グリーンウッドワーク指導者養成講座 2025年度レポート
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毎年、年齢も経歴も職種も、そして暮らしている地域も異なる人たちが集う「グリーンウッドワーク指導者養成講座」。
9月・11月・1月の3シーズンに分けて行われるこの講座は、単に技術を学ぶ場ではなく、それぞれが自分の活動へと持ち帰る“何か”を見つける時間でもあります。

今年度の講座スケジュールは9月13日~15日/11月1日~3日/1月8日~12日。北海道から台湾まで、地域も年齢も職業もさまざまな13名が集まりました。
初回の9月には、毎年言葉では伝えきれない独特の空気感があります。まだ出会って間もないはずなのに、最終日には家族のような関係になる。そんな時間が、今年は特に早く立ち上がったのが印象的でした。
初日は、スタッフが地元・飛騨で集めた6種の材(スギ、ホウ、リョウブ、ウワミズザクラ、クルミ、マンサク)を使った削り比べからスタート。樹種による割れ方や削り心地の違いを体感しながら、10数種類に及ぶナイフワークをじっくりと学びました。
2日目は、グリーンウッドワークの定番であるスプーンづくり。「スプーンは斧で9割決まる」というポイントを軸に、午前は斧、午後はナイフと、集中して制作に取り組みます。

中には1日で6本仕上げる参加者もいました。
前泊や懇親会をきっかけに自然と打ち解け、夜はそれぞれの活動や思いを語り合う時間に。
この“場の温度”もまた、この講座ならではの大切な学びです。
3日目のテーマは「研ぎ」。研ぎは終わりのないテーマですが、今回の目的は「生木を心地よく削ること」。さまざまな刃物を手に取りながら、目的に応じた研ぎ方をお伝えしました。
午後は3日間を振り返り、それぞれが自分の課題と向き合う時間となりました。
11月は、日本独自の手仕事や、森の視点に踏み込む時間です。
初日は我谷盆づくりから。ノミや鉋といった日本の木工道具を使いながら、手仕事の背景や地域文化に触れる一日となりました。

2日目のテーマは「森を見る」。講師には、森林総合研究所の山下直子さんと、滋賀県東近江市で林業会社を営む落部弘紀さんをお招きしました。
山下さんからは、森が果たす役割、日本の森の現状、樹木の生態、そして広葉樹活用の事例や可能性まで、幅広いお話を伺いました。木を“発酵”させて造るお酒の話には、参加者のみなさんも興味津々で、大いに盛り上がりました。
続いて落部さんからは、これまでの林業経験をもとに、東近江市の里山の現状、広葉樹林での施業の実際、そして山で活動するうえでのリスクについてお話しいただきました。
午後からは実際に森に入り、樹木を観察しながら樹種の同定方法を学びました。
一日ではとても足りないほど濃い内容でしたが、それぞれが今後の活動にどう活かすかを考える、大きなヒントになったはずです。
夜の懇親会では、採れたてのキノコ鍋を囲みながら交流。過去の受講生や関係者も加わり、
ちょっとしたお祭りのような、にぎやかで楽しい時間となりました。
11月最終日は、「グリーンウッドワークで椅子をつくる」導入として、
スツールの部材である「貫」と「座枠」の製作を行いました。
今回の椅子づくりのテーマは「小径木からつくれるスツール」。安全な装備と手ノコ一本を持って山へ入り、木を伐り、持ち帰り、形にしていく。グリーンウッドワークの導入として、ちょうどよいアイテムです。
今回も飛騨から持参してもらった10種もの材を削り比べながら製作を進めました。

指導者養成講座ならではの、非常に贅沢な学びとなりました。削り上げた貫と座枠は、1月の最終クールまで乾燥庫でじっくりと乾燥させていきました。
最終クールの椅子づくりは、スツールの脚づくりからスタート。大きなクリの丸太を使い、割り方を学びながら必要な材料を確保し、ひたすら棒状に削っていきました。

2日目には、11月に仕上げた「貫」と「座枠」を乾燥庫から出し、乾燥による重さや形の変化を観察。さまざまな樹種を使ったことで、樹種ごとの違いも実感でき、大きな学びにつながりました。
その後、3日目にかけて仕上げ、穴あけ、組み立てを進め、4日目にはいよいよ編みの作業へ。夕方には全員が無事に椅子を完成させることができました。

4日目の昼過ぎからは雪が降り始め、椅子が完成する頃には外はすっかり雪景色に。
完成した椅子に座り、雪の中でとても嬉しそうに記念撮影をする参加者の姿が印象的でした。

最終日は自由制作の日。3本脚スツール、ククサづくり、研ぎの練習など、それぞれが自分の課題に向き合い、充実した時間を過ごしました。11日間という長い時間を共にした受講生のみなさんとは、再会を約束してのお別れとなりました。
毎年続けてきて感じるのは、関わってくれる人が少しずつ増え、その分だけ講座の中身も確実に育ってきているということです。参加者の反応からも、この場が確実に前へ進んでいる手応えを感じています。
受講生のみなさん、関わってくださったスタッフ・講師のみなさん、本当にありがとうございました。
この講座は、毎年「完成」するものではなく、人と経験が重なりながら、少しずつ育っていく場だと思っています。来年度も実施予定なので、この続きを一緒につくっていただける皆さんからのご参加をお待ちしています。

文責:グリーンウッドワークラボ 山路今日子
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
Phone : +81-(0)575-35-3883 / Fax:+81-(0)575-35-2529



