ワイズマン講座『庭木剪定講座初級』
開催した日:
賢者を意味するwiseman、知識も技術もあるが第一線を退かれた方をお招きしての講座『庭木剪定講座初級』を開催しました。
メイン講師は近藤肇さん。近藤さんは茶道を極める中で庭造りに方向転換し、庭師として会社経営をされていた方で、岐阜県が認定するグリーンドクターの最上級資格も取得された、筋金入りの庭師です。
最初にJIRIが日本緑化センターの「剪定技術」のDVDを紹介。
近藤さんはこれまでやって来られた庭木の育て方だけでなく、どうやって枝を誘導するのか。
庭師は何を考えて庭造りするのか、そのためにどんな技を使っているのかなど、次から次に話が続きました。
今回は参加者がお持ちのハサミやノコギリについても見て頂き、その特質や管理方法も指導して頂きました。
枝の仕上げ方について語る近藤さん
午後からは近藤さんのご厚意で、ご自宅の庭で研修です。
エゴノキの武者立ち仕立てでは、どのように萌芽した枝を管理するのか。株の立木密度はどのように考えるのか。樹高はどのようにコントロールするのかなどについても解説してもらいました。
庭師は木をいじめながら生かす。何とも矛盾したような考えですが、盆栽でも庭木管理でも、それぞれ日本ならではの技術に裏付けされているのです。
エゴノキの武者立ちについて解説する近藤さん
庭にあるサザンカは面白い仕立て方がされていました。
そのサザンカを横から見て、「この枝を取り除くと景色が変わりますよね」「ではどなたか切ってください」と言われて、参加者の代表が枝を切り、他の参加者が様子を見ていました。
近藤さんが言われるように、枝を切ると見える景色が変わるのです。
サザンカの剪定法を解説する近藤さん
近藤さんに言われたからとはいえ、人のお宅の庭木を切るのに戸惑いながらもハサミを入れます。しかしハサミを入れた後に見てみると、前より良くなっているのが分かるのです。
実際に剪定にチャレンジする参加者
備長炭の材料としても有名なウバメガシは生垣仕立てと庭木仕立てのもを見せて頂きました。
下の写真は庭木として仕立てて、左側の幹から枝を右側に誘導してあります、丁度、近藤さんが立っていらっしゃる足元の砂利を、水面に見立ててあり、その水面に下垂する枝を誘導しているのです。樹種によっては水面があれば、そこに枝が下垂するのですが、それを意識して樹形を変化させるのです。
ウバメガシの仕立て方について語る近藤さん
庭造りは一方向から見てできるものではありません。侵入してきた入り口から見てどうか。玄関口から見てどうか。座敷から見てどうか。
いろんな方向から庭を見て、庭の木を楽しむことが重要なことを説明して下さいました。参加者も自宅の木についてどう管理すべきかをいろいろ質問していました。
庭の見方について説明する近藤さん
近藤さんの作業部屋の横に作ってあったボウガシ仕立て、「ボウガシ仕立て」とはアラカシやシラカシなどのカシ類の萌芽した株で生垣のように仕立てたものです。
ここには2種類のボウガシ仕立てが、隣り合わせで見ることができました。1方は葉が密集して室内が見えないようにしてあり、もう1方は葉も枝も透けているため部屋に光が入るようにしてあるのです。この枝をどのように刈り込むのか、実際に見本を見せてくださいました。
ホウガシ仕立ての剪定方法を説明する近藤さん
マツやイヌマキの枝にハサミを入れてどう整えるのか、その方法について枝を切りながら説明して下さいました。
横枝の上に立つ「立枝」は基本的に切るのですが、すべて切るのではない。残してその近くに良い枝が出るまで待ってから切るとか。その立枝の長さを半分にするとか。考え方は様々です。
イヌマキの剪定を実演する近藤さん
最後に竹材を使って枝を支えたり、変形させたりする時に利用する麻縄の結び方の説明です。
「巻き結び」がどうして利用されるのか。そしてどう結ぶのか。近藤さんから参加者全員に2つの巻き結びを施したタケを渡され、それを見本に結びも学びました。
竹の巻き結びを説明する近藤さん
さてさて、「剪定」を中心とした講座でしたが、近藤さんからは庭師がどのような考えで庭造りするのかなど、様々な項目についてご説明頂いたお陰で、1本の木の管理ではなく、自宅の庭全体のイメージを持って庭木管理する考えを学べたのです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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