「ユカイでヤバイ!森さんと森さんぽ」実施しました

開催した日:

保育士や森のようちえん指導者など、子どもに自然体験活動の指導経験を持つ方のスキルアップを目的に、身近な植物をテーマにしたプログラムを行いました。岐阜県内から17名が参加しました。
森さんと森さんぽ

講師はサイエンスジャーナリストの森昭彦さん。主に関東圏を活動拠点に、植物と動物のユニークな行動や相関性について実地調査・研究・執筆を手掛けています。植物だけではなく、昆虫等にも造詣が深く、その膨大な知見と対象への深い愛情を元にした書籍が多数あります。
森さんと森さんぽ  森さんと森さんぽ

午前中はmorinos建物周辺の道路沿いの、斜面になっている場所で植物観察を行いました。
森さんから、「こうした斜面は様々な植物が生えているので観察ポイントになります。大人向けには利用価値があるかどうか、子ども向けには手触りや色・形に特徴があるかどうか、といった点に注目してみましょう。」というコメントがあり、早速足元に生えている植物を手に取って解説していただきました。

【ヤナギバヒメジョオン】
・北米原産の帰化植物。ヒメジョオンに似ているが葉が細いのが特徴。食べるとまずい。乾燥気味を好む。花を飛ばして遊ぶこともできる。
・似た植物に、ヒメジォン(味にエグみがある、糖尿病予防に効く生薬)、ハルジオン(味は良い、頭痛薬に用いられる)がある。
森昭彦さん

【オオバコ】
・便秘改善の効果がある。のど飴に成分が含まれる。傷ついていない葉は食べられる。ポルチーニ(キノコ)の味に似ている。

森さんと森さんぽ

【サルトリイバラ】
・柏餅の柏の葉の代わりに主に西日本で使われる。クリスマス時期には赤い実を採って飾る。

森さんと森さんぽ

【ヤマノイモ】
・むかご(球芽)は美味しい。葉は対生、面長、山薬として食べられる。よく似たオニドコロは葉が互生しており、苦くて食べられないので注意。

森さんと森さんぽ

他にも、足元にある身近な植物を手に取って、その薬効や危険性、類似植物との違いなど、イラスト等も使って丁寧に、そして面白く解説していただきました。

午後からは、スライドを使って森さん自身が植物を使った自然ガイドをする上での配慮やポイントを話していただきました。
森さんと森さんぽ
ガイドが配慮すべき点として、以下の4点を挙げました。
①ルートの配慮(参加者の属性や特性により、かぶれやアレルギーを誘発する植物が生えているルートを避ける)
②ガイド内容の配慮(危険な植物やアレルギーを誘発する植物を、注意喚起の意味で敢えて参加者に伝えることもある)
③薬品利用は慎重に(薬の利用は本人持参のものに限る。市販の虫除けや応急薬ですら身体に合わない人が結構いる)
④見分けることの難しさ(動画サイト等で野草の利用や調理が人気だが、事故の危険があり慎重に対応すべき。森さん自身、師匠から10年間は手をつけずに見て学べと言われた)

参加者から「子どもが植物を誤飲した場合、どうしたらよいか」という質問があり、森さんからは
「誤飲した場合、吐かせるかどうかは慎重な判断が必要。誤嚥性肺炎や、気管・食道を傷つけ、毒が回りやすくなる危険がある。」
とのコメントがありました。

その後場所を変えて、開けた広い空き地に生える植物を題材に解説していただきました。
クローバーで知られるシロツメクサに交じって、花がややピンク色のモモイロシロツメクサがありました。
また、1メートル四方の地面に種が2万個あり、そのうち発芽できるのは6%くらい。さらに成長できるのは1%未満。つまり目に見える植物はエリート層に当たるとの解説には、参加者から「へぇー」と驚きの声が上がっていました。
森さんと森さんぽ 森さんと森さんぽ

森さんから最後に
「なぜこの植物はここにあるのか。当たり前のことなのか。疑問を共有すること、参加者の感動に共感することが大切。自分の目でしっかりと見て、好きな植物を探して欲しい。」というメッセージをいただきました。

「分からないことが分かる」
これは指導者にとって、とても大切な感覚です。
身近な植物を題材に、まずは指導者自身が楽しむこと。そして危険を正しく恐れること。
今回の講座がゴールではなく、指導者としての新たなスタートの一歩となれば嬉しいです。

 

【参加者の声】(アンケートより一部抜粋)
・私自身、植物の名前がなかなか覚えられないことについて、苦手意識を持っていました。今回、森さんが楽しくお話してくださったことで、保育士自身がまず、楽しむことの大切を改めて感じました.明日から、まず私自身が楽しみたいと思います!
・感覚的に危険っぽいとかではなくて、科学的に危険なんだという説明を伺って、やはり知ること学ぶことは大切だと感じました。薬効があると思っていたものも、人によっては危険だし、またその逆もある。口にしていたものでも、人によっては危険なものもある。必要なのは自分にとって、危険かどうかを見極める力だと感じました。ネットや図鑑が全てでは無く、自分たちで生き物とどう向き合うのかを考えることの重要性に気づくことができました。
・子どもたちと一緒に散歩に行くおとなが、どれだけ子どもたちを安全に自由に楽しませるかが第一。リスクマネージメント視点を持つことの大切さがわかった。四季を通してその場の植生の様子をまず自分自身が、少なくとも10年は面白がって観察する事が、子どもたちの散歩を楽しくする秘訣かなぁと思った。

報告者:大武圭介(ウォーリー)NPO法人ホールアース自然学校

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