好評に付き、2回目の「外遊びが育む“からだ”の発達」講座、実施しました
開催した日:
前回5/30(金)に実施した「外遊びが育む”からだ”の発達〜どうして?やめてくれないその遊び、その動き、発達のために必要かも?〜」講座。平日では参加しにくい、土日なら参加できるという声をたくさんいただき、12/14(日)に2回目の講座を実施しました。お子さんの体調不良で参加できなかった方を除き、東京や能登など遠方からの参加を合わせて11名で実施しました。

前回は、子連れでも参加したい!と子どもと一緒に来てくれたママさんやこれから発達支援に取り組みたい方、1〜3年目の保育士さんなどが参加してくださいましたが、今回は、森のようちえんスタッフや公立園の保育士、子育て中の発達支援員、前回参加した保護者から薦められた幼稚園の園長先生などなど子どもに関わるお仕事の方が多く参加してくださいました。子育て中のママさんや自分の発達が気になるという大人の参加者もいて、前回より幅広い層の方々との学びになりました。
はじめに、自己紹介を兼ねて
①自分の名前と、子どもがいる人は人数・年齢
②普段子どもとどんな外遊びをしているか(家庭で、仕事で)
③子ども、大人、自分の発達に関する困りごと
④参加の動機
をシェアしました。

イヤだと思うと手が出る、眠いと布団をしゃぶる、どこでもぶら下がる、夫の貧乏ゆすりがひどい、じっとしていられない・常に動き回る、姿勢が悪い、何かしているとき手で別のことをしてしまう(手遊びが気になる)、転びやすい、などなど・・・職場での困りごと、家庭での困りごとがたくさん共有され、「あるよね」「最近そういう子増えた気がする」と実感を伴う感想も。
その後、チャイルドセラピストであり統合ワーカーでもある講師の本田さんから、みんなの困りごとには「原始反射」というものが関わっていること、原始反射が問題なのではなく、必要な動き(反射)を十分使わないまま体が成長してしまい、反射を使いこなせていない(=統合していない)ので困りごとにつながることなどを説明してもらいました。

原始反射のチェックリストをみながら、みんなから出た困りごとがどの反射と関連するのかてらしあわせたあと、原始反射が統合されていないと特徴的な体の動きが残るので、実際にいくつかチェックしてみました。

「指や鉛筆で腕をこうやってみてください」という指示から始まり、「こうなった人います?」との声かけに「え?ならない人いるの?」「え?なってるってどういう状況?」と隣の人と情報交換。簡単に原始反射の残存についてわかることに驚きの声があがりました。
次は立ち上がって足を動かして、別の反射のチェックです。「はい、足をハの字にして歩いてみましょう」「次は足をへの字にして〜」などなど、これで何がわかるのか?講師は何をチェックしているのか?など頭にハテナが浮かんだまま動いたところで、「今、足の指や膝をみていました」「首がこうなった人は○○の反射が残っています」と解説されると、またまた驚きの声が。

自分に使いきれていない反射が残っていることがわかったり、実際に目の前で反射が残っている状態を見たり、大人でも反射が統合していない事実に驚いたのでした。
次は、「主体性とコントロールについて」の講義の時間。
主体性とはなにか、自主性や能動性とはどう違うのか、主体的に行動するためにも能動性はどうしたら育まれるのか、ここでいうコントロールとはなにか、などをKP法(紙芝居プレゼンテーション法)でお伝えしました。

そして、『TV・YouTubeがみたい』『自分でくつ下がはきたい』『お風呂に入りたくない』などの10数個の行動が、自主性・能動性・欲求のどれに当たるのかを考えるワークシートを配り、参加者に記入してもらいました。それぞれどれになったかを周りの2〜3人でシェアしてみたところ、結構回答が分かれました。「正解することが目的ではなく、『この行動はどうなんだろう?』と考えることが重要」と伝えて、なぜその回答になったのかの理由を話しながらシェアしました。

その後、答え合わせと、どうしたらただの欲求を主体性を引き出す関わりにできるかなど、意欲のコントロールポイントをお伝えし、午前中の時間は終了。
昼食の時間も、講師と話す人、話しながら午前中の時間を反芻する人たち、情報交換する人たちと、意欲は衰えることがありません。

午後は、講師の本田さんから「追加で今伝えたほうがいいと思った!」という発達についてのレクチャーを挟んでから、morinosひろばで実際に遊びの中でどんな動きが生まれるか、その動きは反射と関わりがあるかを見ていきました。

「よく裸足で歩いていたが、最近はしなくなった。もう足の反射は統合したと考えていいのか?」という質問に対して、「裸足で室内や平らなところを歩くことは満足したのかもしれないが、いろんな地形・素材を歩いてみるとまた刺激が違う。足の反射の中にいろんな領域があり、その一部が普段裸足で歩くことで埋まったが、別の領域はまだ満足していないこともある。いろいろ試してみてどんな反応があるかを観察するのもいい」という話がありました。

「平均台のような場所を歩くのも子どもが好きな動きだが、発達の三原則が満たされているか観察してほしい。息を止めているようならば緊張している可能性があるから、高さをなくしたり白線の上を歩くなど凹凸がなくてもいい。飛び石を飛ぶなどの動きもいい」という話に、参加者たちはなるほどとメモの手がとまりません。「体が欲してる動きだから止めないで満足するまでさせてあげてほしいが、縁石の上や歩道の白線の上を歩くのは危ないから、別の場所でできるよう場を整えてあげるといい」と返答がありました。
今回は参加者に保育者が多かったことから、具体例からの質問が多く、段々とディープな質疑応答になっていきました。「手が出てしまうという行動も、口の反射による影響でうまく話せなくて手が出るのか、モロー反射の影響で手が出ているのかによって必要な動きは違う」という答えに対し、「そこまで観察していなかった」「あの困った動きにそんな意味があったなんて」と驚きの声があがっていました。
最後は、室内に戻ってまとめの時間をとりました。
今日の感想や印象に残ったことを漢字一文字で表して、書いた意図とともに紹介し合いました。
原始反射や発達について知ってほしいという思いから始まったこの講座でしたが、今回は仕事で子どもにかかわっている方が多く、より具体的で深い学びを希望されていたのが印象的でした。ステップアップ編、大人編、もっと基礎を深堀り編などのたくさんのご要望をいただき講座が終了しました。
参加者の声(※アンケートより一部抜粋)
・困り事の根っこが、まさか原始反射に繋がっているなんて!!と目からウロコでした。
どれも自分に当てはまるなぁ、と感心してしまいました。
・子どもの主体性を大切にするために大人が考えなければならないコントロールについても、大変分かりやすくて実践的な考えで腑に落ちました。
・外遊びの時間に、実際、遊びたかった。もしかしたら、参加者のみなさんの中で、「この感覚を欲してた!」と自らの気づきが生じるかもしれない。また、それがおもしろい。子どもへの理解が深まるかも!?
・反射を困りごととして捉えていたので、なくなることがいいと思っていたが、なくなること(統合)がゴールではないというかとに気づけたのが、よかったです。
・今回の内容は繰り返し聴きたいと思いましたし、より多くの人に知ってもらいたいと思いました。
ぜひ、定期的に開催されるといいなと思います。
報告者:森林総合教育センターmorinos 瀧上(まいまい)
休館日:火・水曜、年末年始(休館日が祝日の場合、翌平日が休館日になります)
Phone : +81-(0)575-35-3883 / Fax:+81-(0)575-35-2529



