て、樹木が会話していること、葉が害虫に食べられると毒を作ったり、その害虫を食べてくれる昆虫や鳥などにサインを送ることなどを学んでもらいました。
まず庭師は家にマッチしたり、そこに住む人のライフスタイルにマッチした「庭をデザインする」とこから始まり、それを達成するためにどのように剪定するのかについて、近藤さんが様々な事例を基に解説されました。
また道路沿いならばバス車両の往来に影響がない4.5mの枝下高が、歩道なら2.5mの枝下高が必要であること、サルスベリはどのように百日紅と言われるように、剪定で長く花期をつくるかなどについても説明されました。
庭を管理する過程で、どのような専門用語で仕事をするのか、近藤さんが樹種ごとに説明されました。
例えばマツ類は、「ミドリつみ、葉欠き、葉むしり、中芽をかける、芽を押す、ハサミ打ち、カラカサ」などがあります。この言葉の使い方で、作業の内容や実施時期が異なるのです。
横向きに成長する枝は、下側から出ている芽を残しますが、その時にどこで鋏を入れればよいか分かりません。そのため近藤さんが、「この枝ならば、ここで鋏が当たるから、この場所を切る」と具体的に説明されていました。
庭木管理の中でもマツ葉難しい樹種です。具体的に「芽欠き」とはどのように芽を潰すのか。作業は素手でなくては枝の裏側にある小さな枝を感じられないこと、などなど細部にわたって説明をしてくださいました。
午後からは、近藤さんの庭に移動して、全員でどのように庭木を剪定して仕立てるのかを学びました。
一見すると下から生えているように見える生垣が、枝を延長して仕立ててあること、ブラインドにする剪定と、室内に光が入るようにする剪定との違い、刈込バサミは柄の上の方を持って刃先で下から上に刈り上げること、いろんなテクニックを解説されました。
一見すると「株立ち」と言いたいエゴノキの仕立てですが、これは「エゴノキの武者立ち」です。
そしてどのように発生した枝や幹を切ると、「株」ではなく「武者」になるのか実演してくださいました。
下の写真で左側の砂利は「水辺」を模倣してあるため、枝が水辺に垂れ下がるように仕立てるのが庭師の腕の見せ所です。近藤さんはウバメガシを懸崖仕立てにするためにどのように管理するのかを説明されていました。
台スギ仕立ての方法についても解説してくださいました。
大きくなりすぎると管理できないため、定期的に大きくなったら、太いものを間引きする。その間引きを想定して事前に細長い幹を仕立てることも重要だと説明されました。
室内から窓越しに覗く庭木の剪定も重要。手前にあるカクレミノの葉が多すぎて面状になると庭の奥行きを感じられないため、カクレミノの枝をある程度の量に「枝抜き」して、庭の奥行き感を出す。
それを参加者見守る中、近藤さんが鋏を入れて、見せてくれました。
剪定する上で脚立は必需品、3本脚の造園脚立は安定性抜群で、足の掛け方によっては全く倒れない。
まずは近藤さんがどのような重心の位置にあるかを解説し、かつ斜面ではどう設置するのか、4本脚の脚立とどう違うのかを説明し、参加者が登って体験しました。
四角く剪定したウバメガシ、丸く剪定したヒラドツツジについて、何を目的に剪定するのかを含めて解説されました。
ツツジの花が咲くのは1ヶ月程度、あとの11ヶ月は枝の状態、であれば花を選ぶか、庭木の樹形を選ぶかを考えるべき、2頭追うものは1も得ずにならないように剪定する気構えが必要。
レジェンド庭師、近藤さんによる剪定講座は剪定にとどまらず、庭全体のデザインを考える部分まで立ち入ってもらいましたので、参加者の皆さんもお宅の庭のデザインから考えて、いい庭造りに励んでください。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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