樹上スパイク作業のためのレスキュー講座 TARS-2
開催した日:
スパイククライミングにおける樹上レスキュー(Tree Aerial Rescue and Safety Level-2)
本日のレスキュー講座はみなさん気合が入っているのか開始時間の60分前には勢ぞろいして、なんと45分早い開始となりました。
ツリークライミングの技術を駆使した樹上作業では、作業中の事故を想定して緊急事態に即応できるよう、チームとして日常訓練することが求められます。
ISA (International Society of Arboriculture )でも、レスキュー 対応力の向上が特に重視されるようになっており、ISAが認定する国際資格取得に際しての必須要件にもなっています。
ここではスパイククライミングで想定されるアクシデント発生時のチームレスキューの方法を学びます。樹上で作業するツリーワーカー®の責務として、基本的 なエアリアルレスキューを習得し、訓練を重ねることが 強く推奨されます。この講座はアーボリスト業界の労働災害事前防止を目指すものでもあります。
Tree Aerial Rescue and Safety Level-2 (TARS-2) では、断幹作業に使用するスパイククライミングで想定されるアクシデント発生時のチームレスキューを実践形式で学びもので、受講推奨者はBAT-3B 修了者もしくはスパイククライミング経験者で、普通救命救急講習以上を受講された方です。
最初に練習するのは『プーリーレスキュー』です。宇治田さんが見本演技しながら、樹上で受傷した要救助者(Victim:以下「V」と表記)をどのように救助に向かうのかなど説明されました。
要救助者は樹上でチェンソー操作していたはずなので、救助者(Rescuer:以下「R」と表記)は要救助者「V」までクライミングしたら、最初にチェンソーを取り除きます。場合によってはチェンソーストラップを切断して落下させます。
次に要救助者「V」のスパイクを外しますが、もしも足が制御できずバタバタするようであれば、ストラップなどで足を縛ります。
救助者「R」のクライミングアンカーは、要救助者「V」のクライミングアンカーの上に設置すべきで、両方が交差したり、重なっていてはいけません。宇治田さんは、それをしっかり指差ししながら説明されていました。
救助のためのロープ作業に入る前に、最初は救助者「R」のビレイを第三者に依頼します。 次に要救助者「V」のメインロープを少し下げてフリクションヒッチ上部にプーリーを装着できる空間を作り、プルージックコードなどで救助者「R」とつなぎます。
また要救助者「V」と救助者「R」の両方のD環をランヤードなどでつなぎ、安全確認してレスキューします。
スパイククライミングでは現場によって受傷状況は変わるはずです。負傷するのは腕であったり、足であったり、手の平であったりしますし、受傷ではなく熱中症なども想定されます。
とにかく繰り返し練習することが重要なのです。
プーリーレスキューは救助者「R」も、要救助者「V」も、各々自分のロープでクライミングダウンすることになります。
①要救助者「V」のフリクションヒッチの上にプーリーを付け救助者「R」とつなぐ。 ②救助者「R」のビレイを第三者に依頼する。 ③要救助者「V」のランヤードを外す。④救助者「R」のランヤードを外す。
使用するギアがたくさんあるため、順序を覚えるのが大変ですし、救助者「R」もスパイクを装着した状態のままレスキューするため、細心の注意が必要となります。
次に練習するのは『乗り移りによるレスキュー』です。
ここでは救助者「R」自身のメインロープとスパイクを装着して、要救助者「V」のもとに向かいますが、レスキュー時には要救助者「V」のロープに乗り移ってクライミングダウンします。
これはレスキュー時間短縮が重要であることから、要救助者「V」を救助者「R」のロープに乗り移らせるよりも、救助者「R」が乗り移る方がスピーディだからです。
このレスキューで乗り移る際に重要なのは、要救助者「V」のロープのどこに6コイル・プルージックを装着するのかで、必ず要救助者「V」のスタンディングロープに付けます。
またここでもチーム内の誰かにビレイを依頼する必要があります。
3つ目は『セキュアード・ハグ・レスキュー』です。
このレスキューではストラップなどで要救助者「V」の体全体や腕、足などをしっかり保持して、プーリーを利用してレスキューする方法です。
樹上でレスキューのための作業をしている間は要救助者「V」のビレイを頼み、最終的にクライミングダウンする際には、救助者「R」のロープをビレイしてもらいます。
さて夕方には確認テストです。
本日習得された様々な項目について、しっかり頭に入っているかを確認し、万が一間違っていれば、何がどう間違っていたのかを確認してもらってレスキューに役立ててもらうためのものです。
さて怒涛の1日を終えてみなさん体も頭も相当お疲れになったことと思いますが、これも安全のための学びです。
最後に全員で元気に記念撮影です。
これからもチームでレスキュー訓練に励みましょう。どうもご苦労様でした。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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