『森の恵みで染色・脱色』
開催した日:
morinos連携講座『森の恵みで染色・脱色』を開催しました。
講師はグリーンウッドワーク協会の伸ちゃん(加藤伸子さん)です。
参加者が自分でドングリを拾い、それを煮詰めて染液をつくります。そして鉄媒染やアルミ媒染で染色します。また自然の植物で脱色(漂白)して楽しく科学実験する講座です。
講座では、まず伸ちゃんが藍染や草木染など、様々な染色についても説明してくれました。
まず、JIRIと一緒にmorinosの周辺でドングリ探しです。
コナラのドングリと帽子(殻斗)とアラカシのドングリと帽子(殻斗)の特徴を説明し、両方を拾い集めました。
ちなみにコナラは落葉広葉樹、アラカシは常緑広葉樹です。アラカシのドングリには縦縞がありますが、帽子は横縞模様です。
次にドングリについての解説です。ドングリは種類によって、熟すのに半年のもの(春に花が咲き、秋に熟す)と、1年半かかるもの(春に花が咲いて、翌年の秋に熟す)とがあります。
ドングリの帽子はゾウムシ類からドングリを守りながら栄養を送り込む役目をします。ドングリに関わる様々な事柄を学んで頂きました。
「染色・脱色」で重要なのは脱色です。
植物体内にシュウ酸が含まれる植物、スイバやカタバミ、イタドリがあれば脱色に有効です。
子どもたちにはカタバミの葉をかじってもらい、酸味を感じてもらいました。
みんなで集めたドングリや殻斗(帽子)を、鍋に入れて「グツグツ」煮込みます。
事前に拾っておいたアベマキやスダジイ、マテバシイなどたくさんのドングリも煮込んで、大量のドングリ染液を煮出しました。
「森のエコバッグ」をドングリ染めするので、染液に浸ける前に「絞」を施します。
エコバッグに石やビー玉、木材などを包み込んで輪ゴムできつく止めます。そうして染めれば輪ゴム部分が染まらないので、模様になるのです。
各自がどんな模様が出来上がるか思い思い想像して「絞」をしたものを、ドングリ煮汁に入れます。この瞬間がドキドキします。
アベマキのドングリと殻斗(帽子)が主体の染液で煮込んだエコバッグを媒染液に入れますが。
媒染液によって色が変わります。伸ちゃんが「魔法の薬」をみなさんに紹介しました。
「魔法の薬」やmorinosで拾っておいた錆釘(さびくぎ)を利用して媒染液をつくるのです。
グツグツ煮込んだエコバッグは、
①鉄錆を基本とした「鉄媒染」(黒色)
②焼明礬を基本とした「アルミ媒染」(茶色) を参加者に選んでもらいました。
染色は染液と媒染材、空気で染め上げることです。媒染液の中で色が固定したら、水洗いして、縛りつけたゴムを外していきます。
みな自分が作った絞が、どのような模様になるのか楽しみにして輪ゴムを外し、思わぬ模様に驚いたり、喜んだり、反応はそれぞれでした。
講座の途中でしたが、エコバッグの染色が完成したので全員で記念撮影しました。どなたもなかなかの完成度です。世界に一つだけのバッグに仕上がりました。
次に取り掛かったのが「叩き染め」です。
午前中にJIRIと一緒に採集した様々な葉を事前に染めておいたハンカチに並べて、板の上で叩きます。一般的にはハンマーなどを用いますが、せっかく長良川沿いなので、長良川河畔の円礫をつかって叩きました。
お子さんたちは布の上に採取した植物を置き、その上にクッキングシートをかぶせて、石で叩いていました。こうして植物のエキスを布に転写します。
細かく小刻みにリズミカルに叩くと見事な作品が出来上がっていました。
ご家族で参加されたお父さんが放射状に、イタドリやスイバ、ヤマノイモ、クサギなどを並べられ、クッキングシートの上から叩かれていました。
作品が出来上がったので写真に撮らせて頂きましたが、見事な逸品に仕上がっていました。
ヤマノイモの緑色の葉を叩き初めしていたお子さんが、完成品を見せに来てくれました。
均等に上手に叩いておられていたので、その叩き痕まで美しく転写されていました。
今回ご参加いただきましたみなさん、これで皆さんも「ドングリ染めマイスター」ですね。
来年はご自身で森の恵みを生かした染色にチャレンジしてみるのも面白いですね。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
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