アカデミー教員プログラム 「帰化植物を見つけて調べちゃおう」を実施しました
開催した日:
森林文化アカデミーの教員によるシリーズプログラム第1弾として、柳沢先生による帰化植物の調査と図鑑検索を行いました。
小学生から60代まで幅広い9名が参加し、morinos周辺から少し離れた道の駅までを散策しながら、帰化植物を31種見つけることができました。
最初に柳沢先生から、「そもそも帰化植物とは何か」というミニレクチャーをしていただきました。
帰化植物は、外来植物のうち、生活史が完結している(野外で勝手に繁殖できる)植物を指しており、人為的に持ち込まれたものと、意図せずに日本に持ち込まれ広がったものがあります。
帰化植物の代表として知られるセイヨウタンポポは、元々は食用として北海道に導入されたのが始まりと言われています。
帰化植物の概要を知った後は、柳沢先生と一緒に帰化植物探しをスタート。
早速、オオイヌノフグリやオランダミミナグサ、ニワゼキショウなど、足元の草花の多くが帰化植物であることが分かりました。
その後、森の中に入ると様子は一変します。
日当たりが悪いせいか、森の中には帰化植物はほとんど見られません。続いて水田脇の明るい場所には、さらにたくさんの帰化植物を見つけることができました。
最後にトンネルを抜けて国道沿いの歩道を探すと、アスファルトの隙間にセイヨウタンポポやヒメジョオン、セイタカアワダチソウ等がびっしり生えていました。
昼食後、帰化植物図鑑を使って見つけた植物がどこから来たのか、原産国を調べました。
ホワイトボードに世界地図を描き、地域別に見つけた種数を記入すると北米とヨーロッパ原産の植物が多いことが分かりました。柳沢先生曰く、「帰化植物は物資の運搬に伴って持ち込まれることが多い。日本と経済的につながりが深いため、北米とヨーロッパ原産が多いのだろう。今は中国やアジアとの関わりが強くなっているため、アジア原産の帰化植物が増えるかもしれない。」
帰化植物や外来植物というと、在来種を脅かす厄介者のイメージが強いのですが、柳沢先生は「これだけ自由貿易が広がっている中で、植物が入ってくるのは仕方ない。一方で、植物に罪はなく、適切に対処することが大切。帰化植物を知ることで人間の営みを知ることができる。」と、植物に対する愛情を熱く語っていただきました。
帰化植物の知られざる一面を知ることで、これからの植物と人間の関わりを考えるきっかけとなったようです。
柳沢先生、ありがとうございました。
【参加者の声】※アンケートより
・帰化植物を知ることで、同じ景色でも見え方が変わるし、植物すごいなーと私の感じ方が変わると、自ずと見える景色がかわるな、と実感しました。
・帰化植物という分け方はあるけど、それが有害かは有用かは立ち位置とか視点の持ち方次第。簡単にジャッジして在来種を守るべきと言われることにモヤモヤしていたけど、染料植物として帰化植物もよく使うので、それぞれの植物がどんな経緯や人の都合で広まったのかも伝えていきたい。
報告者:大武圭介(ウォーリー)NPO法人ホールアース研究所
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
Phone : +81-(0)575-35-3883 / Fax:+81-(0)575-35-2529