レスキュー講座 Tree Aerial Rescue and Safety (TARS) Courses Level 1
開催した日:
樹上でのレスキュー講座『Tree Aerial Rescue and Safety (TARS) Courses Level 1』
今回は樹上作業者のための安全レスキュー技術「基本トレーニング(MRS Climbing RESCUE)を実施しました。講座受講条件は、MRS-1以上の資格を持ち、普通救命救急講習以上を受講していることです。今回はスタッフと参加者合計12名、岐阜県や愛知県はもとより、徳島県や滋賀県、静岡県からもご参加いただきました。
講座内容は『樹上作業の基本である主にMRSクライミングで想定されるアクシデント発生時のチームレスキューの基本』を学ぶものです。だからまず基本的なクライミング技術がないと意味がありませんので、クライミング技術のレベルを確認する必要があるのです。参加者は森林組合職員の方や造園業を営んでいる方々でした。
クライミングチェックが終了したら、室内での講義です。
森の工房にてメイン講師の近ちゃん(近藤紳二さん)が本日学ぶ内容や危険な項目を一つ一つ確認していきました。ここでの講義は新しい知識を付けるだけでなく、普段の作業における安全を再確認することも同時進行で学び直して、安全な樹上作業につなげてもらうものです。
こうした樹上作業をされる方の死亡率を、教育を受けた人かどうかで見較べると、死亡率が60%以上と最も高いのは無資格者(未学習者)で、ISA(International Society of Arboriculture:https://www.isa-arbor.com/)で学んだ人は10%にも満たないことが実証されており、学ぶことの大切さがデータとして表れています。
また私たちが遭遇するリスクが「計算されたリスクなのか」、「予期せぬリスクなのか」も重要な項目です。最も重篤な災害はStruck By によるものが多い。
どのような作業がリスクを伴う危険な作業なのか? 片手チェンソー、不適切なランヤード、ランヤード無し、無理な姿勢での作業、リギングの計算ミス、リギングの経験不足など様々あります。
さて、午前の最後は参加者のギア・インスペクションです。
仕事をする以上、ギア・インスペクションは毎日欠かさず行うのが常識です。
カラビナの調子はどうか? ロープのほつれはないか? エンドノットのフィッシャーマンズノットは正確か? ロープエンドは十分あるか? ヘルメットやサドルは変更時期に入っていないか?
自分のギアだけでなく、同じ参加者のギア・インスペクションでチェック方法やポイントも学んでもらいました。
午後から実践です。
最初にエイト環(8環)による「ビレイ・レスキュー」です。8環へのロープの通し方、レスキュー時の姿勢など様々な基本事項を学びました。
他には、「ダブルハンド・レスキュー」、「マイクロプーリー・ヒッチ・レスキュー」なども学びました。
ダブルハンド・レスキューではフリクション・ヒッチを緩めるのに、右手を使うか左手を使うかで、相当操作のスムーズさが違っていました。
またマイクロプーリーでは、プーリーを掛けた瞬間にフリクション・ヒッチが下がることがあるので、事前に下で8環ビレイしてもらうとか、スリップノットによる対策を講じるとが必要です。
マイクロプーリー・ヒッチ・レスキューに引き続き、「ハグ・レスキュー」を練習。これはハグをプラスして実施しますが、同時に要救助者の体をランヤードやストラップで起こすなど「セキュアード・ハグ・レスキュー」にまで発展させて実践しました。
そして、「シングル・クライム・ヒッチ・レスキュー」では、プルージック・ループによって、要救助者もしくは自分のロープに2人が荷重をかけるレスキューを体感しました。
この時に使用するプルージック・ループは「ライフ」なので、安全なものを6コイルで使用します。
これが終了したら、「ピック・オフ・レスキュー」です。どれも安全のためのレスキュー方法なのでしっかり学びました。
最後はみんなで記念撮影し、その後は森の工房に戻って確認のための筆記試験です。みな寒い中頑張って下さいました。
Tree Aerial Rescue and Safety に限ったことではなく、全てのレスキューは反復練習が重要です。災害に至ることがないためにも、常に訓練して最悪の事態に備えましょう。今回はみなさま、ご苦労様でした。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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