『シカの足の剥製をつくろうⅡ』 剥製をつくり、命の大切さを考える
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高山市の田中正至さんに学ぶシカの足の剥製づくり、前回に引き続きなめし液に浸漬したニホンジカとツキノワグマの足標本を洗浄し、脱水し、縫合、詰め物充填。そして狩猟シミュレーターの体験です。
このプログラムは単に剥製づくりではなく、命の大切さも実感してもらうものです。
最初に毛皮用の洗剤で3回洗い戻し、脱水してから、皮革の縫合です。針は「セール針」という三角針で糸は「蝋引き糸」です。
これらのニホンジカの足は有害駆除されたもので、一般的には焼却もしくは埋設されてしまう部分です。普通なら処理されてしまう足を標本として再利用するための剥製標本づくりで、これができればアニマルトレッキングにも利用できます。
少し縫合したら木毛を詰めて形を整えます。
時折、メイン講師の田中さんが参加者の周りを歩いて、縫合の補助やアドバイスをくださいます。
みんな何も言わず、一心不乱に縫い針をシカ皮に通しています。今回は全員がシカの足3本と、
ツキノワグマの足1本を標本として作製します。
下の写真は私が作成しつつあるニホンジカの足標本です。
足の下半分まで木毛を詰め込んだ状態ですが、少しずつ縫合しては詰め物をします。
半分ほどの縫合が終了したので、みな作品を持ち寄って天日干ししました。
ニホンジカの足から出ているのは番線です、これは形を整えるため利用しています。
今回も田中先生が、ニホンジカやツキノワグマの毛皮、ニホンジカの角を参加者にプレゼントして下さいました。なんとニホンジカの角は1人に3本もプレゼント。
参加者の方は下のような可愛いキーホルダーを作成されていました。
続いて、狩猟シミュレーターの体験です。
この狩猟シミュレーター体験は単なるゲームではありません。今回入手したニホンジカの足が「有害駆除」されたものとお伝えしましたが、その有害駆除でさえどれほど大変なのかを疑似体験して頂き、猟友会の方々の苦労を想像すること。どれほど難しいかを理解してもらうものです。
女性でもコツをつかむと意外に命中しますが、しっかり致命傷となるところを射抜き、手負いにしないこと。 瞬時に絶命できたとしても、その獲物を運ぶことの大変さ。
そうした諸々の現実を知れば、命の大切さを考えることができるのです。
シカの「KILL ZONE」は赤い心臓と黄色みがかった肺です。
80m先を走っているシカをライフルで狙っています。
シカの首下にある「緑色の点」はハンターが引き金を引いた時点です。そして心臓の右側にある「赤色の点」はシカに銃弾が命中した場所です。80m先を走るシカのどころ狙うべきかが分かりますし、他にも弾道のドロップ量、銃口の軌跡、3D軌跡も表示されます。
さて、最後に講師の田中さんから、シカの足が乾燥する途中で、どのように成型するといいのかを学びます。
少し硬くなったら、蹄の形や足全体の成型をしっかり考えて手を入れること。乾き過ぎる前にしっかり作業することを学びました。
さて、今回の講座ですが、これまで50年以上の狩猟経験があり、1000体以上の剥製標本を作ってこられた田中さんならではの講座でした。
また狩猟シミュレーターは狩猟者がどれほど苦労されているのかを知ってもらうためのプログラム体験でもありました。
岐阜県のような自然豊かな地に住んで入れれば、動物との衝突は避けられない現実があります。どうかこうしたmorinos試行プログラムを通して、今一度、獣害問題と向き合って下さい。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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