はだしのトレイルづくり 10回目
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金子潤さん指導による『はだしのトレイル』づくりも10回を迎え、今年度最後となりました。予想以上に進まないと思われる方もいるかもしれませんが、来年度から加速度的に進行するための下準備は、焦らず、慌てず、確実に検証を重ねる貴重な時間でした。
1月の作業時に話題となったイギリスのマーリン・シェルドレイク博士の『菌類が世界を救う』が翻訳されていました。
その中で科学雑誌ネイチャーやTED Talkでも有名なスザンヌ・シマールさんについても記されています。
2016年には森林1ha当たり280kgの炭素が、菌類ネットワークを介して樹木間を移動していたことも発表されています。
この内容や金子さんの話を聞いた、本日の作業者全員が菌類の役割をなんとなく理解しました。
金子さんの小講義の中では、これまで紹介してこなかったTED Talkの内容も紹介しつつ、自然の中で裸足で過ごす意味、価値などについて、作業者全員で共有しました。
体を支える足、裸足で歩くことで足の裏が変わる、姿勢も変わる、顔の表情も変わる。感覚器官としての足の裏の若返りによって、様々な変化がみられる。
そしてこの「裸足」と「自然の再生」をどう結び付けるか。 これがこの場所での実験なんです。
書籍『土中環境』の著者としても有名な造園家の高田宏臣さん、高田さんが実践指導されている方法で、土中に酸素と水の移動場所をつくるため、それに利用する素材集めをしました。
金子さんは斜面を下りて、まだ生の新鮮な枝葉や腐朽の進行した枯れ木など、様々な素材を吟味しながら材料調達し、それを作業する仲間が30~40cm長に切り分けて材料準備完了です。
何回か作業してきた「はだしのトレイル」で現場確認です。
前回の作業の効果はどうか、わずか1ヶ月で変化はあるか。
ルートはこれでいいのか。やりのこしたことは無いのか。などふりかえりしながらの作業です。
金子さんは2ヶ月前に落葉を敷き詰めた場所を試掘し、内部で何か変化が起きているのか確かめていました。土壌や石があるところの落ち葉は1枚1枚慎重に手で除けて、無意味な攪乱をしないよう観察です。
落葉層を10cmほど剥すと、したから菌糸層(指さす先に写っている白いもの)が、しっかり確認できました。昨年はここではこうした菌糸層は見られませんでした。この菌糸層に手を触れると、その後に手がスベスベになるんです。不思議です。
今回は将来的に「はだしのトレイル」のメインルートとなる場所に、通気性と浸透水脈をつくるべく作業開始です。
ここではダブルスコップや金テコが大活躍です。
穴は直径約20cmで、深さ40~60cmのものを掘りました。掘る場所は金子さんが周辺のコナラなどの配置から決めて、みんなで作業しました。
場所によっては地下10cmで粘土層が出たり、グライ層が出たり、一般的な褐色森林土が出たりしました。この場所は約60年前に造成された場所であるため、
「もともとの地山の上に造成土壌が載せられ、その造成土壌が再度土壌化している」という複雑なものでした。下の写真で見られる土壌が造成に利用された土壌です。
さてさて、今年度は半日ずつの作業でトレイルづくりしてきましたが、4月からは本格的に作業仕上げに入ります。
可能なら多くのみなさまと一緒に、トレイルづくりができるようになること、切に願っております。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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